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プロゴルファー

もーりー

やっぱりDJは強かった!随所に光った“ボギーを打たないマネジメント”【マスターズ 2020 】

皆さんこんにちは、ライターのもーりーです。

11月12~15日にアメリカで開催された年に一度のゴルフの祭典、『マスターズ2020』(ジョージア州・オーガスタ・ナショナルGC、7475ヤード・パー72)。

例年は4月に開催されるこのメジャー大会、今年は新型コロナウイルスの影響で史上初の無観客、そして秋開催ということになりました。

紅葉と寒さの中での厳しい戦いが予想されていましたが、蓋を開けてみれば気温も下がらず、マスターズ独特の美しい緑の景観も損なわれることのない絶好のコンディション。

さらに毎年選手たちを苦しめるグリーンスピードが抑えられたこともあり、4日間を通じてバーディーが乱れ飛ぶスコアの伸ばしあいとなりました。

今平周吾は堂々の予選通過!

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異例ずくめの大会となった『マスターズ 2020』。

日本ツアーから唯一の参戦となったのは2年連続2回目の出場となった今平周吾選手でした。

国内ツアー賞金王として挑んだ昨年はまったく歯が立たずに予選落ちとなってしまった今平選手でしたが、今年は一味違いました。

他の海外メジャーとは違いマスターズだけは毎年同じコースでの開催ですので、昨年の経験が生きたという面もあるでしょう。

今年は予選2日をトータル2アンダー、35位タイで文句なしの予選突破を果たしました。

難しいパー4でボギーを極力抑えてパー5とパー3でしっかりバーディーを稼ぐという内容も素晴らしかったと思います。

もともとショットの精度が高いのとオーガスタのコースに合った球筋(右利きならドロー)なのもあるのでしょうが、やはり2年連続賞金王のプライドと意地があったのでしょう。

今回は第一関門の予選突破というミッションはクリアしましたので、来年もぜひ出場権をゲットしたうえで、優勝争いができるくらいの活躍を期待したいところです。

松山英樹は決勝ラウンド2日間で苦しむ

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そしてもう一人の日本人出場選手は松山英樹選手。

松山選手の場合は言わずもがな、悲願のメジャー制覇を狙う戦いとなりました。

基本的にスロースターターの松山選手ですが、今大会は初日に4アンダー、2日目も4アンダーのトータル8アンダーという好スタート。

首位と1打差の6位タイという好位置で決勝ラウンドに駒を進めました。

しかしムービングサタデーの3日目は4つのバーディーを奪うも同じ数のボギーを喫してイーブンパー。

最終日も同じく4バーディーながらダブルボギー1つにボギーが2つ出てしまい、結局2日間でスコアを1つも伸ばすことができず、4日間トータルで8アンダーの13位タイでのフィニッシュとなりました。

3日目に1イーグル5バーディーノーボギーと7つスコアを伸ばして一気に首位を独走したダスティン・ジョンソン選手と対照的な結果となってしまいましたね。

3日目と最終日にスコアを一気に伸ばそうと勝負に出た結果がボギーとなってしまったのかもしれませんが、今後メジャー大会を含むアメリカPGAツアーで優勝をするためには、いかにボギーやダブルボギーを少なくしていくかが課題なのかもしれませんね。

最近の松山選手はパットの悩みも少なそうですし、アプローチについては精度、技の引き出しともに申し分なさそうです。

ポイントはティーショットでいかにラフにつかまらないようにするかでしょうかね。

元々アイアンショットは世界トップレベルの精度なわけですから、フェアウェイキープができさえすれば、ボギー以上の数が減るのと同時に自ずとバーディーも増えると思うのですが……。

ダスティン・ジョンソンが悲願のマスターズ制覇!

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そして今年のマスターズを制したのは現在世界ランク1位のダスティン・ジョンソン選手でした。

4日間トータル20アンダーの大会最少スコア、初日から首位を一度も空け渡すことなく逃げ切るという完全優勝でした。

特に初日と3日目はともにボギーなしの7アンダーの65というビッグスコアを叩き出しました。

ジョンソン選手といえば圧倒的な飛距離がクローズアップされがちですが、今回の優勝で改めて強く感じたのはそのマネジメント能力の高さ。

確かに大会中にイーグルを2回も取っていますが、それよりも特筆すべきは圧倒的なボギーの少なさです。

4日間を通じてボギーはわずかに4つ! もちろんダブルボギー以上も0。

2位タイから5位タイまでの5人が4日間で7~11個のボギーもしくはダブルボギーを喫していることからも、彼のボギーの少なさが突出していることがわかると思います。

確かにティーショットで左右に曲げることもありましたが、それは多少曲げても次のショットでグリーンを狙えるような場面であって、絶対に曲げてはいけない勝負どころではしっかりフェアウェイキープをしていましたもんね。

飛んで曲がらないロングヒッター、なんだかずるい、ずる過ぎますよね……。

これまでは世界ランク1位でもメジャーなどの大舞台に弱いという印象の強かったジョンソン選手ですが、今回のマスターズ制覇でそれを払しょく、名実ともに世界No.1の称号を手にした感があります。

今年で36歳ながらも円熟味を増し続けるジョンソン選手。

これからしばらくは松山選手のメジャー制覇の高い壁として君臨しそうです。

タイガーが最後に魅せた!“10”の後のスーパーバウンスバック!

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一方、前回大会覇者として今大会に臨んだタイガー・ウッズ。

初日こそ4アンダーと好発進しましたが、残念ながらその後は優勝争いに絡むことができませんでした。

迎えた最終日、そんなタイガーに悪夢が襲い掛かります。

“アーメンコーナー”の2ホール目、12番ホール(パー3)で事件は起きました。

ティーショットはグリーン手前の土手に当たり池ポチャ。打ち直しの3打目もバックスピンがかかって再び池ポチャ。

池に入れまいと大きく打った5打目はオーバーして奥のバンカーに。しかしその6打目のライが悪く、普通にスタンスが取れない状態。

はたして、バンカーショットが大オーバーしてしまい三たび池ポチャ……。

結局このホール、自身PGAツアーワーストとなる1ホールのスコア“10”を叩いてしまいました。

ただ、これで終わらないのがタイガー。

なんと、その後の6ホールで5つバーディーを奪うという“スーパーバウンスバック”を見せました。

往年の名選手・ハル・サットン氏も「タイガーは今日、すべてのジュニアゴルファーに向けて、彼のキャリアの中でも最も偉大なレッスンをした」とそのプレーぶりを称賛していました。

今回のこのプレーは、きっと彼の今後にもつながるでしょうし、ジュニアのみならず、世界中のゴルファーに勇気を与えたことでしょう。


試合のほうは最初から最後まで“DJ劇場”で幕を下ろしましたが、また半年もしないうちに全米プロ、マスターズのメジャー2大会が開催されます。

その時は今回のジョンソン選手の立ち位置が松山選手に取って代わることを期待しつつ、今回はこのへんで失礼したいと思います。

それでは、また!