ゴルフクラブ
風と草の大地
『重心ハンドブック』を使ってマニアックなクラブ選びをしてみませんか?
クラブの新製品が出ると、いろいろなところで「重心を低く」「最適重心設計」「高慣性モーメント」等という言葉を見ませんか?
じゃあ実際クラブどうしを比較して、どんな数値になっているか気になりませんか?
今回はメーカーやプロの宣伝、弾道測定値ではなくクラブデータ比較の紹介します。
ザ・マニアック本『重心ハンドブック』
年1回『ゴルフクラシック』(日本文化出版)という雑誌の付録で手に入る『重心ハンドブック』。
画像は私の私物ですが、ドライバーの他にアイアン版もあります。
今年の6月号(4月21日発売)には「完全保存版」と称して、1995年から2020年に販売されたドライバー、フェアウェイウッド&ユーティリティ、アイアン全5309モデルの数値を掲載した付録が付いていました(トップ画像)。
一度でも中身を見たことがある人はわかると思いますが、超が3つ付くほどマニアックな内容となってます。
クラブメーカーの公表値ではなく、すべて測定したリアルデータなので、表示ロフトとリアルロフトの違い等も正確にわかります。
しかし、読めば読むほど、あれも試したいこれも試したいと、面白い衝動に襲われます。
薄いので、車やキャディバッグに入れてどこでも見られるようにするのもいいですね。
しかし、残念ながら『ゴルフクラシック』がその6月号で休刊してしまいました。今後の『重心ハンドブック』はどうなるのでしょうか……。
見る時は明るい場所で目を近付け過ぎない
これがその『重心ハンドブック』の中身。私物なだけあって蛍光マーカーの痕がお恥ずかしい。
おわかりでしょうか? 『重心ハンドブック』の中身は9割9分数字が延々と羅列されています。
もちろん何がどんなデータなのか解説もありますので、すぐに読むことができます。
通常の雑誌の記事などでは最新クラブしか取り上げられない場合が多いですが、この『重心ハンドブック』は、1995年からデータを取っており、かなり過去のモデルまで遡って調べることができます。
残念ながら本当に全クラブのデータを取っている訳ではないので、未計測で掲載のないクラブもまれにあります。大手メーカーのニッチなクラブとか一部の地クラブが記載がない場合ありますね。
『重心ハンドブック完全版』もあります
『ゴルフクラシック』の臨時増刊号に『重心ハンドブック完全版』があります。
こっちは広く浅くという感じの内容です。ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、シャフトとデータがあります。
発売が2018年なのでデータが気持ち古いのが難点でしょうか。
2018年というとテーラーメイドのM3、M4、キャロウェイのローグシリーズあたりが最新の時代です。
実際何が書いてあるの?
実際に書いてあるデータを紹介します。
「ヘッド体積」
「ヘッド重量」
「慣性モーメント(ヘッドのブレ難さ)」
「表示ロフト」
「リアルロフト(実際のロフト)」
「ライ角(リーディングエッジとシャフトの角度)」
「フェイス角(アドレスした際のフェースの向き)」
「FP値(シャフトとフェースの位置関係)」
「重心距離(シャフト軸から重心までの距離)」
「重心深度(フェースから重心位置までの距離)」
「重心高1(リーディングエッジから重心までの高さ)」
「重心高2(フェースの上から重心までの距離)」
「重心角(机などにクラブを置いてヘッドを垂らした際フェースが上を向く角度)」「発売年」
14項目と非常に細かい内容となってます。正直すでに目が痛い人もいるでしょう。
球のつかまりを重視する人はライ角、フェイス角、FP値、重心距離、重心角を重視するといいと思います。
弾道の高さやスピン量を重視する人は表示ロフト、リアルロフト、重心深度、重心高、重心高2を見るといいと思います。
ちなみに、初めてこの本を読んで第一に驚くのがヘッド体積かと思います。
メーカーカタログではほとんど460ccと表示されていますが、実際460ccのクラブは意外と少ないんです。
逆に460ccを超えているヘッドもあることに驚く人もいるのではないでしょうか?
実はヘッド体積にもルール適合、許容誤差範囲(適合)、ルール不適合とあり、470ccまでは許容誤差範囲となっているのです。
まったく曲がらないことで有名なピンの「G400 MAX」はヘッド体積467.1ccと記載されているんです!
ちなみに年度毎に全データの平均値も記載がありますので、そこから本当にど真ん中のクラブを探すのも楽しいかもしれません。
私はこういう風に読んでいる
まず、買って比較的いい結果だったクラブとまったく合わなかったクラブに分けてマーキングします。
そこからクラブデータの違いを見つけて、合う傾向のクラブ、合わない傾向のクラブを仕分けします。
それだけでもだいぶ世界が変わってきます。
メーカーの広告に流されず「自分にはこういうクラブが合いやすい」となります。
また高弾道やつかまり、低スピンを売りにしているドライバーは、それぞれ特徴的な共通点を見つけられると思います。
有名なところだと高弾道が売りのクラブですね。
仮にヘッドに表示されているロフトが10.5度だったとします。でも実際に計測したリアルロフトは12.5度とか2度以上差があるクラブとか当たり前にあります。
この他にも「重心設計が似ているからあのクラブを試してみようかな」なんてこともあります。
慣れてくると合う合わないに直結して優先して見る数値が出てきます。そこからノーマークだったクラブに急に興味が湧くことだってあります。
いろいろなクラブが乱立してどのクラブを選んだらいいのかわからなくなってきた時など、クラブ購入の方向性を決めるのに役立たせるためにぜひ読んでみてください。