プロゴルファー
こせきよういち
マスターズのタブーにはご注意!~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#118
マスターズウィークですね。
この時期になると、アメリカのゴルフメディアはこぞってマスターズやオーガスタナショナルGCに関する最新情報や余り知られていないトリビアを根掘り葉掘り紹介します。
そのなかには他のトーナメントにはない厳しいルールや伝統的なマナーも多く含まれています。
そこで今回は、主に「パトロン(ギャラリー)」に対するマスターズの規制、タブーを集めてみました。
スマホ、カメラ、飲食物は持ち込み禁止
まず、マスターズのオフィシャルサイトには、パトロンによる持ち込みを禁止しているアイテムが列挙されています(下記のリンク先を参照)。
主なものは、
・電子通信機器(スマホ、パソコン、タブレットなど)
・ラジオ、テレビ、音楽端末
・武器類
・フラッグ、応援ボード類
・カメラ
・脚の先がとがったイス、肘掛け付きのイス、折りたためないイス
・ベビーカー
・飲食物、クーラーボックス
・メタルスパイクシューズ
・踏み台(折り畳みのはしご)、ペリスコープ、自撮り棒
・10×10×12インチ(約25×25×30センチ)以上の大きなカバン等
ほとんどが、いまや他のトーナメントでは溢れるように見られるアイテムです。
でも、品位と格調が徹底されているマスターズでは、伝統に反する“無粋”な物品であり、トーナメント風景になるとして持ち込みが禁止されているんですね。
観戦姿勢も厳しく規制
上記オフィシャルサイトには示されていませんが、パトロンが禁止されている行動も多々あります(下記のリンク先を参照)。
(1)コース内を走ること。でも、マスターズには人気の観戦ポイントがあり(例:16番パー3のグリーン周り)、開門直後には必死の形相で“走り歩き”をするパトロンの姿が大勢見られるようです。
(2)下品なヤジ。他のトーナメントでは、ティショットに合わせて “You da man!”とか、“Mashed potatoes!”といった叫び声が良く聞かれます。しかし、ここでそんなことを叫んだら、即刻退場です。
(3)芝生の上に腰を下ろしたり、寝転がること。ですので、上掲の画像の連中はすぐにセキュリティから厳しく注意されたはず。
(4)酔っぱらうこと。これも、即退場のマナー違反です。
(5)プレーヤーにコース上でサインを求めること(練習場近くの一部エリアでは認められています)。
他に、キャップを後ろ前(ツバをうしろ向き)に被ること、芝生の上を裸足で歩くことも禁止のようです。
選手・関係者も例外ではない
マスターズではトーナメントの主役である選手やその関係者も、同様に厳しいマナーが求められます。
先日、アメリカのネットゴルフメディア「ゴルフドットコム」がマスターズに出場したプロ40人を対象に行った聞き取り調査の結果を発表しました(下記のリンク先)。
その問いのひとつに「オーガスタナショナルGCで叱られたことがありますか」という項目があり、実に33%(13人)の選手が「イエス」と回答しています。3分の1の選手が叱られた経験があるのです。
ちなみにその内容は、
「16番パー3で水切りショットを撮影し、それをネットに投稿したんだけど、見つかって削除されてしまった」
「ドライビングレンジで芝の上に腰を下ろしていたらトラブルになってしまった」
「走ったら叱られた」
こんなエピソードを持つプロも
3年前の米「ゴルフダイジェスト」の電子版では、あるプロが匿名で、マスターズで経験したトラブルや素晴らしい待遇の経験を告白しています。
そのなかに、タブーに触れたエピソードが3つ紹介されています。
(1)大会の2週間前、古くからの相棒のキャディと二人でコースを下見したときの話。
「コースキャディの案内でコースを下見したあと、パー3コースをプレーさせてもらった。途中でゴルフが大好きな相棒に、打ってみるかい? とウェッジを差し出すと、そばにいたコースキャディが手で押さえ、『もし彼が打ったら、私はクビになる』って言うんだ。大げさとは思ったけど、多分本当なのだろう」
(2)練習ラウンドでのこと。彼のコーチが携帯電話でスウィングを動画撮影したところ、やっぱり見つかってしまい、コーチは直ちに敷地外に放り出された(コースの隅々までセキュリティがモニター等で監視しているのでしょう)。
(3)彼の父親がショップでお土産を買おうとしたが、提示したカードが使えない設定になっていた。
そこで父親はセキュリティの姿が見えないところまで行って、携帯電話を取り出し、カード会社に連絡しようとしたところ、二人のガードマンが両側から父親の肩をつかみ、狭い小部屋に連行した。彼が迎えに行くと、父親は青ざめて怯えている。
言いたいこともあったが、険悪な雰囲気だったので何も言わなかった(従順に対応した)。それでも解放されるまでに1時間もかかってしまった。
このプロは最後に「たくさんの選手が自分と同じような経験をしているはず」と語っています。
さて、実際のところは? そして、それは日本の選手も例外ではない?
もちろん日本人パトロンも? 気になるところです。