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スマイリングシンデレラ!渋野日向子選手の活躍をまとめてみました

今季、大活躍を見せて、ゴルフ界で一番注目されている渋野日向子さん。

日向子さんは、昨年のプロテストで合格を果たした20歳のルーキー。海外メジャーに初参戦、AIG全英女子オープンゴルフにおいて優勝の快挙を成し遂げました。

彼女の一番の魅力は笑顔。全英では“スマイリングシンデレラ”と呼ばれ、日本では“しぶこ”の愛称で親しまれる人気の選手となりました。

日本人選手として、1977年の樋口久子さん以来となる42年ぶりの海外メジャー優勝となり、ゴルフの歴史に名を残した渋野日向子さんのことをご紹介します。

ゴルフファンではないという人でも、今や知らない人はいないといっていいくらいの有名人になった日向子さん。

凱旋帰国した際には、空港には200名ものファンと報道関係者が集まり「おめでとう」「しぶこ~」と歓声を送りました。

渋野日向子 キラキラ笑顔でAIG全英女子オープン優勝

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2019年8月1日~4日◇ウォーバーンゴルフクラブ(イングランド)◇6744ヤード(パー72)においてAIG全英女子オープンが開催されました。

昨年のプロテストで合格を果たした20歳のルーキー渋野日向子さんが、海外メジャー初出場で優勝を飾り、注目される選手となりました。

同大会には、畑岡奈紗さん、鈴木愛さん、比嘉真美子さん、勝みなみさん、上田桃子さん、安田祐香さん、横峯さくらさん、上原彩子さん、そして渋野日向子さんの9名の日本人選手が出場しました。

日向子さんの大会の目標は、予選突破。

日向子さんは、初日を2位タイ、2日目を2位で終え、3日目には2位と2打差の単独首位に立ちます。

最終日、3番ホールで4パットを叩いてしまいダブルボギー。首位と2打差の3位に後退。ところが15番ホールで再び首位に並びます。

迎えた最終18番ホール。彼女がグリーンに上がると大歓声が沸き起こります。

本人は、「誰に言ってるのかなー。とりあえず手を振りました。初出場なので、誰? みたいな感じですよね? なのにあんなにいっぱいいたので、やったーみたいな(笑)」とコメント。

こういうコメントが日向子さんの好感度を上げているのかもしれませんね。

彼女が歩み出すとたくさんのギャラリーが一緒に動き出し、モニターに映し出されると大歓声が送られました。

移動中にギャラリーとハイタッチをしたり、小さな子供の頭を撫でたり。プレッシャーのかかる試合の中でもファンサービスもけっして忘れません。

コース上で、笑顔で駄菓子を頬張る姿も話題になりました。駄菓子のメーカーに問い合わせが殺到したそうです。

日向子さんは、こうしてたくさんの社会現象まで巻き起こし、女子ゴルフ界のニューヒロインとなったのです。

こうした中で迎えた最終18番ホール。最後に残されたのは5メートルのパッティング。

1打で決めれば優勝です。初の全英出場で初優勝。大きな記録もかかる1打です。緊張とプレッシャーで押し潰れそうになってもおかしくない状況ですが、この時、日向子さんは「どんなガッツポーズをしようかな」と考えていたのだそう。

強気の1打は、スライスラインに乗って見事にカップに落ちます。

その瞬間、パターを持った左手を上げて、右手で目を覆ったのですが、「泣くのかなって(笑)。でもぜんぜん涙が出てこない~(笑)」。

満面の笑顔を見せてくれました。

隣りでは、二人三脚で戦ったキャディの青木コーチが号泣。全英で優勝した後の日向子さんのインスタグラムの投稿に、こんな一文がありました。

「青木さんに習ってよかったって、ちょこっと思いました!笑」

素敵な師弟関係だと思いませんか。

地元の岡山では号外も配られ、日本中、世界中が彼女の活躍を祝福しました。

渋野日向子 最新の成績

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全英女子オープンから帰国後も、日本の大会で好成績を残しています。

9月20日~22日◇デサントレディース東海クラシック◇最終日

首位から8打差の20位から出た渋野日向子さんが、8バーディー、ボギーなしの「64」と猛チャージを見せて通算13アンダーで逆転優勝を果たしました。

最終日に8打差の逆転優勝は、1998年「東洋水産レディス北海道」の大場美智恵さんに並ぶツアー史上2番目の記録となりました。

5月開催の「ワールドレディスサロンパスカップ」、7月開催の「資生堂 アネッサ レディスオープン」に続く国内ツアー3勝目となり、全英女子オープンを含め4勝目。

国内ツアー24試合で生涯獲得賞金1億円を突破。

ツアー本格参戦1年目での、生涯獲得賞金1億円突破という記録は、2004年の宮里藍さん以来、日本人2人目の記録となりました。

渋野日向子 ゴルフの経歴

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渋野日向子さんの両親は、陸上競技の投擲選手(父・悟さん=砲丸投、円盤投、母・伸子さん=やり投)でした。

