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ゴルフクラブ

ロマン派ゴルフ作家の篠原

新・貧打爆裂レポート『P770 アイアン』

今回の貧打爆裂レポートは、2020年9月11日に発売されたテーラーメイド『P770 アイアン』です。

いつものようにコースに持ち込んで、ラウンドしました。中空ヘッドのアイアンの秘密に迫ります!
動画も含めての試打レポートです。

『P770 アイアン』は進化して最高の中空マッスルになった!

『P770 アイアン』は、テーラーメイドが2020年9月11日に発売したクラブです。

“美しさとテクノロジーの融合”というコピーのアイアンです。

【試打クラブスペック】
ヘッド素材  軟鉄8620+タングステン(#3~#7)
フェース素材 クロモリ鋼4140
シャフト N.S.PRO MODUS3 105(S)
ロフト #5/25.5度、#6/29度、#7/33度、#8/37度、#9/41.5度、PW/46度
価格(税別) 6本組(#5~#9、PW) 15万6000円

テーラーメイドの公式サイトを見ると、『P770 アイアン』には、サブコピーのような紹介文があります。

“P790で培ったすべての知識と技術を注ぎ込んだ、コンパクトシェープ”
“P790と同じDNAを継承し、圧倒的な飛距離と最高のパフォーマンスを実現”

『P790』は素晴らしいアイアンで、名器だと持ち上げるゴルファーも少なからずいます。『P770 アイアン』は、その進化バージョンのようです。

進化の方向性が実に面白いのです。まず外見ですが、コンパクトになりました。そして、シャープです。見た目だけであれば、マッスルバックのアイアンのようです。

7番アイアンのロフトは33度。ほとんどクラシックなロフトです。

中身はまったく違うのです。

中空構造で寛容性を向上させているのは序の口で、フェースは「L型ICT フォージドフェース」になっていて、「貫通型スピードポケット」も合わせて採用しています。

これでフェースの反発力は最大になり、初速を上げることで、飛距離性能を上げることを狙っています。

また、ミスヒットしたときに飛距離に影響が少ないというプラスもあります。

6番と7番は、ヘッド内部に46.5グラムのタングステンウェイトを入れて、低重心化を図っています。

新しくなった「SPEEDFOAM(スピードフォーム)充填剤」を中空部に入れることで、心地の良いフィーリングを可能にしたそうです。

改めて、『P770 アイアン』をじっくり見てみます。

中空構造の中身は確認しようがありませんが、アドレスビューは、トップラインが薄く、オフセットが少なく、『P790』よりもブレードが短いのです。

言うことなしです。実に美しくできているアイアンです。

これで、高機能なやさしさと飛距離でゴルファーを助けてくれるのであれば、『P770 アイアン』は夢のアイアンと言えます。

打つ前から、少し感動してしまいました。中空マッスルと勝手に読んでいるマッスルバックのような容姿なのに、中空構造でやさしいアイアンは、テーラーメイドがリードしていくのだという意思を感じました。

『P770 アイアン』はやさしいけれど、クールなアイアン!

動画を見てください。

『P770 アイアン』は、とにかくカッコいいのです。

アイアンとしてはかなり厚みがあるのは中空構造だからしかたがないことなのですが、それ以外で、マイナスになる部分は皆無です。イケメンなアイアンというのか、美人なアイアンというのか、とにかく、惚れ惚れします。

動画を見ても、バックフェースが特徴的で、遠目でも『P770 アイアン』だとわかります。これが、所有しているという快感に直結します。

『P770 アイアン』は、中空マッスルのアイアンを使ってみたいゴルファーにオススメです。素晴らしい完成度です。

ロフトは、ほぼクラシックロフトです。飛距離は、ほぼロフト通りで、べらぼうに飛んだりはしません。

それよりは、コントロールしやすいことに特化しているアイアンだと考えると良いと思います。

『P770 アイアン』で、大きなプラスポイントだと感じたのは、どの番手も、スピンがしっかりとかかることです。弾道を見ても、ボールに浮力があるのがわかるほど伸びています。当然、スピンがかかります。

ショートアイアンは、受けている傾斜に当たるとバックスピンでボールが戻りました。

打音は、大人しくやや湿った金属系の音質です。ただ、一つ、個人的に残念だったのは、残響があることです。

気にならないゴルファーのほうが多いと思いますが、良いアイアンの打音は単音で、残響や共鳴がないと信じているオールドゴルファーには、耳障りで、戸惑うかもしれません。

打ち応えは、ボールがフェースに乗る感覚がありますが、少し軽めで、インパクトに重みを求めるゴルファーには物足りないかもしれません。

とはいえ、打音も打ち応えも、数ラウンドすれば慣れてしまうものですので、マイナスにはならないと考えています。

『P770 アイアン』は、ミスヒットに強いアイアンです。

やさしくて、カッコいいアイアンが欲しいゴルファーにオススメします。ほとんどのゴルファーが、パッと見ただけでは、中空アイアンだとは思わないと思います。

試打ラウンド中に何度も、「クールだなぁ」と呟いてしまいました。

『P770 アイアン』は、ミスヒットに強いので、狙い通りにボールは飛んでいき、止まります。しかし、やさしさの分、真芯に当たった時の快感が少ないのです。

結果が出るという意味で、「最高だ」というクールと、手応えとかの満足感という意味では「冷たさ」を感じるクールが、混じり合っていました。

マッスルバックのアイアンのような容姿なのに、中空構造になっている中空マッスルというアイアンは、近い将来、一つの分野になって、もっともっと開発が進むと期待しています。

『P770 アイアン』は、そういう未来を照らす素晴らしいアイアンでした。