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Gridge編集部
コロナ禍で若者増加もゴルフ人口減少?倒産危機のゴルフ場も……ゴルフ業界の現状
ゴルフ人口の減少が囁(ささや)かれていた近年ですが、2020年を機に、新規参入者の数が増加に転じていることをご存知ですか?
世界中を恐怖に陥れた新型コロナウイルスにより、食事や旅行などが自粛傾向にあった時も、ゴルフをやめる・自粛する人がいる一方、ゴルフは“三密”を避けられると、若者を中心にゴルフを始める人が増えてきました。
しかし、ゴルフ人口が増加する気配のある一方、倒産危機に面しているゴルフ場や実際に倒産してしまったというゴルフ場も数多くあります。
今回は、コロナ禍をキッカケとして変わるゴルフ人口や、ゴルフ場に関して、その実態をまとめてみました。
目次
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- 2015年問題を乗り越えて
- 50歳以下のゴルフ離れがゴルフ人口減少に拍車をかける
- コロナ禍によりゴルフに若者が参入
- ゴルフは三密を避けられる
- 若年層に向けたサービスに取り組むゴルフ場や練習場
- ゴルフ場でゴルフデートやゴルフ合コンも開催
- ゴルフ界に元気を与えたプロゴルファーの活躍
- 全英女子オープン覇者・渋野日向子
- 悲願のマスターズ優勝!・松山英樹
- オリンピック銀メダル・稲見萌寧
- 新規参入者は多いもののゴルフ人口は横ばいかやや減少気味
- コロナだけでなく団塊世代の高齢化や少子化も関係
- ゴルフはやっぱりお金がかかる?
- 税金が高いため、ゴルフ場も値段を下げるに下げられない
- ゴルフ場の経営環境
- ゴルフは敷居の高いスポーツ? ゴルフ人口増加時代に合った対策を!
2015年問題を乗り越えて
ゴルフ人口について大幅な減少が予想されていた「2015年問題」。
日本のゴルフ人口で1番ボリュームの多い年代は、戦後のベビーブームで生まれた団塊の世代と言われています。
今まで仕事にゴルフにと勤しんでいた彼らが、2015年に定年を迎えることで収入が減り、経済的にも体力的にも、ゴルフを継続する人は減るのではないかと予想されていました。
しかし、それに反して、2015年を過ぎても、ゴルフ人口が大幅に減るということはありませんでした。
生活環境の変化などにより、近年の65歳はまだまだ元気で、いきなり仕事を辞めずに少しずつでも収入を得ていくという人が増えてきました。
そのため、趣味のゴルフから離れる人たちが少なかったのです。
ゴルフ業界は、意図せず、2015年問題を乗り越えた形となりました。
50歳以下のゴルフ離れがゴルフ人口減少に拍車をかける
団塊の世代がゴルフをやめなかったからと言って、ゴルフ人口が横ばいで継続していたかと言うと、そうではありません。
彼らよりも下の世代である、50歳以下の世代。
この世代は、いわばゴルフ離れの世代であり、ゴルフを積極的に行っている人は少ないと見られてます。
会社の接待で取引先とゴルフをする機会も減り、個人的にプレーしようと思っても、ラウンドだけでなく、練習やクラブセットにも費用がかかるゴルフ。
子供を大学まで行かせることが当たり前になりつつある世の中で、家庭を持った働きざかりの世代の人たちは、継続的にゴルフを行うことは難しいということが、ゴルフ人口減少の一因となっています。
コロナ禍によりゴルフに若者が参入
ゴルフに参入する人たちがどんどん減っていくのではと危惧されていた中、蔓延(まんえん)した新型コロナウイルス。
日本でも2020年から飲食店や航空・運輸・レジャー産業が相次いであおりを受け始め、ゴルフ業界にも同じ波が来るのかと思った矢先。
なんと、今までゴルフをしたことがなかった若者たちにゴルフを始める動きが見られたのです。
ゴルフ場にはこれまでの団塊の世代に加え、若者たちが増加。ゴルフ練習場でも、若い人たちで練習会を開く様子が見られるようになりました。
ゴルフを新しく始める人たちが増えれば、ゴルフクラブやゴルフウェアの販売も活気づくことが予想され、ゴルフ業界全体の潤いに希望が出てきました。
ゴルフは三密を避けられる
コロナ禍で緊急事態宣言の発令や、外出自粛があった中、なぜゴルフは人口が増えたのでしょう?
