ゴルフウェア
こせきよういち
「ゴルフウェアはいま、伝統の殻を破ろうとしている?」 世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#11
先週は国内女子ツアーも開幕し、プロゴルフ界にはいろいろと話題がありましたが、今回選んだテーマはこれっ!
米女子ツアー競技「HSBC女子チャンピオンズ」でミシェル・ウィが着用したタンクトップは「あり? それとも、なし?」
初見での正直な感想は「あれはゴルフウェアではなく、スクール水着でしょ」というもの。
でも、下記の米ゴルフダイジェスト誌はこれを「LPGAはゴルフに相応しいウェアの基準の近代化を進めている。私たちもこれを認める時がきた」とのタイトルで取り上げています。
つまり、ウィのウェアは「蒸し暑いシンガポールにおいて合理的な選択」であり、LPGAの選手たちがこうした(スポーツウェアとして合理的=快適性、機能性を追求した)ウェアを着始めれば、私たちも認めるべきだろう、としています。
国内女子ツアーはゴルフメーカー製のゴルフウェアは着用OKだけど
女子プロのノースリーブは珍しくありません。
タンクトップも、欧米ツアーでは目にしたことがあります。
それでも今回のウィには度肝を抜かれました。
これまでにない大胆なカット。とくに背中は競泳水着のレーサーバックのように大きく露出し(肩甲骨の動きを妨げないデザイン?)、しかも体にフィットしているので、やっぱり水着のようでした。
とりわけ初日の黒のウェアは、まるでスクール水着!
従来、ゴルフウェアには「襟付き」というマナー、というか常識がありました。
しかし、女子ツアーでは襟のないTシャツのようなウェアをときどき目にします。
日本女子プロゴルフ協会ではジーンズやカーゴパンツの着用は禁止と規定していますが、トップスについてはゴルフメーカーがゴルフウェアとして販売したものである限り、着用を認めています。
では、ナイキ製のこのウェアもOK?
そして、この米ゴルフダイジェスト誌にあるように、米ツアーに見られる「従来の枠にとらわれないスポーツウェアとしての快適性、機能性を追求する動き」はいずれ日本ツアーにも伝播するのでしょうか?
従来のウェアの常識は欧州ツアーでも変化しつつある?
欧州ツアーでドキッとするウェアといえばこの人。
マリア・ベルチェノワです。
昨年のリオ五輪にロシア代表として出場、最終日に62という素晴らしいスコアをマークし(最終成績は16位タイ)、話題を集めました。
また、その際に着用したウェアや、つば広のおおきな帽子も大いに注目されました(リンク先参照)。
そもそも彼女はロシアでゴルフ雑誌の記事執筆や編集を手掛け、グラビアモデルもこなすプレーヤー。
ですから、自身が人気・注目を集めることは仕事の一部なのでしょう。
そのためか、かつてこの写真のようなウェアでプレーしたことがありました。
ナイキのマークが入ってますが、テニスウェアにありそうなデザインです。
モロッコで開催されたトーナメントで撮影された写真ですから、熱のこもらない機能性重視で選んだのかも知れません。
いずれにせよ。彼女のおかげで、欧州ツアー選手も従来の常識の枠にとらわれないウェア選びがしやすくなったことでしょう。
ウェアの常識はここでも変化しつつある?
男子ツアーにも変化の兆し?
男子ツアーにも変化の兆しが見られます。
例えば、今年からナイキとウェア契約を結んだジェイソン・デイが初戦の「SBSトーナメント・オブ・チャンピオンズ」で着用したナイキ・エアロリアクト・ポロには、ポロシャツといいながら、いわゆるポロ襟のない、小さなスタンドカラーのシャツがあります。
初めて見たときは、一瞬「ん? これゴルフウェア?」と思いました。
今後は、さらに機能性重視のTシャツ風のシャツが開発されるかも知れません。
また、例年8月に開催される全米プロですが、主催者のPGAオブ・アメリカは今年から練習ラウンドでの選手のショートパンツ着用を認めることになりました。
猛暑の中での練習ラウンドです。この変更は合理的な判断と思います。
欧州ツアーでは昨年から実施されているこの規制緩和。
反応次第では、PGAツアーでも採用されることでしょう。
ウェアの常識やマナーは時代とともに変化するもの。
いまはその端境期、過渡期なのでしょうか?