テレビ視聴者からの指摘が優勝の行方を変えた〜世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#15

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テレビ視聴者からの指摘が優勝の行方を変えた〜世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#15

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先週のツアートーナメントで一番話題になったのは、女子メジャーの今季初戦「ANAインスピレーション」でのレキシー・トンプソンのペナルティでしょう。

彼女は最終日、トップに立ってプレーしていたところで、競技委員から前日(3日目)の彼女のプレーに違反が見つかったとして、突然4打罰の通告を受けたのです。

その違反は、テレビ視聴者から全米女子プロゴルフ協会(LPGA)に送られたメールで発覚したものでした。

結果、トンプソンは優勝したユ・ソヨンとトップタイに並んで競技終了。

サドンデスのプレーオフとなり、その1ホール目で惜敗したのです。

スコア提出後、テレビ視聴者からの指摘で、その場面のビデオを検証。

改めて違反が確認され、「競技失格」あるいは「大きな罰打」が課せられた例は過去にいくつもありました。

そのなかから有名な“事件”を振り返ってみましょう。

高画質のアップの映像で初めて確認できる違反

まずは、今回のレキシー・トンプソンの“事件”をおさらいしましょう。

彼女が競技委員から、前日のプレーに違反があったことを知らされたのは、最終日の12番ホールのホールアウト後でした。

内容は、前日17番ホールのグリーン上で、ボールをリプレースした場所が元の位置から少し離れていたというもの。

その結果、「誤所からのプレー」となり、彼女にはそれに対する2罰打と、それにより生じた「過少申告」に対する2罰打、合計4罰打が加えられるという残酷なものでした。

ビデオを見れば、わずかな距離ですが、確かに元の場所からは外れているように見えます。

でも、その違いは通常の映像ではほとんど認識できません(リンク先を参照)。

アップのリプレー画像でようやくわかる程度の「誤所」です。

それをテレビ視聴者が翌日指摘。その結果の4打罰。

そして、メジャータイトルを逃したトンプソン。

ネット上では、この裁定に対し、男女を問わず多くのプロから疑問の声が挙がっています。

本人が気付かぬ違反に対する救済を生んだ“ハリントン事件”

テレビ視聴者からの指摘で違反が発覚。優勝の行方を大きく左右した例で有名なのが、2011年のアブダビHSBC選手権で起きた「ハリントン事件」です。

メジャー3勝の実力者パドレイグ・ハリントンはこの大会でも優勝候補のひとりでしたが、2日目の競技中、グリーン上でボールをリプレースし、マークを拾い上げる際に、本人も気付かぬうちにボールをわずかに前方に動かしていたのです。

しかし、その様子はテレビの中継画像に、アップで、はっきりと映っていました。

でも、それは彼がスコアカードを提出した後に確認されたため、ハリントンは当時のルールにより「競技失格」になってしまいました。

このように中継画面で(選手が自覚しない)ルール違反が発覚するのは、主にテレビカメラが向けられる人気・上位選手が中心で、彼らだけが発覚のリスクを多く負うことになります。

それでは不公平ということで、この“事件”をきっかけに、R&Aと全米ゴルフ協会は「選手自身がルール違反に気付かず、そのままスコアカードを提出しても自動的に競技失格となることは免れる」という裁定を新しく採用したのでした。

「ドロップ場所の違反」は発覚したが「競技失格」は免れたタイガー

その新裁定で「競技失格」を免れたのが、これもまた有名な“事件”=2013年マスターズにおけるタイガー・ウッズの「ドロップ場所の違反」でした。

タイガーは2日目の15番ホール(パー5)で第2打がピンを直撃。

ボールは真っ直ぐ手前に跳ね返り、クリークの中へ(リンク先に映像)。

そこで彼は元の場所に戻ってのドロップを選択し、打ち直しをしました。

ところが、そのドロップのシーンを見たテレビ視聴者から「ドロップの位置が違うのでは?」との指摘が殺到。

しかし、競技委員が映像を確認した結果、「問題なし」と判断。

一旦はそれで決着しました。でも、その後のインタビューでタイガーが「(元の位置から)2ヤード下がってドロップした」とコメント。

そのため、「ドロップ場所の違反」の疑いが再燃。翌日の朝、競技委員とタイガーによる協議の結果、同「違反」はあった(2打罰)が、その罰打をスコアに加えなかった「過少申告」は、前記「ハリントン事件」による裁定で免れることになったのです。

もし2日目の15番ホールのあの一打がピンを直撃せず、無事オンしていれば、タイガーは優勝スコアを上回った計算となり、メジャー15冠目となったはずでした。

昨年の全米女子オープンもアップの映像が勝敗を決した

テレビ視聴者からの指摘ではありませんが、昨年の女子メジャー「全米女子オープン」でもテレビ中継のアップの映像により「違反」が発覚。

優勝の行方を決することになりました。

この大会はブリトニー・ラングとアンナ・ノードクイストのプレーオフ(3ホールのストロークプレー)に持ち込まれたのですが、そのプレーオフ2ホール目、ノードクイストはバンカーからのショットの際、アイアンのソールがバンカー内の砂一粒に触れ、わずかに動かしてしまいました。

そして、そのシーンがテレビカメラによって、アップでしっかりと捉えられていたのです。

実質、ここで勝負あり。でも、これもテレビ中継の映像がなければ発覚しない“ミクロ”な違反でした。

違反は違反として厳格に処理されなければなりませんが、本人が気付かず、テレビ映像、しかもアップで初めて発覚する違反でゲームの行方が大きく左右される。

こうしたトラブルはこのまま今後も続くのでしょうか?

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こせきよういち

かれこれ30年もフリーランスのライター稼業をやっています。活動のフィールドはゴルフ雑誌がメインですが、ゴーストライターとして単行本を執筆したり、某出版社の運営を手伝ったり、テレビ・ラジオのスポーツ番組の構成を手掛けたり……。昨年(2016年)はトランプ大統領をテーマにした単行本の一部執筆もしました(笑)。でも、目下一番忙しいのは、日々SNSにアップしているゴルフ関連の話題を収集する作業かな。ゴルフ界、スポーツ界がもっと元気になれるように、との視点から有益な、あるいは面白い情報を集め、発信しています。 Twitter: https://twitter.com/kohe46

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