ゴルフスイング
Nick Jagger
意外に簡単!?プロのスペシャルアプローチ
グリーンを外した時、ピンにどう打っても寄らないような状況がよくありますよね。
しかし、トーナメント中継を観ていて驚くのは、プロのアプローチショットの引き出しの多さです。こんな方法で寄せるのかと、アベレージゴルファーにはない寄せ方をします。
「プロだから、あんな難しいテクニックもできるんだ」という声が聞こえてきますが、案外簡単に打てるショットもあるのです。
パーオンできないホールが圧倒的に多いアベレージクラスのゴルファーも、アプローチの引き出しを増やせば、寄せワンの回数も飛躍的に増えること間違いなしでしょう。
低く出て、キュキュッと止まるスピンアプローチ
トーナメント中継でたまに目にする、低く飛び出してグリーンに落ち、2、3バウンド目くらいでキュキュッと止まるバックスピンの利いたアプローチショット。
これはアマチュアにとって、憧れのショットでしょう。
プロならではの難しい技だと思っている人も多いでしょうが、実は打ち方さえわかれば意外と打ててしまえるショットなのです。
某男子プロに聞いたところ、打ち方のポイントが4つあるとのこと。
まず、ボールは右足の前に置いて、クラブフェースを少し開きます。右足の前にボールを置くことで、クラブフェースが上から入りやすくなります。
フェースを開くのは、ロフトが多いほうがスピンがかかりやすいからです。
次に、右手首の角度保ったまま打ちます。これは、ボールを右足の前に置いていますから、自然にハンドファーストの構えになります。
ハンドファーストを保ってクラブヘッドを上から鋭角的に入れるために右の手首の角度を保つのです。
フェースを開いておいてヘッドを上から入れると、インパクトでロフトが立って当たり、フェース面にボールが食いついてスピンがかかるのです。
3つめは、クラブヘッドを鋭角的に入れるということです。これに関しては大げさに考えず、上から入れるイメージだけでいいでしょう。
そうすれば自然とインパクトで体が左に少し寄って、ヘッド軌道がダウンブローになるはずです。
フォロースルーではクラブヘッドを持ち上げず、低く出すとフェースにボールが乗ってスピンがかかりやすいということも覚えておきましょう。
最後は、速く振るということです。これがスピンをかける上で最も重要な要素になります。
ゆっくり振ったのではいくらフェースにボールが乗っても、ボールがフェースに食いつかずにスピンがかからないからです。
小さい振り幅でも最大限に速く振ることが、このショットの秘訣です。
この技を覚えると、グリーンを外した時、ものすごく曲がるラインであっても、ピンを直線的に狙っていけます。
ピンが手前だけど、芝が薄くてボールを上げるのが怖い状況でも使える技です。
ロブショットは無理だけど、1クッションアプローチなら簡単
1クッションアプローチとは、アプローチの種類というよりは、攻め方のバリエーションの1つです。
打ち方はピッチ&ラン、あるいはランニングアプローチです。
アプローチショットというのは、基本的にグリーン面にキャリーさせるのが定石です。
グリーン手前にキャリーさせると、ボールの跳ね方が一定しませんが、グリーン面ならば素直に跳ねて転がりの計算がつきやすいからです。
それをあえてグリーン手前にバウンドさせることで、ボールの勢いを殺すのがこの1クッションアプローチなのです。
「1クッション」とは言いますがもちろん状況によって2~3クッションさせてもOKです。
数が多くなるほど計算は難しくなりますが、ボールの勢いは殺されます。
実際に使う状況は、斜面の傾斜がそれほどきつくない砲台グリーンで、ピンが手前の時などに有効な技です。
傾斜があまりにも強いと、ボールが自分のほうへ跳ね返ってきてしまう可能性がありますから、そんなときはロブショットをするしかありません。
実際にはそれほどきつい傾斜に遭遇することは滅多にありませんから、1クッションアプローチが役立つのです。
ポイントは、必ず斜面に当たる高さのボールを打つことです。
斜面より高く上がり、グリーンにキャリーしてしまうと、大オーバーになるから絶対に避けましょう。
よほど高い砲台グリーンでない限り、使用クラブはピッチングか9番アイアンでいいでしょう。
斜面のどこにどれくらいの強さで当てると、ちょうどよく勢いがなくなったボールになるかが問題ですが、これは頭の中でイメージを思い描いて判断するしかありません。
しかし、経験を積んで判断がつくようになると、ロブショットよりははるかに安全なショットです。
打ち方はシンプルなので、ザックリやトップの心配がないからです。
砲台グリーンでもロブショットは最終手段と考え、まずは1クッションできるかどうかを見極めるのが賢いゴルファーと言えます。
ヒールを浮かせるチップショット
アベレージゴルファーにはあまり知られていませんが、上級者やプロがひそかに使っているアプローチがあります。
ヒールを浮かせてフェースのトウの部分で打つショットです。
使用クラブはサンドウェッジで、打ち方はとても簡単です。
クラブは右手がシャフトにかかるくらい短く持ちます。そしてボールの近くに立って構えます。
ヒール側が地面につかないように浮かせ、トウにボールを合わせます。そしてパターのように振り子で打つだけです。
ボールとの距離は、パッティングの構えとほぼ同じと考えてください。
ヒールを浮かせるから、ボールを打ちにいくフェースの面積が小さくなって不安を感じるかもしれませんが、パターのイメージで打っていけるからミスすることはまずありません。
この技が有効な状況は、カラーとラフの境目にボールが止まった時や下り傾斜でピンが手前の時です。
カラーとラフの境目は、夏場でラフが伸びている時に遭遇する厄介な場面です。
ボールの後ろの芝が邪魔でパターは使えないし、ウェッジで普通に打っても芝がヘッドにからまるためかなり難しい状況です。
そこでヒールを浮かせて、芝が絡みつくのを防ぎ(芝がからむのはヒール)、さらにトウを下げることで接地面積が少なくなるから、芝との抵抗も弱まるというわけです。
トウ側でボールをかき出すようなイメージです。
下り傾斜でピンが手前の時も、このトウで打つアプローチだと、いわゆる「死に球」が出るから安心です。
パターのように打てばいいのですから、小さい振り幅で簡単にヒットできますし、ちょっとだけキャリーする勢いのないボールになってくれるのです。
練習が多少必要なものからすぐにでも実戦で使えるものまで、いくつかアプローチの技を紹介しました。
ぜひ参考にしてください。