ゴルフクラブ
ロマン派ゴルフ作家の篠原
新・貧打爆裂レポート『キング ツアー MIM アイアン』
今回の貧打爆裂レポートは、2020年12月12日に発売されたコブラ『キング ツアー MIM アイアン』です。
いつものようにコースに持ち込んで、ラウンドしました。コブラの新しいアイアンの秘密に迫ります!
動画も含めての試打レポートです。
『キング ツアー MIM アイアン』は自信に溢れた最先端のアイアンである!
『キング MIM ツアー アイアン』は、コブラが2020年12月12日に発売したクラブです。
“MIMテクノロジーを採用したKINGツアーアイアン”というコピーのアイアンです。
【試打クラブスペック】
ヘッド素材 ステンレススチール
ヘッド製法 MIM製法
シャフト N.S.PRO MODUS3 TOUR 105(S)
ロフト #5/26度、#6/29度、#7/33度、#8/37度、#9/41度、PW/45度
価格(税別) 6本組(#5~#9、PW) 13万2000円
『キング MIM ツアー アイアン』で最初に目に付くテクノロジーは、コブラが史上初めてアイアンに採用した「MIM製法」です。名称にも入っています。
MIMとは、“Metal Injection Molding”の頭文字を取ったものです。“金属粉末射出成形”という意味になります。
10ミクロンの金属粉末を原料として射出成形することで、加工の難しいステンレスなどでも複雑な3次元製品を量産できる金属加工方法のことなのだそうです。
『KING MIM TOUR アイアン』の場合は、強い素材の“17-4SS”と、やわらかく曲げやすい“304SS”の2種類のメタルパウダーをMIM製法でブレンドして、高温加熱することで密度の濃い粒状構造を作りました。
これにより優れた屈曲性と柔らかいフィーリングが可能になりました。
なんだかイメージが湧かないのですが、MIM製法は形状が一貫しているため、最終的な行程でも、わずかな研磨で済むという利点があり、個体差、重量公差を50%も抑える非常に精度の高い仕上がりになるとのこと。
精密鋳造のような繊細な設計のアイアンを作ることができて、軟鉄鍛造と同等以上の非常に柔らかい打感を実現できるのが、MIM製法ということのようです。
とにかく、すごそうです。
『キング ツアー MIM アイアン』の次のテクノロジーは、トウ側に入っているタングステンウェイトです。
コブラは、このウェイトの意味を「フェースの中心に芯が来るようにすることで打ちやすくなる」と説明しています。
バックフェースを見ると、ことさらに強調していないだけで、最先端のキャビティアイアンのテクノロジーを感じさせます。
最新のキャビティアイアンは、極めるほどに中空アイアンと変わらなくと思っているのですが、『キング ツアー MIM アイアン』も、同じような印象を持ちました。
『キング ツアー MIM アイアン』は、機能としてアドレスビューにこだわった様子が、メーカーのリリースからもわかります。
実際に構えてみると、実に上手くできていると感心します。シャープで、構えやすいのです。弾道がイメージできます。
名称からわかるように『キング ツアー MIM アイアン』は、ツアーキャビティです。
最もわかりやすいのはロフト設定です。7番アイアンで、ロフト角33度は、クラシックロフトに分類されます。
ツアーキャビティの中には、もっとロフトを立てたものもある中で、この無骨さが、アイアンの完成度への自信だとしたら期待できる、と考えました。
『キング ツアー MIM アイアン』は、打つ前にいろいろと期待をさせるアイアンです。
もっと上手くなりたいなら『キング ツアー MIM アイアン』があるぞ!
動画を見てください。
『キング ツアー MIM アイアン』は、アドレスビューが美しいアイアンです。ヘッドが大き過ぎず、小さ過ぎず、ほど良い大きさなのが良いです。
ネックが太く見えるのが嫌な人もいると思いますが、その昔、ツアー系のアイアンはネックが太いのが特徴でもありましたので、個人的には、いいね、と思いました。
打音は、おとなしめの音量で、低音ですが締まった良い音質です。
打ち応えは、かなり柔らかいほうになります。『キング ツアー MIM アイアン』はボールが潰れる感触を味わいたいゴルファーにオススメできます。
初速感はウッドのような感じです。
弾道がアイアンらしいきれいな軌跡を描きます。中弾道の高さですが、ロフトよりも少し飛びます。
クラシックなロフトのアイアンより半番手、人によっては1番手ぐらい飛ぶかもしれません。
スピン性能は、マッスルバックのアイアンのようにグッとかかります。これは、さすがにツアーアイアンです。
『キング ツアー MIM アイアン』は、本格的なツアーアイアンが欲しいゴルファーにオススメします。
打点が若干ズレても、ミスショットになりにくいというやさしさはあるところも、オススメです。
ラウンドしていて、ミドルアイアンの打ちやすさに感心しました。
7番アイアンが実質5番アイアンになってしまったりして、難しいミドルアイアンが増えている中で、7番アイアンを使っていて、実に気持ちが良かったです。表現が難しいのですが、やさしい7番アイアンです。
『キング ツアー MIM アイアン』は、上手くなった気分が高まるアイアンです。ボールを操っているという快感と、狙って飛ばしているという快感が味わえます。
『キング ツアー MIM アイアン』を試打したのは冬でしたが、暖かくなったら、もう一度試打ラウンドしてみたいと思いました。気持ちが良いアイアンは、いろいろと試したくなるものだからです。
ある程度ボールが打てる自信があるゴルファーが、もっともっと上手くなりたいと願いつつ、手にするアイアンです。