それは、ゴルフが集団感染を避けるべきとされる中で提言された、3つの密(「密閉」「密集」「密接」)を回避しつつ、身体を動かすことができる屋外のスポーツとして注目されたからです。
といっても、ゴルフは完全に三密を避けられるわけではありません。
特にクラブハウス内やレストラン内では三密が生じる可能性も高いため、ゴルファー自身が十分に気を配る必要があります。
ゴルフ場もアルコール消毒や入場時の検温、従業員のマスク着用の徹底などコロナ対策を行い、皆が安心してゴルフを楽しめる場を提供することに妥協しませんでした。
その結果、現在ゴルフ人気と呼べるほど、若者の参入が増えていくこととなりました。
若年層に向けたサービスに取り組むゴルフ場や練習場
参入の傾向が見られる若者に向けて、ゴルフ場や練習場も、サービスの拡大に努めています。
例えば、29歳以下の方がパーティにいる場合、プレー料金の割引が受けられたり、25歳以下の方にはレンタルクラブの無料貸出を行ったりと、その内容は様々。
ゴルフを始めたばかり、または始める予定の方に向けて、ゴルフのルールや知っておきたいマナーをわかりやすくまとめたパンフレットを配るゴルフ場もあります。
ほとんどのゴルフ場がインターネットを通じてビジターとして予約できる昨今ですが、購入者が減りつつあるゴルフ会員権も動きが活発になっています。
たとえば、平成生まれの方や40歳以下の方の名義変更料を割引し、購入しやすくするというキャンペーンを行っているゴルフ場もあり、そのような機会に会員権を取得する若者も増加傾向です。
またゴルフ場によっては、長年会員権を保有する会員に対して、親族(主に息子や娘)に会員権を譲渡する場合は、会員権の譲渡後も会員同様のサービスが受けられるという制度を作って、会員数の維持・若返りを図っているところもあります。
ゴルフ場でゴルフデートやゴルフ合コンも開催
今までは、ゴルフは紳士のスポーツという印象が強く、若い方にしてみれば、“おじさんのスポーツ”というイメージが拭い去れませんでした。
それが、若い年代の方の参入により、カップルのデートコースに、映画館やショッピングのほか、ゴルフが加わりました。
コースに出ない休日は、ゴルフ練習場に行き、2人でゴルフスイングについてアドバイスし合う姿のほか、男女の出会いの場として、イベント会社によるゴルフ合コンの開催も見られます。
駅で集合してバスでゴルフ場に出かけ、ハーフラウンドで組み合わせを変えて、1日に最大4人の異性とラウンドするというのが、一般的なゴルフ合コンの仕組みです。
同じ趣味を持った人との出会いも増え、さらにゴルフを身近に感じることができるため、コロナの状況により開催延期がありながらも、これから徐々に全国に拡大していくことが予想されています。
ゴルフ界に元気を与えたプロゴルファーの活躍
ゴルフ人口の増加のキッカケになったのは、新型コロナウイルスだけではありません。
世界で活躍する日本人プロゴルファーの活躍を目の当たりにし、自分もと触発されて、ゴルフクラブを手に取った人たちも少なくありません。
全英女子オープン覇者・渋野日向子
強者揃いの黄金世代の1人で、2019年、国内ツアーで2勝した勢いをそのままに臨んだ全英女子オープンで、42年ぶりとなる日本人メジャー大会優勝という、歴史に残る偉業を成し遂げたのが、渋野日向子です。
常に笑顔を絶やさず、ひたむきにプレーするその姿は、「スマイルシンデレラ」の愛称で世界から祝福を受けました。
優勝の瞬間の映像は日本でも大きく放送され、ゴルフを知らない人たちにも、「渋野日向子」の名前は深く刻まれました。
その後の“シブコフィーバー”は記憶に新しいところです。
この出来事が、ゴルフに興味を持つキッカケとなった人も多くいます。
2020年は新型コロナにより多くの試合が中止や延期となった中、出場してもなかなか成績が残せませんでしたが、2021年には見事復調して2勝を挙げました。
2021年末には、米LPGAのQスクール(ツアーに出場するための予選会)を通過し、2022年は米国を主戦場としてますます活躍することが期待されます。
悲願のマスターズ優勝!・松山英樹
松山英樹と言えば、世界で活躍する日本人ゴルファーとしてすでに名の知れた選手です。
2014年からアメリカツアーに本格参戦し、過去の日本人選手の中では最高の成績を残してきました。
しかし、彼が成し遂げていなかったものが、世界4大ゴルフトーナメント、通称メジャーの制覇。
それを2021年の最初のメジャー、マスターズで、10年目のチャレンジにして、とうとう成し遂げたのです。
日本ではリアルタイムの地上波放送が行われ、多くの人が固唾を見守る中、最後のパットをカップインさせて目を潤ませた彼の姿が、多くの人々の感動を呼びました。
松山英樹の活躍はそれだけにとどまらず、マスターズ優勝から6ヵ月後、日本で行われたZOZOチャンピオンシップや、翌年のソニー・オープンも制し、2022年1月現在、米ツアーで挙げた勝利は8勝を数えます。
まだまだ日本人ゴルファーのトップに君臨するであろう彼の活躍から目を離すことができません。
オリンピック銀メダル・稲見萌寧
コロナ禍で開催が危ぶまれた東京オリンピックも、1年延期の末、2021年、無観客で開催されました。
