プロゴルファー
こせきよういち
バンカー内の新ルール~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#152
今年の年初から採用された新ルール。
従来あった規制の多くが緩和されたのが、ボールがバンカー内にあるときの禁止事項です。
例えば、ルースインペディメントはいつでも取り除けますし、バンカー内で(砂につけた)クラブに寄り掛かって休むこともできるようになりました。
ところが、今年のツアーでは、緩和されたために新たなトラブルが起きています。
話題になった事例を振り返ってみましょう。
石と思ったら、砂の塊だった
Rory McIlroy thought he was removing a loose impediment from a bunker, but then realized it was just sand.
— PGA TOUR (@PGATOUR) August 9, 2019
He alerted a rules official and was given a two-shot penalty.
He was three back of the lead at the time of the penalty. pic.twitter.com/Ayp8zWw9Ei
マキロイは、8月の米ツアー競技「ザ・ノーザントラスト」の2日目、バンカー内のボールのそばにあった小石を取り除こうとつまみ上げました。
小石はルール上の「ルースインペディメント」ですから、ストローク前に砂の上から取り除くことができます。
ところが、マキロイがつまみ上げたのは小石ではなく、砂の塊で、指の間でバラバラになってしまいました。
新ルールでも「砂の状態をテストしたり、次のストロークについての情報を得るために手、クラブでそのバンカーの砂に故意に触れること」は認められていません。
そこで、マキロイは競技委員を呼び、事情を説明したのですが、その場で「規則12.2b」違反として2ペナの裁定が下されました。
でも、その裁定にはテレビ観戦の大勢のファンが納得せず、SNS上で、「故意に砂に触れたわけではないのに、おかしな裁定」と大ブーイング。
すると、ツアー側がこれに反応したのか、マキロイのラウンド終了後に再度協議。最終的に無罰となりました。
スロープレーに注意
バンカー内のルースインペディメントは取り除けることになりましたが、そこで注意したいのがスロープレーです。
特に、落ち葉が周りにたくさんあるときなどは、ボールを動かさないように慎重に取り除くあまり、時間がかかり過ぎる、ということも。
今年の欧州ツアー競技「ポルシェ・ヨーロピアンオープン」では、上掲のツイッター動画のような、ファンの不興を買うシーンがありました。
小石を丹念に取り除いているのは、マット・クーチャです(ただし、この場所はバンカーではなく、ウェイストエリアですが)。
あまりに時間をかけたために、ネット上ではやはりブーイングが起こったようです。
バンカー内で禁止されている行為を再確認
新ルールでは、バンカー内のルースインペディメントは取り除けることになりましたが、「ボールの直前・直後にクラブをソールすること」、さらには「練習スウィングでクラブが砂に触れること」「ストロークをするためにバックスウィングしたクラブが砂に触れること」は依然として違反です。
2ペナが課せられます(上掲の動画を参照)。
おまけ:パトリック・リードは「ライの改善」
A closer look at Patrick Reed’s two-stroke penalty during Round 3 of the Hero World Challenge. pic.twitter.com/z2aqkajnYq
— PGA TOUR (@PGATOUR) December 7, 2019
最後は、これもバンカーではなく、ウェイストエリア内でのルールトラブルなのですが、今月(12月)初めに開催された「ヒーロー・ワールドチャレンジ」3日目のこと。
最近は「ヒーロー」ではなく、すっかり「ヒール」扱いのパトリック・リード。ここはバンカー内ではないのでボールのすぐ後ろにソールをすることはできます。
が、そのあとがいけなかった。
練習スウィングを行うようにして、バックスウィングでボールのすぐ後ろのライを改善(規則8.1a「砂やバラバラの土を取り除く、または押し付ける」違反)したと判断され、2ペナの付加となりました。
そして、この行為が翌週の「プレジデンツカップ」で、世界選抜を応援するギャラリーの「非難の的」に。
「身から出たサビ」でした。