日向子さんは、幼い頃からスポーツ万能でいろいろなスポーツをやっていました。これもご両親から受け継いだ遺伝子なのでしょう。

彼女がゴルフと出会ったのは、友人の父親がゴルフ場でコーチをしていたこと。小学2年生の8歳でゴルフを始めました。

実は、ゴルフと同時にソフトボールをスポーツ少年団で始めました。ソフトボールでは投手。男女含めて打率が一番高かったのだそうです。

一方、ゴルフでも才能を開花させて、2010年岡山県ジュニアゴルフ選手権競技(小学生・女子の部)で3位に入るなどの成績を残しています。

2011年に中学に進学すると、次は野球部に入部します。当時野球部に入部した女子は、日向子さんただ1人。運動神経は抜群だったようです。

ゴルフでは、岡山県ジュニアゴルフ選手権競技(中学生・女子の部)で優勝します。

この時、野球部の監督に「ゴルフ一本に絞ったほうがいい」とアドバイスされ、ゴルフに専念するようになったのだそうです。

このアドバイスがなかったら、ゴルフ界のニューヒロイン渋野日向子さんは誕生していなかったもしれません。

2012年、2013年の岡山県ジュニアゴルフ選手権競技(中学生・女子の部)でも優勝して、同大会の3連覇を達成しました。

2014年に岡山県作陽高等学校に進学。この年の中国女子アマチュア選手権で優勝。

2015年全国高等学校ゴルフ選手権大会女子団体戦のメンバーに選出され、優勝へと導きました。3年生でゴルフ部の主将を務め、チームに貢献しました。

高校在学中、2014年のプロテストに挑戦します。ところが最終プロテストまで進出したのですが、3日目までで14オーバーとなってしまい、最終日はプレーできずに不合格。

同年のサードクォリファイングトーナメント(QT)B地区でファイナルに進出することができませんでした。

その時出会ったのが、現在の青木翔コーチです。

「ソフトボールを経験しているので、肩の強さや肩甲骨の柔らかさは、明らかに他の選手とは違っていました」

日向子さんは、サードQT進出の資格でTP単年登録者として、2018年は主にステップ・アップ・ツアー(下部ツアー)に出場します。

主催者推薦競技会(マンデー)を経て、唯一JLPGAツアーに出場したアースモンダミンカップでは、初日9番ホールでホールインワンを達成して600万円を獲得するなどの活躍を見せています。

そして2018年2度目のプロテスト挑戦です。初日は「73」と出遅れてしまいます。2日目は「68」、3日目は「69」で回り、3日目を終えた時点で初日のスコアが響いて21位タイ。

でも、日向子さんと青木コーチに焦りはありませんでした。確実にゴルフの技術は上がっているし、合格することしか想像でしなかったそうです。

迎えた最終日、日向子さんは前半で31を記録。トータル「68」で回り、14位タイまで順位を上げて無事に合格を果たしました。

プロテスト合格後に、RSK山陽放送のゴルフ番組に出演したことが縁となって、2019年2月から所属契約を結んでいます。

プロテスト合格後は、ワールドレディスサロンパスカップにおいて、通算12アンダーでツアー初優勝。一気に注目の選手となりました。

公式戦優勝で3年間のシード権も得ることができました。6月のアースモンダミンカップが終了した時点で、年間賞金ランキング3位に浮上し、8月の全英女子オープンの出場権を獲得しました。

そして、7月に開催された資生堂 アネッサ レディスにおいて、通算12アンダーで並んだイ ミニョンさんとのプレーオフを制して優勝し、2勝目を飾ります。

この大会は、今季新設された大会なので、日向子さんが初代の女王の座を獲得したことになります。

8月、AIG全英女子オープンで優勝。

株式会社Tポイント・ジャパンと新規スポンサー契約を締結。さらに有村智恵さんや、古閑美保さん、笠りつ子さんが所属するスポーツマネジメントエージェンシーのZONEと契約。所属はRSK山陽放送のまま、ZONEに委託することが決定しました。

全英女子オープン優勝後の、NEC軽井沢72ゴルフトーナメントでは3位タイ。この時点で、世界ランクは自身最高位となる12位となりました。

デサントレディースでも優勝を果たし、今季4勝目を挙げて生涯獲得賞金1億円を突破しました。

いつでも笑顔! これからの渋野日向子に注目! 

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今季大活躍を見せている渋野日向子さん。とても負けず嫌いな性格で、高校時代までは喜怒哀楽がとても激しく、パットを外した時などに不貞腐れた態度を見せてしまうこともありました。

でも、父親から「あまり気持ちのいいものではない」と指摘されて、心機一転。いつも笑顔でいようと決心。

「トラブルがあっても笑顔でいれば何とかなるかな~」と考えるようになりました。

笑うことで、気持ちの切り替えが上手になったのかもしれません。プレー中に駄菓子を頬張るのも、緊張を和らげる手段。笑顔と駄菓子は彼女の気持ちのオンオフのスイッチなのかもしれませんね。

日向子という名前は、祖父が太陽に向かう向日葵(ひまわり)のように明るく育ってほしいという願いをこめてつけました。彼女の活躍は、ゴルフのイメージを少し変えたのではないでしょうか。

「最終日最終組でも笑っていられるのは、強さの秘訣かもしれないです」

「プロゴルファーはギャラリーがいて、魅せる競技。楽しんでもらうためには自分が心の底から楽しんでやらないと、周りも楽しくない。そこは心がけています」

学生時代はゴルフと同時にソフトボールや野球を始め、スポーツに熱心だったのですが、学業のほうも疎かになることはなかったのだそう。

当時は英語の成績も良かったのですが、全英女子オープン優勝の際の英語でのスピーチは、実は全部カタカナで書いた紙を読んでいたのだそうです。

「最後の“サンキュー”でみんなが笑ってくれてよかったです」彼女のスピーチに拍手喝采が送られました。

ツアーに本格的に参戦して1年目でたくさんの快挙を達成した日向子さんのこれからの活躍が楽しみです。

気持ちの切り替えが上手な選手なので、メンタルの強さも備えています。これからも素敵なスマイルパワーで活躍を魅せてほしいですね。

賞金女王目指して頑張ってください。

たくさんのファンが応援しています。