ゴルフスイング
Yanagi@TPIトレーナー&ドラコンプロ
ヘッドスピードを伸ばすコツ~運動連鎖の重要性と高め方
飛距離を伸ばすためには、何と言ってもヘッドスピードが重要です。
ザックリ計算ですが、ヘッドスピードが1メートル/秒(m/s)上がれば、ドライバーの飛距離は5.5ヤードほど伸びます。
プロゴルファーのように完成されたスイングからヘッドスピードを上げるのは容易ではありませんが、アマチュアゴルファーの場合はちょっとしたコツさえつかめば、簡単にヘッドスピードが上がる場合が多くあります。
そこで今回は、ヘッドスピードを上げる上で、アマチュアゴルファーが「できていない」ポイントを中心にご紹介します。
「地面反力」の重要性
最近のスイングレッスンでは「地面反力」というキーワードが良く出てきます。「地面反力」は言葉のとおり「地面から跳ね返ってくるチカラ」のことを言います。
日常生活で高くジャンプすることはありませんが、試しに踏み込まずに(棒立ちの状態から)ジャンプしてみてください。
おそらく、ほとんど飛ぶことはできないと思います。
一方、地面をグッと踏むように、深く沈み込んでからジャンプしてみてください。先ほどより高く飛べるはずです。
普段生活している中では意識していませんが、椅子から立ち上がったり、歩いたりするだけでも「地面反力」を使っています。
スポーツでは「地面反力」を十分に使えているかが競技成績にも影響してきます。
イメージしやすいところで言えば、スキーのジャンプ競技では踏み切りのタイミングまでに深く沈み込み、地面を踏み込んだ反動で高く飛び上がります。
「地面反力」と「抜重」をイメージしやすいスキーでは、グッと地面を踏み込んで「地面反力」を得て抜重してからターンしていきます。
ゴルフでは切り返しで踏み込むことによって「地面反力」を発生させ、上半身と下半身を上手に連動させヘッドスピードを加速させていきます。
ゴルフのスイングでは、前傾姿勢を保ちながらゴルフクラブを使うスポーツであるため、「地面反力」を活用するのは簡単ではありません。
言い換えると、「地面反力」を上手く使えている人ほどヘッドスピードが速くなります。
「地面反力」を使うためには「運動連鎖」が重要
一見シンプルに見えるゴルフスイングですが、実はスポーツの中でも非常に複雑な動きを要求されます。
ゴルフスイングは非常に複雑な筋肉の動きによって生み出される動作です。そして、人によって体格や筋力、関節の柔軟性が違うため、自分に合ったスイングも当然、人によって異なります。
しかし、スイング動作(運動連鎖)のメカニズムは基本的に同じです。そして、いいスイングは運動連鎖がとてもスムーズで、パワーをロスすることなくボールに伝えられます。
それほど力んで振っているように見えなくても飛距離が出るスイングですね。女子プロのスイングなんかは正に「運動連鎖」の良さの塊です。
具体的には、足→膝→股関節→腰→肩→肘→手首→シャフト→ヘッド→ボールの順番にパワーをロスすることなく効率良く伝えている状態です。
そして、「運動連鎖」がいいとなぜ飛ぶのかというと「地面反力」を有効活用できるからです。
ゴルフのスイングで「力」になるものは、自分自身の筋力(内力)と重力や慣性、地面反力などの「外力」です。
アマチュアゴルファーの多くは、「内力」に頼り切ったスイングをしているため、体格=飛距離となりがちですが、稀に小柄ながら飛ばし屋の人がいます。
見た目以上に飛ばす人はみな「外力」を有効活用できているのです。
そして最大の「外力」である「地面反力」を使う上で、運動連鎖が非常に重要になります。
地面から得た「力」を正しい順序でボールまで届けなければなりません。「内力」を使おうと力んでしまうと、力の入ったタイミングや場所によっては、エネルギーを生むどころか「外力」をロスしてしまい、飛距離が伸びないのです。
「運動連鎖」と筋肉の柔軟性
私たちは自分で思っている以上に、自分自身の身体を思い通りに動かすことができていません。
スムーズに動かしているつもりでも、意図に反して勝手な筋肉の収縮が起こったり、柔軟性にムラがあるため、良い運動連鎖ができていない場合がほとんどです。
無駄な力が入ったり、筋肉に柔軟性がないと不自然な動きにしかなりません。
特にゴルフスイングに使う筋肉には、日常生活であまり使われない筋肉が多くあります。そのため、日ごろから十分に意識し、ストレッチを行っていないと、自分のイメージ通りにスイングできません。
例えば、前傾姿勢が十分キープできていない人は、股関節やハムストリング、腹斜筋の柔軟性がなく、前傾をキープしたくてもできないという場合が多くあります。
また、筋肉は通常の長さよりストレッチした状態から収縮する時に大きな力を発揮します。
つまり、テークバックで筋肉を伸ばしインパクトで筋肉を収縮させる動きによって大きな力を生み出すのです。
筋肉が柔軟性を失っている場合では、筋肉が十分に伸びず、大きなパワーを発揮できません。
飛距離が伸びるストレッチ
本来であれば、毎日全身のストレッチを行うのが理想ですが、仕事や子育てが忙しくなかなか時間を確保できないという人も多いと思います。
そこで、お風呂上がりの5分でできる飛距離の伸びるストレッチをご紹介します。それはズバリ、「腰割り」と「肩入れ」です!
大リーグのイチローがよく行っていたストレッチですが、腰回りの柔軟性を高めることができます。
股関節の柔軟性を高めると運動連鎖を妨げる要素を取り除くことができ、ヘッドスピードを上げることができます。
股関節は、単に骨盤と脚をつないでるだけでなく、体の回旋動作や体重移動で重要な役割を担っています。
また股関節が硬いと、上半身と下半身の捻転差(Xファクター)が生まれずにヘッドスピードが上がりません。
どんなに忙しくて「腰回り」のストレッチは欠かさずに行いましょう!!