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Gridge編集部

パター開発者とパターコーチ、ツアープロコーチのトークセッションが開催!

2022年10月29日(土)、テーラーメイド銀座店にて「ビル・プライス×TM契約パッティングプロコーチ橋本真和×TMツアー担当トークセッションevent」が開催されました。

売り上げランキングベスト10のうち、1~7位、9位を占める!

↑ビル・プライス氏

イベントには、テーラーメイド社でパター&ウェッジ担当プロダクトクリエーション・シニアディレクターを務めるビル・プライス氏、プロだけでなくトップレベルのアマチュアも指導する同社契約パッティングプロコーチの橋本真和氏、同社スポーツマーケティング パター担当の小竹(しの)素史氏、同社スポーツマーケティング マネージャーの真野義英氏に加え、日本人初のメジャー勝者のコーチとしても著名な同社契約ツアープロコーチの目澤秀憲氏も参加。

先日行われた富士通レディース2022では、上位3名が同社製のパターを使用し、また、とある売上ランキングではベストテン中1~7位、9位を占めるなど、現在人気の高いテーラーメイドのパター。

そんなパター市場を席巻する同社パター「トラス」「スパイダー」などの秘密や、ツアープロのパターに対する悩みやその解決方法など、興味深いトークが繰り広げられました。

フェースの開閉を抑制する2つの方法

↑橋本真和氏

トーク序盤は、パッティングにおけるミスの傾向とそれを同社のプロダクトがどう解決したのかという話になりました(敬称略)。

橋本「目標に正確に向けられない選手が圧倒的に多い。すると、スイートスポットに当てられないので、当たり負けをして真っすぐ転がらなくなる。特に、トウ側に当たってフェースが開く選手が多い。その際、フェースが開くことを物理的に抑制するのが『トラス』で、慣性モーメントで解決するのが『スパイダー』です」

小竹「プロゴルファーでブレード型のパターを使ったことがないという人はいないと思いますが、憧れはあるけど難しくて使えないという人も少なくありません。そんな人でも『トラス』のおかげでブレード型を使えるようになったと聞いています」

プライス「きれいな順回転で打つことがパターにとって最も重要で、テーラーメイドのパターで採用されている『ピュアロールインサート』がそれを可能にします。パッティングのスタッツのいい選手は自身のストロークでトップスピンを生み出すことができますが、アマチュアはそうはいきません。そんなアマチュアでも打った直後に順回転を発生させるのが『ピュアロール』の特徴です」

「なんでお前はスパイダーを使わないんだ?」

↑目澤秀憲氏

トークの後半は、同社のパターを使用する選手の話題も出て盛り上がりました。

プライス「ローリー(マキロイ)やジェイソン・デイは、テーラーメイドのパターを使うようになってからスタッツ(成績の数値)が向上しました。ローリーはもともとブレード型のパターを好んでいたが、左に引っ掛けるミスが多かった。スパイダーを使うことで、左へのミスを抑え込んだのです。この違いは重心の位置です。一般的なブレードパターは重心がフェース面から10ミリ後方にありますが、スパイダーは35ミリ。3倍以上の深い重心が、ミスの解決に役立っているのです。ちなみにトラスは、重心が浅いまま左へのミスを抑えることができました。そんなパッティングが良くなったローリーですが、かつてのローリーのようにブレード型の好きなコリン・モリカワに『なんでお前はスパイダーを使わないんだ?』と言ったそうです(笑)」

目澤「アマチュアはあまりにも真っすぐ引いて真っすぐ出そうとするので、ストローク軌道がアウトトゥアウトになりやすく、その結果フェースが開いて右へのミス。それを嫌って左に引っ掛けというパターンが多いです。トラスはフェースが閉じにくいので、急にフェースが返りません。またスパイダーは、深い重心がイントゥインの理想的なストロークを促してくれるのです」

橋本「センターシャフトは日本でだけ流行しているのですが、ど真ん中で打てないと右にも左にもフェースが向きを変えてしまいます。トラスのセンターシャフトは、そんなセンターシャフトの弱点をカバーして、ミスヒット時にフェースの回転を抑えてくれます。実際、海外の大きな大会を優勝した女性アマチュア選手も『トラスで、海外の芝でも順回転を感じられた』とコメントしてくれました」

プライス「トラスはラケットの進化に似ています。フェース面を支える支点が1ヵ所だったのが、デカラケになってフェース面が大きくなると支点が2ヵ所になり、フェース面が回転しにくくなったのと同じです」

最後にプライス氏が「今日はパターの話でしたが、パッティングが良くなるとウェッジゲームも良くなります。次回来日した際はウェッジの話になるかもしれませんね」と言って、トークセッションは幕を閉じました。

テーラーメイドと言えばウッドに強みを持つメーカーというイメージが強いですが、実はここ数年はパターでもヒットプロダクトを多数輩出しており、一大パターメーカーとしての地位も築きつつあります。そんな同社のプロダクトの秘密や、選手の問題をパターで解決する方法など、興味深い話をたくさん聞くことのできたトークセッションでした。