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http://golfweek.com/2017/10/01/kevin-chappell-contemplates-hitting-from-tv-tower-ends-up-conceding-hole-after-penalty/

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こせきよういち

「臨時の動かせない障害物」がゲームをショーアップ~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#43

プロのトーナメント運営に欠かせないスコアボードや観客席、テレビカメラ用タワー、トイレ、そしてホスピタリティテントなどは、通常はローカルルールによって「臨時の動かせない障害物」に指定され、もしそれらがプレーの障害になる場合は無罰の救済が受けられることになっています。

そして、それはときに、プロのトーナメントならではの面白いシーンを生み出すことになるのです。

ケビン・チャペルのボールはテレビカメラのタワーの上に

「臨時の動かせない障害物」による障害で最近話題になったのが、先月のプレジデンツカップ(アメリカ対インターナショナルの対抗戦)最終日のケビン・チャペルです。

10番パー3。チャペルのボールは、こともあろうにグリーン奥のハザード内に建てられたテレビカメラのタワーの上に乗ってしまいました(動画は下記リンク先で見られます)。

ボールはわずかなスペースに巻いて置かれたケーブルの間にありました(冒頭の画像)。

ハザード内では、通常の「動かせない障害物」からの救済はありません。そのまま打つか、1ペナの救済を選ぶことになります。

しかし、「臨時の動かせない障害物」の場合はハザード内でも救済が受けられ、プレーヤーはその障害を避けられる最も近い(かつ、ホールに近づかない)地点から1クラブレングス以内に、無罰でドロップすることができます。

ただし、ボールはそのハザード内にドロップし、止まらなければなりません。

でも、チャペルはそのまま打とうと考え、競技委員に邪魔なケーブルを動かせるのか相談しました。

長い時間の協議のすえ、それが認められなかったのでしょう。

仕方なくチャペルはタワーを降り、救済のドロップを選択したのです。

果たして、注目のリカバリーショットの結果は?

……残念でした。

チャペルは、ドロップ後、つまりボールがハザード内にある状態で、不注意にもクラブをハザード内の地面に付けてしまったのです。

これはもちろんペナルティ。そして、マッチプレーの規則により、その瞬間、そのホールの負けとなったのでした。

何のためにタワーに昇り、競技委員と長々と協議し、そしてドロップしたのやら。とほほっ。

フィル・ミケルソンはホスピタルテントの上から、しかも……

「臨時の動かせない障害物」の救済を選ばず、そのままプレーしたエピソードといえば、2014年のザ・バークレイズ(現ザ・ノーザントラスト)でのフィル・ミケルソンが有名です。

5番ホールは距離291ヤードの短いパー4。

第2ラウンド、もちろんミケルソンは1オン狙い。

しかし、ボールは左に外れたあと、大きく跳ね、脇に建つホスピタリティテントの屋上に達したのでした。

ここでも無罰の救済は可能で、おそらくテントの手前のラフに特設のドロップゾーンがあったはずです。

しかし、そこにドロップするとボールはラフに沈んでしまうので、それを嫌ったミケルソンはそのまま屋上の床から第2打のアプローチ。

残念ながら、その一打はガードバンカーにつかまり、結果ボギーとなりました。

でも、そんなショットを見せてくれるミケルソンは大人気です。

話はこれで終わりません。

彼はなんと、翌日の第3ラウンドでも同じ5番ホールで同じミスを連発(下記リンク先の映像をご覧ください)。

またも屋上の床からリカバリーショットを打ったのでした。人気を獲るにもほどある?

そして、さすがミケルソン。今度は見事にグリーンをとらえ、バーディチャンスに着けたのでした(結果はパーでホールアウト)。

セルヒオ・ガルシアは無理無理(?)テントを障害に

今年はもうひと試合、「臨時の動かせない障害物」からの救済が話題になったゲームがありました。

米ツアーのプレーオフシリーズの第3戦「BMW選手権」の最終日のことです。

18番パー5で、セルヒオ・ガルシアの第2打はグリーン右奥に外れ、ボールはクリーク内の石の間に止まってしまいました。

幸い水はないため、そのまま打つことに。

しかし、まともには打てません。

そこで、一度グリーンとは反対の方向に打ち出すことにしたのですが、そうした場合、フォロースルーのクラブがホスピタリティテントに当たってしまいます。

そのため、ガルシアは競技委員に「臨時の動かせない障害物」からの救済を主張します。

でも、それは「不自然なスタンスのとり方」に思えたのでしょう。

競技委員との協議は20分間余にも及びました。それでも、最終的にはガルシアの主張が認められ、テントが障害にならない地点(そのクリーク内)にドロップ。

すると、そのボールはグリーン方向に打てるライになっていたのです。

こうして、このホールをなんとかパーとしたガルシアは、結果、ポイントランキングを25位(前週までは34位)にまで上げ、プレーオフ最終戦のツアー選手権に進出(30位まで)したのでした。

めでたし、めでたし?

今回は、「臨時の動かせない障害物」があればこその面白いエピソード集でした。