Gride

gettyimages/1004369074
getty

プロゴルファー

レッスンプロ・クラフトマン 河野

一番飛ばないのに賞金王!“リトル・ポイズン”小技の名手ポール・ラニアン

こんにちは。

レッスンプロ・クラフトマンの河野です。

今回は、小技の名手ポール・ラニアンのお話です。

パーシモンにスチールシャフトの1930年代ですが、231ヤードの平均飛距離で賞金王にまでなった方です。

ポール・ラニアン

getty

私が小技に悩んだ時に、小技の上手いプレイヤーを調べました。

その結果、途轍(とてつ)もない人物のことを知りました。

そのプロは「ポール・ラニアン」というプレイヤーで、余りにも強烈に強いので「小技の名手リトル・ポイズン」と言われていました。

PGAツアーで一番飛ばないプロ(平均飛距離231ヤード)でありながら賞金王にもなっています(1934年)。

平均231ヤードの飛距離で、一度勝ったというのならすごい努力家なんだと思いますが、驚きの賞金王です。

PGAツアー通算28勝(現メジャーのPGA選手権の2勝含む)しています。

ボール・ラニアンの動画

その当時はマッチプレーで、対戦相手はPGA一の飛ばし屋、サム・スニードです。

その当時のサム・スニードの飛距離は群を抜いていて、一人だけ別次元の飛びで、300ヤード飛んでいたそうです。

その次の飛ばしのグループに270ヤード飛ばすベン・ホーガンが位置していました。

1938年、ショーニーカントリークラブで開催されたPGA選手権の決勝36ホールでの対戦相手は、そのサム・スニードでした。

ラニアンは、毎ホール35ヤード程アウトドライブされ続けたそうです。

スニードは、そのコースにある4つのロングホール(パー5)の内3つを2オンさせることができたそうです。

ラニアンは、マッチ終了まで7回ロングホールをプレーして6回バーディーを獲り、8-7で勝ったのです。

負けたサム・スニードは「私は、この目で見たものの、いまだに信じることができない」と敗戦の弁を語りました。

YouTubeのビデオで見てもポール・ラニアンのスイングは良いスイングとは思えません。

今でも、その辺でよく見るオジサンのスイングです。

しかし、小技は天才としか言いようのない記録と実績を残しています。

グリーンから4フィート(約1メートル20センチ。1フィートは30.43センチ)以内から平均1.97打でホールアウトしていたと記録されています。

寄せワンで2打ですから、チップインの確率が非常に高く、カップに寄せる技術があったのです。

ラニアンの教え子たち

getty

確かな技術を持っていましたし、また有能な先生でもありました。

教えを受けた有名プロ。

・ジーン・リトラー(メジャー1勝=全米オープン、PGAツアー29勝)  

・ミッキー・ライト(写真、メジャー13勝=全米女子プロ4勝、全米女子オープン4勝、ウエスタンオープン3勝、タイトルホルダー選手権2勝、通算82勝)

ミッキー・ライトのスイングをベン・ホーガンが「究極のスイング」と称賛しました。

ポール・ラニアンがあるインタビューで小技の極意を聞かれたところ、「ノースピン」と答えたそうです。

スピンが掛かれば止まってしまう、スピンが掛からなければ走ってしまうため予想が付かない。

しかし「ノースピン」なら転がりが読める。


私の書いた本に「シャンクとアプローチ下手にさよならをする」という本があります。

その本の中でもポール・ラニアンのことを書いていますのでお読みくださいませ。

レッスンプロ・クラフトマンの河野でした。