ゴルフスイング
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単純にマナーだけの問題じゃない!?“ゴルフィング”と音声の考察
ゴルフは紳士のスポーツと言われます。
大きな声を出すことはあまり推奨されていないかと思います。
でも、他のスポーツでは、大きな声を出す一流プレーヤーもいます。そういういいところをゴルフに取り入れるのもいいかもしれません。
ゴルフ場で大きな声を出したり聞いたりするってことありますよね?
ゴルフコースって比較的静かなところ。鳥のさえずりなんか聞きながらフェアウェイを闊歩する。
とっても気持ちのいいもので、ゴルフが大好きな理由のひとつであったりもします。
でもいろんな場面で大きな声を聞くことってありますよね。
例えば、あらぬ方向にボールが飛んでしまった時。いわゆる『ファーーッ!』ってやつです。これは自分でも他人でもまずまずよくあること。
イーグルやロングパットでバーディーを取った時。うれしくて飛んじゃったりする人もいるかもしれません。でもグリーンの芝は傷めないように。
大失敗をやらかした時。バンカーからホームランしたら、思わず嘆きの声が出ちゃいます。
まだあります。
スターティングホールでの挨拶。「今日一日、よろしくお願いします!」。
初めてご一緒するゴルファーがいたりするとひと際声を張り上げてしまいます。
まだまだあります。
キャディーさん帯同のラウンドで、カートと逆方向に飛んで、クラブの番手を変えたいとき。「キャディーさ~ん。5番アイアン!」まあ、私はしませんけど。
想定と準備不足ですね。もしももしも筆者がこんな場面に出くわした時は、持っているクラブで打ってしまいます。
こんな面倒くさがりの性格がゴルフに向いていないのでしょうね。
まだまだまだありますね。
いつも大声の人。グリーン上で「お前、もっと考えて打てよなー!」。すぐ隣にティーイングエリアがありますよ。周りの状況をよく把握しましょう。
ルールではなくマナーです
ゴルフ場では、基本的には、マナーとして大声を出しませんよね。筆者はこれには2つの理由があると思うんです。
まずは、他のゴルファーに余計な感情を与えないこと。驚かしたり、動揺させたり、プレッシャーを与えたりすることは、ジェントルマンとしてはあるまじき行為。
それから、自分への感情の起伏を抑えるため。自分が出す大声も他のゴルファーの大声も自分の感情に影響を及ぼします。
それがプラスの面に出るものであればまだ良いのですが、マイナスの感情を含んだものであれば、その後のプレーにとってはいいことはほとんどないでしょう。
尊敬する我が中部銀次郎さんの関連書籍に書いてあったのですが、
・余計なことは言わない
・余計な動作はしない
・余計なことは考えない
これをラウンド中に実行することが、自分にとっての、そしてさらに言えば他のゴルファーへの配慮だということです。
言葉というものは口に出すとその人に跳ね返ってきます。その結果、心に油断や緊張をきたす恐れがあります。
ゴルフの最終目的は、『自分、そして一緒にラウンドしたゴルファーが、気持ちよく楽しく人生の一瞬を過ごすこと』と筆者は考えます。
そして、そのための目標としての1ラウンドのスコアというものもあります。自分の望むスコアに向かって精いっぱい励むこともゴルフの喜びの一つ。
考え方の確立やメンタル面の強化も含め、体技心を整えて、プラス、ゴルフ場にいる他のゴルファーに面倒を掛けずにラウンドできればいいですね。
別の側面としての声を出すということ
ゴルフスイングにおいて、声を出すということの効用があります。
40年近く前の話ですが、筆者は学生の頃テニスをしていた関係で、『インナーゲーム』(ティモシー・ガルウェイ著)という本を読みました。
インナーゲーム理論というもので、「頭」が本来自由な動きができる「体」を邪魔してしまうことによって、技術習得をより困難にしているというものです。
