プロゴルファー
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今年も見られるか?優勝争いの中に見る人間ドラマ
2月最後のPGAトーナメント、ザ・ホンダ・クラシックは、ジャスティン・トーマスの優勝で幕を閉じました。
プレーオフの末、2位に屈したルーク・リストはPGAツアー初優勝を逃す悔しい試合となりました。
次こそは! の気持ちでぜひ初優勝をもぎ取ってほしいと思います。
最終ホールの3打目をベタピンとしてバーディ、プレーオフでもきっちりバーディを取って優勝、昨年の全米プロを勝った勢いそのままのジャスティン・トーマスが意地を見せつけた戦いぶりでした。
リッキー・ファウラーからジャスティン・トーマスへ
が、そこには厚い友情に応える「意地」があったのです。
昨年(2017年)のホンダ・クラシックはリッキー・ファウラーが優勝しました。一方でジャスティン・トーマスは残念ながら予選落ち。
しかし最終日、親友の優勝を祝福しようと駆け付けたトーマスの姿に、ファウラーは思うところがあったのでしょう。
今年のホンダ・クラシックは、奇しくもファウラーが予選落ち、トーマスが優勝争いという展開に。
ファウラーは彼女を連れて最終日、最終ホールを見守り、トーマス優勝の瞬間を仲間とグータッチで喜ぶ姿が映し出されていました。
完全なるお返し。こんなストーリーを実現させたトーマスの意地が素晴らしい。
アダム・スコットからジャスティン・ローズへ
2013年のマスターズ・トーナメントでも、友情の力を思わせる出来事がありました。
オーストラリア勢で初のマスターズ制覇を成し遂げたアダム・スコット。
大先輩であり、スコットが少年の頃から目をかけてくれていた、あのグレッグ・ノーマンでさえも成し得なかった偉業に、体が震えるほどの喜びを見せた雨のグリーンは、とても美しい光景でした。
スコットは、この大会で25位タイに沈んだ友人ジャスティン・ローズに対して、「次は君の番だよ」と声をかけたといいます。
勇気を得たローズは、その年の全米オープンで優勝を果たしました。
ペイン・スチュワートからフィル・ミケルソンへ
全米オープンといえば、1999年のペイン・スチュワートの迫力ある優勝シーンが有名ですが、スチュワートはその前年の全米オープンでリー・ジャンセンとの優勝争いに負け、Good Loser(良き敗者)を演じています。
翌年に雪辱を晴らしての見事な優勝、そしてその4ヵ月後の飛行機事故、スチュワートの人生は伝説と化しました。
ところが、物語はそこで終わりません。
スチュワート優勝に泣いた2位の選手がフィル・ミケルソン(当時29歳)でした。
スチュワートは優勝の瞬間、ミケルソンへと歩みより顔を引き寄せ、「いい父親になれ!」と話したといいます。
ちょうどこの日は父の日、そして今にも第一子が生まれようというなか、メジャーを戦い抜いたミケルソンへ、自身が味わった昨年の負けと今年の勝ちを、来年はお前が果たすんだ! と言わんばかりのエールでした。
全米オープン2位が6回、今年こそのミケルソン
スチュワートとの死闘で2位に屈して以降、なんと全米オープンで2位を6度も重ねていながら、あと一歩のところで優勝できずにいます。
▼ミケルソン2位の全米オープン
1999年 ペイン・スチュワート優勝
2002年 タイガー・ウッズ優勝
2004年 レティーフ・グーセン優勝
2006年 ジェフ・オギルビー優勝(2位タイ)
2009年 ルーカス・グローバー優勝(2位タイ)
2013年 ジャスティン・ローズ優勝(2位タイ)
また、ミケルソンは全米オープンを勝てば4大会すべてのメジャーを制覇した証『キャリア・グランドスラム』の達成となります。
ペイン・スチュワートとの優勝争いから18年。
ようやくスチュワートに、そして18歳になる長女に、全米オープン優勝の報告ができるかどうか。
現在47歳のミケルソンですが、長い長い、挑戦が続いています。
技術の素晴らしさを観戦するだけではもったいないくらい、各々のドラマを抱えながら戦う選手たち。
今年もメジャーを中心に、各試合で、そしてライダーカップで、感動のドラマを見せつけてくれることを期待しています。