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ゴルフスイング

飛太郎

「高いトップ」「フライングエルボー」は飛ぶ!?そこにある勘違い。

こんにちは、飛太郎です。

「高いトップオブスイングでアップライト(鋭角)なスイング軌道で振ると飛ぶ」

「フライングエルボーは、飛距離アップに有効」

いろんな意見が飛び交う昨今ですが、そこに大きな勘違いがある事をお伝えしたいと思います。

大前提となる物理の法則と、人体の構造に準じたものでなければ、いろんな意味で大ケガの元となるからです。

「高さ」は有効ではありますが・・・

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ヘッドスピード(HS)を向上させる上で、確かに高いトップオブスイングは有効です。

物理の観点からも、高さが増せばより重力を活用でき、落下速度が増す事が立証されています。

しかしそれ故か、高いトップを作るためにフライングエルボーになるのも、時には仕方ないと言う人がいます。

そこに大きな勘違いが存在していると僕は考えていると同時に、そういった民間療法的に出回る真贋(しんがん)定かならぬゴシップに、大きな危うさを感じています。

当たり前の話になりますが、ゴルフは“高さ比べ”ではありません。

「高さ」はゴルフスイングにおいて、力を生み出すための一つのエッセンスに過ぎません。

もっと言えば、「高さ」は必須条件でもなければ、手だけで高く高くクラブを上げても何の意味もないという事です。

「力」は、扱いこなせてこそ初めて意味を成します。それは森羅万象において言える事ではないでしょうか。

重要なのは、「フライングエルボー=高さが使えて強い力が生まれる」ではありません。

「強い力を生む一連の動作の中に、結果として付随するのがフライングエルボーという一つの現象」

僕は、そうとらえる事が自然だと考えています。

フライングエルボーだから飛ぶだとか、飛ばし屋はみんなフライングエルボーだとか。

それは誤りだとハッキリ断言致します。

「生み出す」ではなく、「生まれる」動きを!

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地球上で行われるすべての営みには、自然の法則・物理の法則が働きます。

そして、僕ら人間はその物理の法則に抱かれながら、ゴルフを含むスポーツに打ち込んでいます。

物理と人体生理学を度外視して、ただ「高さは有効」とだけ鵜呑(うの)みにしてしまうと、上述したように「フライングエルボー」を曲解してしまいます。

結果、中途半端な飛距離しか出せない上に、人体にとってアブノーマルで危険なスイングを身体に覚えこませてしまう事でしょう。

“フライングエルボーが時には必要”という説を耳にする度に、そこはもっと慎重になる必要があると僕は常々考えています。

先の段落で「力は、扱いこなせてこそ意味を成す」と表現しましたが、不自然に生み出したエネルギーは、不自然な扱い方しかできません。

自然な一連の動きの中で「結果として生み出される」力こそ、ナチュラルに扱いこなせる本来の力だと、人体と物理から僕は考えます。

そういった観点から、手先で無理やり作ったフライングエルボーでは、手先で管理するしか方法がなく、とても力と呼べる代物ではないと言えるでしょう。

下半身の動力によって体幹が働き、捻転(ねんてん)が起き、その力の『余波』によって胸郭より上部に位置する肩・腕・肘が「開く動き」をする。

そうして生まれたフライングエルボーであれば、力の主導権を握るのは体幹と下半身であり続けるため、大きな力を生むアクションの一部として「有効」と言ってもいいかも知れません(それでも僕はやりませんが)。

更に言えば、写真のダスティン・ジョンソン選手やバッバ・ワトソン選手を「フライングエルボーだ!」と言う人が多く見受けられますが、上述した通り、彼らトッププロの認識とは大きな落差があるのはお分かりいただけるでしょうか。

彼らは胸郭から上の部位だけで、意図的にフライングエルボー気味にしているのではありません。

大きなエネルギーを生む動作の結果として、そうなっているだけの事です。

高いトップオブスイング、その意味は・・・。

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「高いトップオブスイング」

近代ゴルフスイングにおいては、ある種常識とさえ言えるほどに定着してきたスイング要素です。

しかしそれを表面的に受け取ってしまえば、申し上げてきた通り、望む結果は得られないでしょう。

先ほど例に挙げたダスティン・ジョンソン選手、そして写真のバッバ・ワトソン選手のトップオブスイングをよく見ていただければ、きっとお分かりになると思います。

高いトップオブスイングには、アドレスで作り上げた前傾角度の維持が必須条件です。

ぜひ試していただきたいのですが、テイクバックから前傾が起き上がってしまった場合、ヒザの屈曲を維持し、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と脹脛(ふくらはぎ)、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)に力を溜める事はほぼ不可能です。

前傾が起きる動きの中で、後方に力が逃げるからです。

アドレスとトップポジションでそのように前傾角度に矛盾が生まれてしまえば、下半身の力は大きく消失します。

その上で、なお「高いトップを作らねば!」としてしまうと、あとはお分かりかと思います。

もう腕でそうする以外にありません。下半身の助力が途絶え、一連の流れが止まるからです。

そうなると更に脇から腕が離れるため、それまで体幹からのエネルギーをつないでいたものが消えてしまいます。

結果、振り上げた腕は誰の助力もないままに、ただ腕だけの独力で振り下ろすしかなくなるわけです。

極端、あるいは過激な表現だと受け取られる方もいらっしゃるやも知れません。

しかし、それだけ「高いトップ」や「フライングエルボー」を大きく勘違いしている方が多いということ。

そして、その動きがどれだけその人のゴルフスイングを阻害しているか、ということ。

それを少しでもお伝えできればと考え、この記事を書きました。

ことゴルフスイングにおいては、胸郭から上の動きそれ単体の力では、微細な力しか生みません。

下半身と体幹の力を十分に活用した上でのフライングエルボーであれば、それはそれは素敵な飛距離が生まれることでしょう。

少しでもそこに自信が持てないのであれば、過度に肘を開かないように努めることを僕はオススメしています。

身体も壊しちゃうし、飛距離も半端なものしか得られないなんて、やる気なくなっちゃいますもんね。

それではまた、飛太郎でした。