ライフスタイル
Nick Jagger
不安の原因を具体化すれば、ミスを避ける手段が見えてくる
18ホールを回れば、1回や2回はどうにもならないような状況があります。
例えば、どう打ったってピンに寄りそうもない絶望的な場所からのアプローチショットをしなければならない場面。
グリーンをオーバーしてしまい、急な左足下がりの斜面の深いラフにボールが止まってしまい、しかも、グリーンは下っていて、ピンの位置はすぐ目の前というような状況です。
そんなヘビーな状況では、どう考えるべきでしょうか?
ピンチを楽しむ余裕を持つ
そんな絶体絶命なようなピンチに陥った時に、最悪なのは、そこに打ってしまったことを後悔しながら、ショットに臨むことです。
やってしまったミスに対して、気持ちの整理がついていない状況では、いいショットが打てるはずがありません。
まずは、「こんな場所にボールが止まったのはしょうがない」と、すっぱりとあきらめることが、第1段階です。
そうした上で、「どうやったら、ここからパーが獲れるんだろうか」と、ピンチを楽しむような気持ちに切り替えて、アプローチショットに臨みたいものです。
そのようにポジティブに考えますと、「ピッタリ寄らなくてもいいから、せめて1ピンくらいに止めるにはどうしたらいいか」、あるいは「最悪、超ロングパットが残ってもいいから、少しでも素直なラインの方向に打っていこう」などというように、建設的な思考になるはずです。
仮にパーが獲れなかったとしても、ボギーに収まる可能性は高くなります。
同じ状況で、「どう打っても、寄るはずがないから」と、投げやりな気持ちになってしまいますと、その時点で、そのホールのプレーに対する気持ちが途切れることになります。
このような心理状態は、さらなるミスの連鎖を引き起こしやすくなります。おそらくダブルボギー以上のスコアになってしまう可能性が高いでしょう。
ゴルフは、自然と闘うスポーツであり、ミスのゲームでもあります。時には想定外の場所から打つことになるから面白いんだ、と前向きな考えをすることにしてはいかがでしょう。
思い描いたミスは、7割以上の確率で起きてしまう
ごく最近のあなたのラウンドを思い出してみましょう。
アプローチショットが上手くいった場面と、ミスしてしまった場面、両方を思い返してみると、ミスをしてしまった時は、ボールを打つ前に何らかの「不安」を心に描いてショットしてしまったのではないでしょうか?
「なんだかダフってしまいそうだ」とか「トップして、グリーンをオーバーしそうだ」など、そのような不安に襲われつつ、その不安を払拭できないままショットに臨み、その結果、「予想通り」のミスが出てしまった……。
反対に、上手くアプローチショットが寄ったという時には、そのような悪いイメージというのが一切なく、ただ「あの辺りにボールを打とう」、あるいは「こんな感じ打とう」というように、これからやるべきことに集中したはずです。
心に不安がありますと、なぜ、その通りにミスをしてしまうでしょうか? それは、人間はイメージを具体化するのが上手い動物だからです。
スポーツ心理学者の研究によりますと、ゴルファーが直前にある結果をイメージすると、ほぼ70パーセント以上の確率で、そのイメージ通りのボールが出るといいます。
「ダフりそうだ」と考えているゴルファーは、実はダフっている自分をイメージしているのです。
だから、そのイメージ通りにダフってしまう確率が高いというわけです。
上手くいく時というのは、成功する自分のイメージしているものです。だから、実際にも上手くいくのです。
「不安」の源をはっきりさせる
それでは、ショットを打つ前に不安が生じてしまったら、どのように対処したらいいのでしょうか?
それにはまず、自分がどんなことについて不安に思っているのか、どうして、それが不安なのか、その正体を具体化することが必要です。
例えば、「絶対ダフりそうだな」と感じている自分がいる場合、どうしてそう思うのか、さらに具体的な理由が、必ずそこにあるはずです。
チョイスしたクラブに自信がない、あるいはライが悪いから、苦手な距離が残っている、過去に同じようなシチュエーションで痛いミスショットをしてしまったという記憶が残っている、などなど。
そのように、具体的な「不安」の源がはっきりさせてしまえば、ミスショットを避ける手段も見えてきます。
ほとんどの場合有効なのが、よりミスの確率の少ないクラブに持ち替えるという方法です。
もちろん、状況にもよりますが、サンドウェッジで打つのが不安であれば、それ以外の不安のないクラブで打てばいいのです。
転がせる状況であれば、パターが一番成功率が高いはずです。
そのようにして、不安を取り除いてやることで、確実にミスは減らせるのです。
安全な場所をフォーカスする
「あのバンカーは入れたくないな」とか、「あの池が気になるな」などと思うと、不思議にボールは、その場所に吸い込まれていくものです。
これは「入れたくない」と思うことで、その場所に強く意識が向いてしまうために起こるミスです。
心理学の世界では、「潜在意識は否定形を理解できない」と言われています。
つまり「~してはいけない」という意識は、「~してもいい」という意識と区別がつかないということです。
「あの池には絶対に入れてはダメだ」と考えたとしても、潜在意識化では「あの池に入れる」というシグナルにすり替わっているかもしれないのです。
要するに、どういう形であれ、意識の向いたところにボールは飛びやすいということです。
それならば、「入れたくない」場所ではなく、ボールを「運びたい」場所に意識を集中(フォーカス)すればいいのです。
池越えでグリーンを狙うのに不安があるのなら、グリーンの奥のカラーに意識を向ける。
できれば、そこに到達する弾道までイメージすれば、その途中にある池などは問題ではない思えてくることでしょう。
不安の原因を具体化し、その対処にしっかり集中することで、ミスを減らしていきましょう。