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Nick Jagger
昔は「ボギー」が「パー」だったというお話
普段私たちが当たり前のように使っている「パー」や「ボギー」とは、そもそもなんなんでしょう?
パー5のセカンドショットを直接カップインさせれば「アルバトロス(アホウドリ)」となぜ呼ぶのでしょう?
これらスコアにまつわる語源を調べてみました。
さらに「ダボ(ダブルボギー)」、「トリ(トリプルボギー)」以上のスコアは、英語でなんというのでしょうか?
マッチプレーが主だった昔は「パー」の概念がなかった
スコットランドで人々がゴルフを楽しみ始めた15世紀中頃から19世紀の終わりまで、ゴルフはもっぱらマッチプレーで行われていました。
マッチプレーではプレーするのは2人、ホールごとに勝ち負けが決まるので、トータルのスコアは関係ありません。
当然、「パー」という概念もありませんでした。
「パー」という概念が生まれたのは、1891年のことでした。
スコットランドのコベントリー・ゴルフクラブのヒュー・ロザーラムが、スクラッチプレーヤーが完璧なプレーをした場合のスコアとして「グラウンド・スコア」を設定しました。
そして、各プレーヤーがそのグラウンド・スコアを目指して、プレーする競技を考えたのです。
現在のストロークプレーの走りといっていいでしょう。
「グラウンド・スコア」は、後にボビー・ジョーンズが発見した「オールドマン・パー(パーおじさん)」に近いですが、当時、この仮想の競技相手に付けられた名前は「パー」ではなく「ボギー」でした。
「ボギー」とは、幽霊だとか悪魔という意味です。
当時「ボギー・マン」という歌が流行しているから名付けられたと言います。
幽霊でも悪魔でもいいから、ボギーがパーの時代に生まれていたら、俺だってスクラッチ・プレーヤーになれたのに……という人もいるのではないですか?
「イーグル」の上はなぜ「アルバトロス」?
パー5のホールでセカンドショットで、あるいはパー4のホールでティーショットをカップインさせることを「アルバトロス」というのはご存知のとおりですが、私たちアマチュアゴルファーにはまったく縁のないゴルフ用語ですね。
「アルバトロス」というのは「アホウドリ」という意味ですが、プロゴルファーでさえも一生に一度できるかどうかという快挙ですが、どうして「アホウドリ」と呼ぶのでしょうか?
一説によりますと、「アルバトロス」という言葉が、ゴルフ競技に関して最初に使われたのは、1926年のことでした。
アメリカ・フロリダ州のウインストン・ゴルフクラブで、ヨット選手であったJ・マクマレーさんがパー5のホールをセカンドショットを直接カップインさせたのです。
このニュースを地元紙が「アルバトロス的な超離れ業を達成!」と記事にしたのが最初だったそうです。
どうして、この記事を書いた新聞記者が「アルバトロス的」と表現したのかと言えば、アルバトロス(アホウドリ)は、そのずば抜けた飛翔力によって、船乗りたちのあいだで遠洋航海のシンボルとされていたからでしょう。
大快挙を成し遂げたのがヨット選手だったことと、また、「バーディー(小鳥)」、「イーグル(鷲)」と、「パー」よりも少ないストローク数でカップインさせることは、鳥の名前で呼ばれていたからで、1ホールで3アンダーという快挙を形容するには、ピッタリの形容詞だったというわけです。
ちなみに、「アルバトロス」という表現は、現在はむしろイギリス的言い方で、アメリカでは「ダブルイーグル」と呼ばれるほうが多いと言います。
アメリカの国鳥が「白頭鷲」だからでしょうか、「ダブルイーグル」のほうが馴染みやすいのかもしれませんね。
「ダボ」、「トリ」以上のスコアはなんていう?
私たちアマチュアゴルファーのレベルでは、ボギーは仕方ありません。ダブルボギーも、まあ1ラウンドに何回かあるでしょう。
しかし、トリプルボギーまでいってしまうと、一気に意気消沈してしまいます。
コンペだったり試合でしたら、「これで終わったな」と、つぶやくゴルファーもたくさんいるのではないでしょうか?
しかしながら、私たちは現実はもっと酷であることを知っていますよね。
ミスショットやトラブル、さらにアンラッキーが重なってしまえば、トリプルボギー以上の打数を叩いてしまうことはけっして珍しいことではないでしょう。
それが私たちアマチュアのゴルフなのですから。
例えば、パー4のホールで8打を叩いていまった時など、同伴プレーヤーからスコアを聞かれ、「ダブルパーだよ」とか「エイトマン」などと笑ってごまかそうとしても虚しいものです。
こんな時は英語でかっこよく次のように言ってみましょう。「クァドルプルボギーだぜ」と。
「クァドルプル」とは「Quadruple」と書き、「4倍の」、「4重の」といった意味です。
えっ、パー4のホールで9打叩いたときの言い方も教えてくれですって?
はい、それではお答えいたしましょう。
「クウィンチュープル・ボギー(Quintuple Bogey)」と言います。
もっとも、どんなにかっこよく英語で言っても、ほとんどの人に理解されないはずですから、結局のところ「だから9だよ。キュ~だよ!」とヤケッパチ気味に言わなければならなくなるでしょう。
ちなみに、私は先日、パー4のホールで8打を叩いてしまい、若い同伴者にスコアを聞かれたので、「タッコで~す」と、タコ八郎さんの真似をしたのですが、「誰すっか、それ?」と言われてしまい、虚しさがマックスになってしまいました。