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プロゴルファー

こせきよういち

ローカルルールにご注意!~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#86

レキシー・トンプソンとルールといえば、後に「トンプソン・ルール」との呼び名が生まれた、昨年の米ツアー競技「ANAインスピレーション」でのトラブルが思い出されます(上掲の画像)。

グリーン上、リプレースの位置がわずかに違っていたことをテレビ視聴者からの指摘で確認され、結果、4罰打が付加されたのです。

直後、「テレビ視聴者からのこのような指摘は採用しなくてよい」というルールが制定。それが「トンプソン・ルール」とも呼ばれているのです。

その彼女は、先週の米ツアー競技「インディ女子イン・テック選手権」で、ほぼ1か月ぶりにツアー出場。3日目に64の好スコアをマークしました。

しかし、途中の10番パー5で、今度は「ケアレスミス」、つまりちょっとした不注意から思わぬルール違反をしてしまい、1罰打を付加されていました。

「ケアレスミス」となったのは、それが大会独自のルール、すなわちローカルルールだったからです。

ローカルルールはほぼすべてのゴルフ場や競技会で設定されるもの。そして、そこには意外な落とし穴があったりします。

トンプソンがはまったローカルルールの中身を見てみましょう。

現にプレーしているホールのフェアウェイに限定

トンプソンはハーフターン後の10番パー5でティショットを大きく曲げてしまい、ボールは隣の6番ホールに飛んでしまいました。

このトーナメントはコースコンディションが悪く、フェアウェイに限り「プリファードライ」のルールが適用されていました。

つまり、フェアウェイ上に止まったボールは、拾い上げて、ボールを拭いたうえ、ホールに近づかない1クラブレングス以内の好きな場所にプレースできるというローカルルールです。

ところが、このトーナメントでは、これに制限が加えられ、適用できるのは「プレーヤーが現にプレーしているホールのフェアウェイ」に限定されていました。

トンプソンはこれを誤解。隣のホールにもかかわらず、ボールを拾い上げてしまったのです。

幸い、その様子を目撃したルールオフィシャルが、そこで彼女に誤りを指摘。

トンプソンはボールを元の位置にリプレース。結果、インプレーのボールをルールに反して拾い上げたことに対する1罰打で済みました。

プリファードライのルールの要領で1クラブレングス以内にプレースし、ストロークしていたら「誤所からのプレー」で2罰打になるところでした。

今年2月にも勘違いで2ペナ

トンプソンは今年2月の米ツアー競技「ホンダ・タイランド」でも、ローカルルールを誤解し、2罰打を付加されています。

そのトーナメントでは、コース上の看板は「臨時の動かせない障害物」と規定されていました。

ところが、彼女はそれを「動かせる障害物」と勘違い。

プレーの障害になる看板を、大会運営スタッフに取り除いて(引き抜いて)もらったのです(その様子は下記リンク先に、動画で紹介されています)。

「ローカルルール」――皆さんはスタート前にきちんと目を通しているでしょうか?

おざなりにすると、競技会では彼女のように痛いしっぺ返しに遭うことがあります。

また、ふだんのレジャーゴルフでも、各ゴルフ場のローカルルールは一度読んでおくことをお勧めします。

プレーのスムーズな進行に役立つだけでなく、「へーっ!」と驚くめずらしい規定があったり、案外面白いものです。