懸命に戦った日本人選手のメダルの数は、過去最多の58個。それを超える、数え切れないほど多くの感動を呼んだことも、記憶に新しいですね。
稲見萌寧も、その中の1人。
ゴルフ競技で出場した日本人選手の中で、ただ1人、メダルを獲得し、日本人選手初のゴルフ競技のメダリストとなりました。
オリンピックの優勝だけでなく、彼女の2021年の成績は、逆転Vを含む優勝9回(開催試合数の少なかった2020年と統合)。
古江彩佳とのし烈な賞金女王争いも制し、異例尽くめの統合シーズンを終えました。
トレーニングにもひたむきで、オリンピック準優勝の翌日も朝8時から練習をしていたというストイックさこそ、強さの秘密と言えるでしょう。
新規参入者は多いもののゴルフ人口は横ばいかやや減少気味
コロナをキッカケに、ゴルフを始める人がいる一方、ゴルフを含む外出をやめ、ひたすら自粛に努める人も存在しました。
特に、自身や家族に健康不安がある人や、職業上、人と接する仕事の人は、自分は良くても周りのためにと、ひたすら我慢しているように見受けられます。
そのためか、ゴルフ人口は若い人の参入で総数が増えたかと思いきや、横ばいか、やや減少気味の傾向となっています。
コロナ禍が終わったらゴルフを再開する人もある程度予想されますが、これを機会にゴルフをやめてしまった団塊世代の人も少なくないのかもしれません。
コロナだけでなく団塊世代の高齢化や少子化も関係
ゴルフ人口が減少気味と言われている要因は、コロナでの自粛だけでなく、少子化によるゴルフ対象年齢の減少という問題も関係しています。
ゴルフを楽しんできた団塊世代の高齢化が進み、2015年問題ほど極端な予想はされていませんが、徐々にゴルフ場を去る人が増えてきました。
仮に以前より健康寿命が10年延びているとすれば、2015年問題は2025年問題になっているからです。
また、コロナをキッカケにゴルフを始めたという人の中には、一度ラウンドをしたものの、継続していないという人もいます。
20代〜60代までの日本人の3人に1人はゴルフの経験者と言われていますが、継続してゴルフをしているのは全体の9%程しかいないと言われており、以前はゴルフをしていたが、現在はやめてしまったという割合が多くなっているのが現状です。
コロナをキッカケにゴルフを始めたという人も、ぜひ継続して続けていってほしいものですね。
ゴルフはやっぱりお金がかかる?
ゴルフ人口の減少には、経済的な負担も大きくかかわっています。言うまでもなく、ゴルフを続けていくのには多かれ少なかれお金がかかります。
ゴルフ未経験者にゴルフをやらない理由を聞いてみると、お金がかかりそうという理由が半数以上を占めているのです。
ゴルフのプレー料金もバブル経済時に比べれば手頃になってきたものの、まだまだ高いと感じる人が多いようですね。
ある調査によると、ゴルフコースを選ぶ際には価格を一番に重視するという人も増えてきており、低価格化により、バッグの積み下ろしなどは自分で行うなど、セルフスタイルのゴルフ場も増えてきています。
税金が高いため、ゴルフ場も値段を下げるに下げられない
ゴルフ場でプレーする際の料金の中で、理不尽かつ最大の負担となっているのがゴルフ場利用税です。
ゴルフ場利用税は地方税法に基づいていて、ゴルフ場が所在する都道府県が、ゴルフ場を利用する人に対して1日あたりの定額で課す税金となっています。
ゴルフ場でプレーする際には、600円~1200円の利用税を問答無用で徴収されてしまいます。
ゴルフ人口が減少しているにもかかわらず、ゴルフ利用税は何の対策も取られないまま、一定額で課されているのです。
プレー代の一部は、ゴルフ場の懐に入るわけではなく、市区町村に交付されているという訳ですね。
ゴルフ場の経営環境
ゴルフ場の収入は、プレー代に加え、会員が入会した際の名義変更料や、毎年の年会費などが主となっています。
ビジター料金の単価が土日・平日を平均して1万円、年間来場者が4万人の場合、単純計算して4億円の売上見込みです。
この4億円を高いと思うか安いと思うかは個人によって違いますが、ゴルフ場は広大な土地を有しており、税金の他にもそのメンテナンスに多額な経費がかかるため、決して潤っている状態とは言えません。
実際にコロナ禍により若者の参入が増えたと言われていても、ゴルフ場の経営破綻は全国で続いており、これ以上プレー料金を下げるのは難しいといった懸念も出ています。
ゴルフは敷居の高いスポーツ? ゴルフ人口増加時代に合った対策を!
紳士のスポーツと言われていたゴルフも、現在はカジュアル化の動きを見せ、高級ゴルフ場と気軽に行けるゴルフ場と、二極化している傾向が見られます。
以前からの接待を行う人たちや、しっかりとしたサービスを受けたいという人は、そのようなサービスが受けられるゴルフ場に足を運び、気軽にスポーツとしてゴルフを楽しみたいという人は、値段も安く、ワイワイと楽しめるゴルフ場を選ぶでしょう。
プレー代が安ければ、バッグの積み下ろしなど自分でする、という意向の人も多くいます。
これからのゴルフ場は、時代に合った施策を取ることで、安定した経営をしていくことが求められていくでしょう。