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ゴルフクラブ

Nick Jagger

ロフト、バウンス、形状……ウェッジの基礎知識を知っておきましょう

ひと昔前、アイアンセットは3番アイアンからサンドウェッジまでが1セットになって販売されていました。

それが近年、3、4番アイアンというロングアイアンが姿を消し、5番アイアンからピッチングウェッジというセットがポピュラーな組み合わせとして定着してきたようです。

ロングアイアンの代わりに、ユーティリティークラブやショートウッドを単品で購入したり、多様化したウェッジもまたアイアンセットとは別のメーカーのクラブを入れているというのが、プロ、アマを問わず一般的なクラブセットでしょう。

そこで今回は、単品で購入する機会が多いウェッジの基礎知識について説明いたしましょう。

ウェッジの種類

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ウェッジには、用途別に4つの種類があります。

ロフトの少ない(立っている)順から、ピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジ、ロブウェッジです。

ピッチングウェッジは、アベレージクラスの一般男性アマがフルショットで打って、100~120ヤードくらいを打つためのクラブです。

アプローチウェッジは、アプローチショット全般でよく使われるクラブで、フルショットの飛距離は大体100ヤード前後です。

メーカーによって、ピッチングサンドやフェアウェイウェッジ、ギャップウェッジなどと呼ばれることもあります。

サンドウェッジは、元々バンカーショット専用に作られたクラブです。

広いソールとバウンス(ソールの出っ張り)が特徴で、バンカーショット以外でもアプローチ全般に使われます。

フルショットの飛距離は60~90ヤードくらいです。

ロブウェッジは、その名の通りロブショット(テニスのロブからが由来。フワリと高く上げて、柔らかく落とすショットのこと)を打つためのクラブです。

ボールを高く上げるために、非常に大きな(寝た)ロフトを持っています。フルショットでもせいぜい50~70ヤードくらいしか飛距離は出ません。

ウェッジのロフト

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伝統的なクラブセットでは、ウェッジと言えばピッチングウェッジのことでした。サンドウェッジが誕生したのは1933年のことです。

バンカーショットが苦手だったジ-ン・サラゼン(写真)が、バンカー専用のクラブとして発明し、やがてそれが広まって定着したのです。

この「ウェッジ2本時代」のロフトは、ピッチングウェッジが52度前後、サンドウェッジが55~56度が一般的でした。

やがて、ピッチングウェッジのロフトが48度前後に立ってきたため、サンドウェッジとの中間距離を打つためのクラブとして、アプローチウェッジが使われるようになります。

このクラブのロフトは50~54度くらいです。

近年は、アイアンのストロングロフト化(アイアンも飛距離が出るように、それぞれの番手のロフトを立てた設計のこと)が進んで、ピッチングウェッジのロフトは44~45度前後が普通になり、サンドウェッジとのロフト差が大きくなってしまったため、アプローチウェッジの重要性は、以前よりも高まっています。

ロブウェッジは、アメリカPGAツアーでの、グリーンの高速化に対応するために、まずプロツアーから浸透していったクラブです。

高く上げて、垂直に近く落下させることで、スピンを強くかけられない短い距離でもスピンを入れられるのと同時に、ボールを重力で止めることができます。

ロフトは60~64度くらいです。

バウンスとはなんでしょう

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バウンスとは、サンドウェッジのソールにつけられた下方向への出っ張りのことです。

この出っ張りがあることで、バンカーショットの際、クラブヘッドが砂に深く潜り込まないようになっています。

バウンスが大きいほど、この効果は高くなります。

バウンスがあることによって、ボールを砂ごと爆発させるようにして打つ、いわゆるエクスプロージョンがやりやすくなるのです。

ジーン・サラゼンは飛行機の尾翼から、このソール形状を思いついたそうです。

その後、サンドウェッジはアプローチにもなくてはならないクラブになり、その際、大き過ぎるバウンスはフェアウェイなどではむしろ邪魔になりますので、バウンスを少なくしたサンドウェッジが一般的になってきました。

ただそれでは、バンカーショットがしづらくなるので、ソール形状の工夫により、フェースを閉じるとバウンスがあまり強調されず、バンカーでフェースを開くと、バウンスが強く働くようになっています。

バンカー脱出を重視するなら、バウンスは12~15度程度あったほうがよく、アプローチでの使い勝手を重視するならば、8~10度くらいが扱いやすいでしょう。

ヘッド形状について

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ウェッジのヘッド形状には、大きく分けてグース型とティアドロップ型の2つがあります。

グース型というのは、リーディングエッジがシャフトの左端のラインより中(右側)にあるのが特徴で、フェースを開かずにボールを上からつぶしてスピンをかけるような打ち方に向いています。

また、ヘッドが四角ばっていて、大きめというのも特徴の1つです。

80年代に、全盛期のジャンボ尾崎がこの形状のウェッジを使っていたことから、日本ではプロ、アマを問わずに人気があり、当時発売されるウェッジのほとんどがこの形だったのです。

ティアドロップ型は、その名の通り、涙のしずくのような形状が特徴です。

膨らんだトウ側からネック側にかけて徐々に幅を絞ったようになっています。

また、別名「出っ歯型」と呼ばれ、リーディングエッジがシャフトの左端のラインより外(左側)に出っ張っています。

形状的にはフェースを開きやすく、またボールが沈む洋芝のフェアウェイからでもボールを拾いやすいので、海外、主にアメリカのメーカーのウェッジは、90年代初頭からこの形状が主流となっています。

現在でも名器と名高いクリーブランド社の「ツアーアクション588」は、この形状の代表的なウェッジです。

日本では、長くグース型が人気でしたが、2000年頃にタイトリスト社の「ボーケイウェッジ」が流行し、ティアドロップ型が一気に市民権を得て、グース型は徐々に姿を消し、現在では販売しているメーカーも少なくなってきています。