テニスコーチであるガルウェイは、テニス初心者に、『ボールを打つには、ラケットをこう引いて、タイミングを合わせて踏み込んで……』なんてことを教えていたのですが、どうも言ったとおりに上手く動いてくれない。
そこで、ボールがバウンドする時に「バウンス」と声を出し、ラケットで打つ時に「ヒット」と声を出すことをさせると、初心者でもすぐに上手く打てるようになったということです。
頭でっかちになって、ああしないといけない、これはダメだとか考えることが、体が自然に反応することを忘れさせてしまうのです。
これがゴルフにも取り入れられ、ガルウェイ自身が上達したというストーリーの『インナーゴルフ』、そして続編の『新・インナーゴルフ』が出版されています。
ゴルフでは、テイクバックで『バック』と声を出し、インパクトで『ヒット』と声を出す。これだけのことで上手くボールが打てるといいます。
ただ、これはある程度のレベルまでのことで、『インナーゴルフ』でガルウェイ自身もそのようなことを巻末に書いていました。
テニスでも他のスポーツでもある程度そうなのですが、ゴルフがただボールを打つことだけでなく、自然や周りの様々な状況変化が多くて、そのようなものの判断がいかに的確にできるかという経験の要素が大きいこともあるかと思います。
上級レベルに入ってくるとインナーゲーム理論だけで解決できないことが山ほどありますが、壁にぶつかった状態の時は、一度立ち戻って試してみる価値はあります。
興味がある方は書籍も読んでみてください。
もうひとつの応用
“スポーツオノマトペ”という言葉があります。
オノマトペとは、擬音語や擬態語のことです。擬音語とは、ものや生きものが発する音や声や動作・感情などを文字にした言葉のことです。
ゴルフに関しての擬音語・擬態語だと、『バシーッ』とか『カランコロン』とか『チャーシューメーン』とか。あ、最後はちょっと違いますね(汗)。
スポーツでは、やはりテニスのショットで声を出すトップアスリートが思い浮かびます。
本書では、プレー後に出す声も挙げられています。有名なのは卓球です。
福原愛さんの『サー!』と張本智和君の『チョレイ!』とかですね。
筆者は、これもオノマトペ(?)と思いますが、ある意味自分への気合の入れ直しとも取れるかもしれません。
スポーツオノマトペは以下の効果によってパフォーマンスを向上させると書かれています。
・パワー、スピード(運動制御のリミッターを外すシャウト効果)
・リズム、タイミング
・リラックス
・モチベーション(集中力維持、自己暗示、お守り効果)
・威嚇、挑発
スポーツオノマトペもインナーゲーム理論の一種なのかもしれません。
NHKの番組「ためしてガッテン」で「スーッ、ガアアアアー」と唱えたら飛距離が大幅にアップしたことが証明されている、と日本経済新聞のWEB記事に書かれています。
北野正之プロのラウンドレッスンで、オノマトペを試しています。
実際のレッスンにも使っているそうです。アプローチの寄せワンにも応用できるようです。詳細は記事を参照ください。
人間だもの。
音声によって、これほど高度なコミュニケーションが取れるのは人間だけです。
人は誰でも自分や自分の置かれた状況をを他の人に知ってもらいたい。そんな気持ちが、ゴルフでも様々な状況下で人は思わず大きな声を出してしまうのでしょうか。
最初に立ち戻ってしまうのですが、紳士のスポーツであるゴルフを、他の人と同じ場所で共有する際の最低限のマナーは守るべきです。
できればもっと高い次元のマナーに進化させていってください。
中部銀次郎さんは、ゴルフをすることをゴルフィングと言っています。倉本昌弘プロもそれに倣(なら)ってよく使っている言葉です。
ゴルフィングとは、何なのか。ゴルフィングとはただボールを打つこと、競技のゴルフをすることだけではありません。
ゴルフを通した出会いや楽しみ。まさに人生の一部です。ゴルフ イズ マイ ライフ。
皆さんも、「ゴルフィング」と声に出しながら、たまには自分なりのゴルフィングとは何かを考えてみてはいかがでしょうか。