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ロマン派ゴルフ作家の篠原

新・貧打爆裂レポート『TOUR B BRM ウエッジ』と『TOUR B BRM HF ウエッジ』

今回の貧打爆裂レポートは、2020年9月18日に発売されたブリヂストンスポーツ『TOUR B BRM ウエッジ』と『TOUR B BRM HF ウエッジ』です。

いつものようにコースに持ち込んで、ラウンドしました。ブリヂストンスポーツの新しいウェッジの秘密に迫ります! 動画も含めての試打レポートです。

『BRM』は古くて新しい面白いウェッジだ!

『TOUR B BRM ウエッジ』と『TOUR B BRM HF ウエッジ』は、ブリヂストンスポーツが2020年9月18日に発売したアイアンです。

ブリヂストンスポーツの説明では、『TOUR B BRM ウエッジ』は、多彩なアプローチに対応するティアドロップ型、です。『TOUR B BRM HF ウエッジ』は、スクエアに構えやすい日本向けの丸形グース形状、です。

【試打クラブスペック】『TOUR B BRM ウエッジ』
ヘッド S20C軟鉄鍛造
ロフト 50度/10、56度/10(他に、48度、52度、54度、58度あり)
ライ角 63.5度
シャフト N.S.PRO MODUS3 TOUR105(S)

【試打クラブスペック】『TOUR B BRM HF ウエッジ』
ヘッド S20C軟鉄ハイブリッド鍛造、純チタン、セラミック
ロフト 50度/10、56度/12(他に、48度、52度、58度あり)
ライ角 63.5度
シャフト N.S.PRO MODUS3 TOUR105(S)

『TOUR B BRM ウエッジ』と『TOUR B BRM HF ウエッジ』は、新しくなった『TOUR B』シリーズのウェッジです。2種類というところに、気合いが入っていると感じさせます。

『TOUR B BRM ウエッジ』は、今風の形状をした本格的なウェッジです。

テクノロジーは、名称になっている「BRM(バイティングレールミルド)」が面白いです。溝と溝の間に、6本のミーリングを刻んで、その1本1本にギザギザに凸部を配置したのです。スピン性能を向上させて、スピンを安定させる効果があるそうです。

「グラビティコントロールデザイン」はバックフェースの肉厚をロフト別に、三次元に調整したことです。

フルショットしやすようにヒールよりを厚くしたり、アプローチで打点がずれても弾道が安定するようにトウ側を厚くしたり、使用する状況に考えて調整されています。

最後のテクノロジーが、「ロフト別ソールデザイン」です。

Fソールは、フルショットでの抜けを良くして、Mソールは、フェースを開いたり、多彩なアプローチが出来るように工夫されています。Aソールは、両方の使用で使いやすくなっています。3種類のソールです。

『TOUR B BRM HF ウエッジ』は、丸形でグースしているウェッジで、日本のオールドゴルファーには懐かしい形状です。

バックフェースはセミキャビティ形状になっています。「BRM」の溝は共通のテクノロジーです。

特別なのは「ハイブリッド3ピースウェッジ」というテクノロジーです。

軟鉄を鍛造する前に、ロフト別にヘッドの内部にチタンのプレートとセラミックのコアを入れて、重心位置を変えることで、ミスに強く、アプローチを安定させます。

重心位置を調整することは、ウェッジでは最先端のテクノロジーで、各メーカーが競うようにしてしのぎを削っています。そういう中で、『TOUR B BRM HF ウエッジ』は、特別です。

「ロフト別ソールデザイン」は、『TOUR B BRM HF ウエッジ』では4種類になります。

56度のロフトに採用されているEソールがあるのです。イージーにやさしく打てるようにワイドソールになっています。

『TOUR B BRM ウエッジ』と『TOUR B BRM HF ウエッジ』は、丁寧に作られていて、気合いも感じます。

ブリヂストンスポーツが蓄積してきた経験と最先端のテクノロジーが融合して、本当に面白そうなウェッジになっております。

『BRM』は2種類から選べるのが良い!

