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ライフスタイル

Taddy Bear

アメリカが歴史を変えてきたゴルフ女子のウェア

知っておけばフェアウェイでの話題作りに役立つゴルフ・トリビア。第4回目はウェアを革新的に変えたゴルフ女子たちのエピソードです。

女性のゴルフウェアは男性ゴルファーからも注目の的。ゆえに、眉を顰(ひそ)める人もいるわけですね。

そんな視線をものともせず自由なウェアでプレーしたのは、やはりアメリカ人でした。

肌の露出けしからず!? USLPGAのドレスコード

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2017年7月、USLPGA(全米女子プロゴルフ協会)はドレスコードの厳格な規制を発表しました。

襟なし、胸元の開いたトップス、ジョガーパンツやジーンズ生地は禁止。またスカートやショートパンツは立っている時だけでなく、膝を曲げた時でもボトムエリアが隠れなくてはならない、と定めています。

肌の露出が即セクシーにつながるというわけではありませんが、少なくともUSLPGAは男性の視線を集めるようなウェアよりも試合で競い合うほうに情熱を傾けてくださいね、と言っているワケです。

日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のドレスコードはそこまで厳格化されておらず、ジーンズ生地や迷彩柄は禁止しているものの、メーカーが販売しているウェアであれば襟なしでも許可されています。

USLPGAに比べるとかなりユルいですね。

実際、日本のLPGAツアーの中にはドレスコードの規定範囲以内であっても、男性の視線を集めるウェアでプレーしている選手が大勢います。

これもまた、LPGAツアーを盛り上げている要因のひとつかもしれません。

是非はともかく、ゴルフ女子のウェアに関する規制は今回が初めてではありません。
というより、ゴルフ女子のウェアは常に固定観念との戦いだった、と言ってもいいでしょう。

プレースタイルを変えた1本のゴムバンド

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世界初のゴルフ女子といえば、スコットランドのメアリー・ステュアート女王。

「クイーン・オブ・スコッツ」と愛称がつけられるほど、スコットランドでは親しまれていた女王ですね。

キャディの語源もメアリー女王がプレーした時の付き人「cadet(カデ)」であることは有名な話。

1567年、ゴルフに夢中だったメアリー女王は再婚相手のダーンリー卿が暗殺された時でも数ヶ月後にはプレーしていました。

もっとも、議会は「平然とプレーしていた」ことを問題視、策略もあってメアリー女王はその後、イングランドに亡命して処刑されてしまいます。

世界最古のゴルフ記述、ゴルフ禁止令が1452年。100年近く、ゴルフは男性だけのスポーツだったわけですね。

これが一般市民になると、ゴルフ女子の出現はさらに遅くなります。

19世紀になり、ようやく女性たちもゴルフを始めるようになりましたが、当時の服装はビクトリア王朝風の裾が長いスカートに膨らんだ長袖。

スイングが満足にできないだけでなく、雨が降るとスカートがびしょ濡れになって重くなり、プレーできなくなるという有様。

それでも女性の間でゴルフが盛んになっていったというのですから、当時よりゴルフ女子の情熱、男性顔負けです。

この、ゴルフをプレーするには不便な服装を1本のゴムバンドだけで大きく変えたのが、アメリカからやってきたミス・マーベル・ヒギンズ。

ゴムバンドは通常、腰に巻いているのでベルトのように見えます。アドレスやパッティングの時になるとゴムバンドをそのまま膝回りまで下ろすわけですね。

すると広がっていたスカートはキュッと窄(すぼ)まり、プレーしやすくなりました。

風に煽られないことも大きなメリット。

このゴムバンド、すぐにゴルフ業者が目を着け、「ミス・ヒギンズ」という商品名をつけたところ、アメリカやイギリスで爆発的に売れたという記録が残っています。

イギリス中を驚かせたショートパンツ

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編上ブーツや薄手のブラウスを着用するようになったものの、長いスカートは第二次大戦前まで以前としてゴルフ女子のたしなみでした。

この定番ウェアを大きく変えたのが、やはりアメリカ出身のミス・グロリア・ミノブリオ。

1933年のイングランド婦人選手権に黒いスラックスを履いて出場しました。慌てたのが選手権の役員たち。

それまでスラックスのゴルフ女子は皆無だったので、一応、警告となりましたが、彼女が一回戦(マッチプレーだったことがわかりますね)で敗退、他にスラックスを履いた選手がいなかったので規制には及びませんでした。

ここからのゴルフ女子ウェア、進歩が著しくなります。

第二次大戦後まもなく、1947年の全英婦人選手権ではミセス・ベーブ・ザーハリスがショートパンツで登場、イギリス中を驚かせました。

彼女もアメリカ人です。

すでにフロリダなどの開放的な場所ではショートパンツ姿のゴルフが普及していたものの、イギリスではまだ長いスカートが主流。

この時も役員は慌てて長いスカート、せめてスラックスにしなければ出場を認めないとザーハリス夫人に警告を与えます。

ザーハリス夫人、渋々スラックスを履き直して出場しました。

ゴルフ女子のウェア、つねにアメリカ人によって革新がもたらされています。USLPGAの保守的な規制と正反対ですね。

ちなみにこれらのエピソード、摂津茂和氏の『ゴルフ異聞紀』に詳しく書かれています。

他にも面白い話がたくさん掲載されているので、興味のある方はぜひ一読をおすすめします。

ゴルフウェアのマナーは同伴競技者やクラブに不快感を与えないことが最優先。

よほど伝統を重んじる保守的なクラブでは肌の露出を避けたほうが賢明ですが、カジュアルなコースであれば神経質になる必要もないでしょう。

アスリート系もいいですが、チャーミングなウェアはコースを華やかにしてくれます。

ゴルフ女子、目一杯おしゃれしてくださいね。