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Gridge編集部

ゴルフルール改訂2019の裏話〜ヒッティのJGA講演会レポート〜

ごきげんよう、Gridge編集部のヒッティです。

2019年から、ルールが変わりましたね! プレー中に「あれ、こんな時はどうするんだっけ?」と戸惑っているゴルファーさんも多いのでは?

さて、2019年1月に行われたゴルフ業界新年会で、JGA(日本ゴルフ協会)主催の講演会がありました。

どういうポリシーでルールが変わったの? なぜこのタイミングで改訂がなされたの?
 
など、裏話をレポートしたいと思います!

ルール変更の4原則

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コンセプトは以下の4つです。

1.万人にわかりやすいルールにしよう
2.プレーファストを促進しよう
3.ゴルファーの誠実性を信じよう
4.いじわるなペナルティーをなくそう

実は今回のような「大きなルール変更」が行われたのは35年前だそう。

35年の間に、新興国でゴルフコースが開場したり、道具の進化でツアープロの飛距離が大きく向上したり、もちろんゴルファー自身の規範や常識も変わってきました。

時代の流れが「昔ながらのルール」にそぐわなくなってきた昨今、2012年から大きな変更の協議が始まり、今回のルール変更に至ったそうです。

1.わかりやすく・親しみやすく

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ゴルフって考えてみれば、審判(レフェリー)がいない特殊なスポーツなんです。フィールドも広ければ、一度にプレーする選手も多い。

なのでプレーヤーは自分自身でルールを理解し、判断し、時に罰を科す必要があります。

ですが、ルールブックを開いてみると……字が小さ過ぎて読めない!

……ではなく、英語からの翻訳のせいなのか原文のせいなのか、用語や言い回しがやたらと小難しいのです!

ゴルフには、いわゆる「競技ゴルフ」と「エンジョイゴルフ」という目的が異なる楽しみ方がありますよね。

正直、おおざっぱなルールとマナーを知っておけば、友人・知人たちとのプレー中にそこまで厳格にルールに従う必要はありません。

なにより、覚えることが多いと、初心者がゴルフを始めるハードルが高くなってしまうというデメリットがありました。

ゴルフ人口の減少が叫ばれているのは、日本だけではなくアメリカでも同じです。

なので、今回のルール改正は「誰にでもわかりやすい」「親しみやすい」ものにすることが大きなテーマだったようです。

2.スロープレーの防止

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ゴルフは通常、最初の組がスタートしてから、7分〜10分間隔でスタートしていきます。

大雑把に言えば、18ホールに35〜40組くらいが同時にコースに出ているわけで、少しでもどこかの組が遅くなってしまうと、後続組が渋滞を起こしてしまいます。

今回は例えば
・ロストボール(紛失球)を探せるのは5分から3分までに
・ホールにピンを挿したままパッティングしてカップインしてもノーペナルティに

など、速やかにかつ快適にプレーしやすくなりました。

このルール変更は、プレーヤーにとっても同伴競技者にとっても、ストレスが軽減されることが期待できます!

3.ゴルファーのスポーツマンシップを信じる

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3つ目のポイントは、「ゴルファーがズルをするのではないか」という性悪説を「ゴルファーは清く正しくプレーするはず」という性善説に立脚したルールに変えたという点です。

故意にルールを悪用したり、ごまかしたりするなんてこと、ゴルファーがするはずない! という考え。紳士淑女のスポーツですもの。

例えばこれまでは、ツアーのテレビ中継を見ていた視聴者の指摘によって、後からペナルティーが科されたり、失格になるというケースがありました。

しかし、当事者(プレーヤーと同伴競技者)同士が同意してプレーを遂行したのであれば、後から外野がなんといってもそこでルールが成立しており、後から処罰が科されることはなくなりました。

これはどちらも悪意を持って処置を間違えたわけではない、という原則に基づいています。

それと同時に、テレビ中継が入っている選手とそうでない選手の公平性も生まれます。

プレーヤーたちが疑心暗鬼にならず、自身のプレーに集中できるというメリットがあるほか、競技委員のストレスも軽減されそうです。

4.いじわるなペナルティーはなし

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「いじわる」というのは、わざとじゃないのに「ルールではこう決められているから」という理由でペナルティーになってしまう、というようなケースです。

例えば
・グリーンでマークして拾い上げ、再びプレースしたボールが強風で動いてしまった
・2度打ちしてしまった
・ボールを捜索中にうっかりボールを蹴ってしまった
・打ったボールが自分のキャディバッグに当たってしまった

このような例は、2018年まではペナルティーが科されていましたが、2019年からは「わざとでなければ」ノーペナルティーで元の位置にリプレイスとなります(2度打ちはそのままプレー)。

35年前はコースのメンテナンスもそこまで行き渡っていませんでしたが、今やPGAトーナメントの大きな大会のグリーンは、鏡のようにツルツルに芝が刈られています。

近年では、風が強いと勝手にボールが転がってしまうというケースが毎年報告されていましたが、これからは無罰でリプレイスすることができます。

少し3と被りますが、善意のあるゴルファーには不必要な罰は科さないという寛容なスタンスです。

本来なら4年に一度のルール改正だったけど?

※写真左手が山中博史専務理事、右手が市村元規則統括部長。

前回ゴルフルールブックが新しくなったのは2016年でしたね。通常は4年に一度ルール改訂があり、本来ならば2020年に改訂があるはずでした。

しかし、この「大きなルール変更をしよう」という議論は2012年から始まっていました。

2016年には間に合いませんでしたが、2017年3月にR&Aが全文を発表していました。

例えば、当初ドロップの仕方は「地面に触れていなければ良い」という案でしたが、置いているのと区別がつきにくいという意見があり、現在の「膝の高さから」のドロップに変更になりました。

このように多くのゴルフクラブから意見を集め、2018年に修正を加えて発表、施行日は2019年の1月1日からとなったのです。

決してオリンピック前にあわてて発表、というわけではないそうです(笑)。

今回のルール変更は大きく、一記事ですべてを伝え切れるわけではありませんが、ゴルフをする時の話題としても押さえておきたいですね!