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ゴルフスイング

Taddy Bear

カップの「向こう側」まで届かせるパット練習法

ボールはカップまでしっかりライン上。コロン、と落ちると思った瞬間、「くいっ!」と曲がってカップインならず。

これ、初心者、上級者を問わず誰でも経験すること。まるでゴルフの神様がいたずらしているみたいですね。

この悔しさを少しでも減らすために、カップまでしっかり届かせる練習をしましょう。

カップを通り過ぎてもカップインはしない、という名言

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「届かなければ入らない」

トーマス・ミッチェル・モリスことオールド・トム・モリスの名言です。

息子のトム・モリス・ジュニアに向けたアドバイスとして後世に語り継がれています。

ジュニアは、父と同じく全英オープン優勝4回の実績を持つ天才。わずか24歳で夭折(ようせつ)しました。

ジュニアほどの天才であれば、カップに届けば必ず入りそうな気がしますね。でも、我々アベレージゴルファーの凡人になると……。

「カップに届かなかったパットは確かに入らない。しかしカップを通り過ぎたパットもカップインしない」

という、球聖ボビー・ジョーンズの名言のほうがずっしりと響きます。

「届かなければ入らない」と自分に言い聞かせた結果、1〜2メートルもオーバーさせて3パット。

気分が一気に凹む瞬間でしょう。

アーノルド・パーマーは「臆病なパットにチャンスはない」と名言を残しました。

でも、臆病じゃない! 届かなければ入らない! と念じながら打つパット、どこか玉砕戦法に似ていませんか?

最後のひと転がりは神頼み

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グリーンを転がるボールは速度が遅くなるほど、芝目や傾斜の影響を受けやすくなります。

ましてカップ周辺はもっともプレイヤーに踏まれているところ。

スパイク跡は直すことができるようにルール改正されましたが、それでも芝目は微妙に変わっている場合があります。

最後のひと転がりは、まさに神のみぞ知る仕業。ゴルフが神頼みになっては面白くありません。

ジャストタッチでカップインするのは気持ちの良いものですが、やはり神頼みではなく、実力で入れたいですよね。

パットはラインとボール速度の相関関係。両方のバランスが均衡した時、カップインします。

逆にカップインしなかった時は均衡が崩れ、どちらかが変動した結果。つまりミスの因果関係になります。

オールド・トム・モリスもボビー・ジョーンズも、そしてアーノルド・パーマーも言っていることは最終的に同じ。

正しいラインに対して、それに見合ったボール速度のストロークをすればカップインは必然です。

もっとも、これが毎回できないからプロでさえ、長時間かけて練習しているわけですね。

パットの練習方法はいろいろあるけれど、ここで紹介するのは最後のひと転がりで入るパットではなく、確実にカップをオーバー、つまり届かせる練習方法です。

といってもショートパットから1メートルもオーバーしていたら練習の意味がありません。

オーバーする距離は30センチ程度。これなら返しのパットでミスすることもないでしょう。

カップオーバーなら返しのラインが読める

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確実に30センチオーバーするパットのメリットは、返しのラインが読めることです。

前述したように、カップ周辺は微妙にアンジュレーションがついている場合があります。

これ、カップ手前でショートしたパットではわかりませんよね。

しかし、多少ストロークが強くて50センチオーバーしても、アンジュレーションがわかっていればカップインの可能性は高くなります。

またカップインは本番であればとてもうれしいことですが、練習ではどの程度オーバーしているのかわかりません。

したがって練習ではカップの上を通過するストロークをしましょう。

カップの上を通過させるなんて強いストロークじゃないと無理! と考えるのは早計。

カップはあくまで目印、ボーリングのスパットと一緒です。そこを通過した30センチ先にカップがあると想定すればいいだけです。

でも、イメージだけでは正確なカップの大きさを描きにくいですね。だったら、練習用に仮想カップを作ってはいかがでしょう。

仮想カップをイメージして確実に届かせる

カップの直径は4.25インチ、108ミリ。

余談ですが、セントアンドリュース・オールドコースの管理・改造を行っていたオールド・トム・モリスが土管でカップを作って以来、直径は変わっていません。

話を戻すと、コンパスで54ミリの半径を取れば、誰でも擬似的な平面のカップを作れます。

素材はダンボールでもプラスチックでも問題ありませんが、エッジが高いとボールが跳ねてしまうので正確さに欠ける場合があります。

作るのが面倒だったら、同じくらいの大きさのコースターなどでも代用できますよ。

自宅であれば、これをカーペットの上に置き、ボールを通過させて30センチぐらいのところで止まるストロークを練習します。

ちなみに、筆者が愛用している自作の仮想カップはコレ。文化系なので正確なのはサイズだけ。

直線はけっこー、いい加減です。

4分割にしたのは、上りの場合は上を通過させ、下りの場合は下を、左右の傾斜はそれぞれの4分の1を通過させることが目的。

左右の小さな穴は、練習用グリーンで使う際、風で飛ばないようにマーカーで刺すためのものです。

練習グリーンにはカップを切っていないコースもありますが、これを持参すればどのような傾斜でも、どれほどの距離でも自分用の仮想カップを設置できます。

パットはイメージが大切とよく言います。それはあくまで本番の時。

練習ではできるだけイメージを視覚化したほうがスキルアップにつながります。