プロゴルファー
こせきよういち
全英オープンは我慢だ!~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#81
今週の男子ツアーは、メジャー第3戦の「全英オープン」です。
この大会の一番の敵は「自然」。重く冷たい海風、リンクスの地形そのままの硬くうねったフェアウェイ、フェスキューの深いラフとアンプレヤブル必至のハリエニシダ(ゴース)のブッシュ、要所要所に待ち受けるポットバンカー、そして“一日に四季がある”と評される激変する天候。
とにかくプレーヤーの意にならない、常にトラブルと背中合わせのトーナメントです。
だからこそ、全英オープンではどんなトラブルも受け止める強いメンタル力、つまり“我慢””忍耐”が必要なのです。
そこで今回は、反対に全英オープンではしばしば見られる、我慢の限界を超えてプッツンしたシーンを集めてみました。
目次
昨年はガルシアがプッツン
昨年のセルヒオ・ガルシアは、4月のマスターズ制覇、その直後のアンジェラさんとの挙式――メンタル的にはとても充実していたはずです。
そのため、優勝候補のひとりにも挙げられていました。
ところが、そのガルシアをしても、全英オープンのリンクスのタフさには途中でプッツン。
2日目の4番パー3でティーショットがグリーン右のブッシュにつかまると、そこからのリカバリーショットに失敗。
すると、我慢も限界、手にしていたクラブでブッシュに八つ当たりの一撃。
ところが、結果は自業自得。振り下ろした右肩に痛みが走ったのでした。
幸いこの故障は大事には至らなかったようですが、大会の成績は振るわず、37位タイに終わったのでした。
プッツン後、クラブを太ももに打ち付けてポキリ~その1
トーマス・ピータースはいま、男子ツアーでは最も気性の激しいプレーヤーのひとりでしょう。
先日も欧州ツアーのメジャー競技「BMW PGA選手権」で、フラストレーションが溜まった結果、クラブのシャフトを首の後ろに当て、両端を力いっぱい前に引いて真っ二つにへし折ったばかりです。
彼は全英オープンでもシャフトを折った前科があります(上動画)。
2016年大会の最終日のこと。11番ホールでブッシュにつかまるなどして7打目でようやくグリーンにオンさせると、そこでシャフトを太ももに当てて、バキッ!
真っ二つに折れたクラブは、「お返しだ!」とばかりに、そのブッシュに投げ捨てたのでした。
プッツン後、クラブを太ももに打ち付けてポキリ~その2
一方、かつては気性の激しいことで有名だったのがヘンリック・ステンソンです。
彼は2016年大会のチャンピオンですが、2014年大会では初日の17番ホールでラフからの脱出に失敗すると、ピータースと同様、太ももにシャフトを当ててポキリ。見事な折りっぷりを見せたのでした。
クラブを放り投げて破壊~その1
上記ふたりはパワーに任せて、自らの体でクラブを折ってみせました。
一方、彼らに比べて非力なロリー・マキロイとシャール・シュワルツェルは、クラブを放り投げて破壊したことがあります。
マキロイ(上)のプッツンは2016年大会の3日目のこと。
16番パー5で、スプーン(3番ウッド)で2オンを狙ったのですが、これに失敗。
その前からフラストレーションを溜めていたのでしょう。手にしたクラブを思い切り前方に投げつけると、運悪くシャフトからヘッドが脱落。
ひんしゅくを買うことになりました。
クラブを放り投げて破壊~その2
シュワルツェルは見掛けと違って、もともと短気で知られたプレーヤーでした。
全英オープンでは2013年大会の初日、3連続ボギーで迎えた15番ホールで第2打をミス。
辛抱たまらず、持っていた6番アイアンを両手で目いっぱい地面に叩きつけたところ、シャフトがポキリ。
思わぬ結果になってしまいました。
見せられて気持ちのいいシーンではありませんが、プレーヤーにそれほどのフラストレーションを強いるのが全英オープンなのでしょう。
そして、ここで栄光をつかむには、アンガーコントロール=怒りを抑え、冷静に対処するメンタル力が求められるのです。