動画を見てください。

『TOUR B BRM ウエッジ』と『TOUR B BRM HF ウエッジ』をコースで打ってみました。

まず、『TOUR B BRM ウエッジ』です。

ウェッジの外観がシンプルで、アドレスビューも完璧です。ティアドロップ型のウェッジが、現在は主流です。見慣れているからこそ、細部が気になるものですが、一切、文句の付けようがないのです。

打ってみてわかるのは、ツアーウェッジらしさ、です。骨太に狙ったところにボールを止めようとしてくれます。

人によっては、ロフトよりも飛ばないと感じるかもしれませんが、こっちが正しいのです。

少し気になったのは、打音です。現在売れているツアーウェッジは、高音質で適度な音量の打音がしますが、『TOUR B BRM ウエッジ』の打音は、控えめな音量で、少し濡れた金属音質なのです。

日本のオールドゴルファーが、このような打音を好む傾向があるのは理解できますが、個人的には残念でした。高音質の打音のほうが、広くゴルファーに受けるような気がします。

ウェッジは感性で使う道具でもあります。使ってみたいと思えることは重要です。

『TOUR B BRM ウエッジ』は、高機能でオーソドックスなツアーウェッジを求めているゴルファーにオススメします。

2020年、ウェッジには新しい流行が始まりつつあり、今までのスタンダードだったウェッジの新製品が減ってきています。

『TOUR B BRM ウエッジ』は、そういう意味で、王道のウェッジなのです。新しい考え方で作られたウェッジが、自分に合わないと感じたゴルファーにもオススメします。

続いて、『TOUR B BRM HF ウエッジ』です。

丸形のシェイプとグースネックは、昭和の時代に日本人ゴルファーのスタンダードでした。欧米はティアドロップ型でストレートネックが主流になっていたので、日本の芝生には丸形とグースネックなのだと考える人たちもいました。

『TOUR B BRM HF ウエッジ』は、本当に懐かしい形状です。

僕も若い頃は使用していた形状ですが、20年以上使っていません。どんな感じなのか、けっこう不安な気持ちで打ちました。

打音は、控えめな音量で、濡れた鞭のような短音です。打ち応えにビックリしました。想像以上に良いのです。フェースのどこに、どんな感じでボールに当たっているのかが、わかります。

そして、弾道も良いのです。気持ちの良い高さに打ち出されて、適度にスピンがかかって止まります。

打つ前には『TOUR B BRM HF ウエッジ』をノスタルジックなウェッジだと思い、期待していなかったのです。

180度変わりました。確かに形状は古き良き時代的なのですが、中身は最先端なのです。

ポケットキャビティのアイアンの多くはグースしていることもありますので、そういうアイアンを使っているゴルファーに『TOUR B BRM HF ウエッジ』はオススメです。

フェースの大きさとかでも、一切の違和感を感じないはずです。アイアンはキャビティで、ウェッジはマッスルバックというのは、やはり少し奇妙なのです。

試打をして特に良かったのが、『TOUR B BRM HF ウエッジ』の56度です。やさしいというEソールは、本当にやさしいのです。

多彩な球筋を打つのには適していませんが、同じ球筋で寄せれば良いだけですし、とにかく、ミスヒットに強いのです。

芯を外して当てて、ボールの勢いを殺す「死に球」という上級テクニックがありますが、『TOUR B BRM HF ウエッジ』の56度では使えません。ボールの勢いが死なないからです。

とにかくやさしくアプローチしたいというゴルファーには、『TOUR B BRM HF ウエッジ』の56度はオススメです。

『TOUR B BRM ウエッジ』と『TOUR B BRM HF ウエッジ』は、『TOUR B』らしいウェッジだとも言えますし、『TOUR B』らしくないウェッジだとも言えます。

2種類のウェッジがある意味は、王道と革新のバランスを取るためだと思うのですが、その中身は、想像を良い意味で裏切ります。

自分に合うのはこっちだ、と決めつけずに、実際に打ってみてから選ぶべきウェッジです。