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じゅんやあく

「なぜこんな目に……」口でティーアップさせられることになってしまった男たちの人生3選+1

こんにちは、じゅんやあくです。

過去2回ほど「ちょっとおかしなゴルフの写真・イラストを集めてみました」という記事を作りました。

比類なきレンタルフォトサービスとして有名なゲッティイメージズさんで「ゴルフ」の写真を検索していると、どういうシチュエーションだかよくわかりませんが、「ゴルフ場で仰向けにされた上、ティーアップしたティーをくわえさせられてドライバーをいままさに打たれようとしている」という画像がたくさん出てきます。

このような写真がたくさん用意されているということは、それなりに需要があるということに間違いありません。

というわけで、「ちょっとおかしなゴルフの写真・イラストを集めてみました」シリーズスピンオフ企画です。

これらの写真を使うにふさわしいシチュエーションをそれぞれ考えてみました。

「ちょっとおかしなゴルフの写真・イラストを集めてみました」はこちら

「ちょっとおかしなゴルフの写真・イラストを集めてみました2」はこちら

覚悟。

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おれはビル。

42歳のおっさんだ。

30のときに結婚したキャサリンとは2年前に離婚したが、半年前から25歳年下のエリザベスと付き合い始めた。

「もう結婚はこりごり」

そんな風に考えていたが、10回目の転職もうまくいき、リズ(エリザベスの愛称)となら再婚も悪くないかなと考え始めていた。

そうしていよいよプロポーズをし、彼女の父と会うこととなった。

「私のダディもゴルフ好きなの。一緒に行きましょう」

とリズからの提案。おれはそれを受けることにした。

そうしてゴルフ当日。

はたして、リズのダディはおれと同い年だった。

「ウィリアム(ビルの本名)さん、正気かい? リズは君よりクォーターセンチュリー(四半世紀)も年下なんですよ。もし本気だというのなら……」

そういうとリズのダディ、ロバートは地面を指差した。

「そこに寝そべってティーアップしたボールをくわえな。あんたが本気なら、できるだろう?」

先ほど覗いたボブ(ロバートの愛称)のキャディバッグに入っていたドライバーは、ティーアップして使うはずのクラブなのにソールにはいびつな凹凸が何ヶ所もできていて、ソールの文字は磨り減って消えかかっていた。

事前にリズに聞いたところによると、ボブのハンディキャップは30、ヘッドスピードは50メートル/秒だという。

そしていま、おれは背中にひんやりとした冷たい芝生の感触を感じているってわけさ。

証明。

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おれはマイケル。

マウスピースを作る会社で営業をしている。

28歳独身だ。

さて、マウスピースというと人はどんなイメージを持つだろうか。

普通の人なら、ボクシングのときに口にはめるヤツ、なんて印象だろうか。

実はマウスピースにもいろいろあって、睡眠中に口蓋垂(のどちんこ)が垂れ下がって気道をふさぐのを防ぎ、いびきを解消するためのものや、正しく噛み合わせることでより力を発揮させるためのもの、なんていうものもある。

そういえば数年前、

「このマウスピースをつけると飛距離が伸びるんだよ」

なんて話を試合中にして失格になったプロゴルファーもいたな。

閑話休題。

まあ、そんなわけで、医者とか歯医者との付き合いも多いわけだ。

で、医者とか歯医者ってのはご多分に漏れずゴルフ好きが多く、いきおいゴルフ場での接待も多くなる。

というわけで、今日もゴルフ場で接待だった。

おれはゴルフをしないから、ひたすらドクターのご機嫌取りってわけさ。

しかも今日の相手は、おれがとりわけ気に入らない、相性最悪のヤツ、ドクターアッカーソン。

おれは新製品のメリットやストロングポイントを説明しつつ、ご機嫌を取りながら何ホールかご相伴していた。

すると、7番ホールのティーグラウンドで、アッカーソンが言ったんだ。

「そんなに君のところの新製品“mouth-peace”は優れているのかね。だったらそれを証明してもらおうじゃないか。やり方は……、そうだな」

そういうと嫌味な歯科医アッカーソンは地面を指差した。

「そこに寝そべってティーアップしたボールをくわえな。あんたが本気なら、できるだろう?」

アッカーソンは、おれにまたがるようにアドレスをし、おれの顔のまん前で500ccはあろうかという違反のデカヘッドドライバーをワッグルし始めた。

そしていま、おれは背中にひんやりとした冷たい芝生の感触を感じているってわけさ。

代償。

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おれはジョージ。

アーカンソー大学ではゴルフ部だった、バリバリのアスリートゴルファーだ。

大学の奴らとはいつも真剣勝負、スクラッチ(ハンデなし)での戦いだ。

だが、今日の戦いは特別。

“絶対に負けられない戦い”だった。

なぜなら、大学ゴルフ部時代のマドンナ・パティをおれから奪い去っていき、就職でもおれが三流出版社にやっとこさ入ったのに対して、超巨大IT企業に悠々と入社、いまではおれの3倍もの年収だというエリックがいっしょだったからだ。

ちなみに、これまでのヤツとの対戦成績は0勝25敗。

ヤツの平均スコアは70なのに対して、おれは90。

それでも、今日だけは、負けるわけにはいかなかったんだ。

「ジョージ、もちろんわかってるよな。我らがアーカンソー大学に伝わる鉄の掟“インチキをしたら、相手の命令には絶対に従う”を、忘れたとは言わせないぜ」

「……ああ、もちろんだとも。どんな命令でも甘んじて受け入れるさ」

今日のおれは、絶好調だった。

9ホール終わった時点で、エリックとの差はわずかに1打。

初めて、エリックに勝てるかもしれないという状況に、おれは興奮していた。

後半も、おれは必死に食らいついた。

すると、17番ホールでヤツがボギー。おれはパー。

ついに並んだ。

が、しかし。好事魔多し。

“勝てるかもしれない”という高揚感から、スイングはそれまでの安定を失い、18番ホールのティーショットは、右のがけ下に消えていった。

2打目地点につくと、約20メートルは打ち上げないとフェアウェイには戻せない。

しかも、残り距離はまだ200ヤード以上。

5番アイアンではおそらく土手を越える高い弾道を打てないだろう。

しかし、ショートアイアンでは3打目の距離が残り、おれの負けが決定的になってしまう。

おれは、気がついたらボールを手にし、グリーン方面へ向かって力の限りぶん投げていた。

“手の5番”だ。

ちなみにおれは、遠投なら150メートルは投げられる強肩の持ち主だ(なぜ野球部に入らなかった?)。

がけの上からは、エリックがニヤリと笑ってこちらを見ていた。

位置的にも心理的にも見下ろしていた。

「ジョージ、もちろんわかってるよな。我らがアーカンソー大学に伝わる鉄の掟“インチキをしたら、相手の命令には絶対に従う”を、忘れたとは言わせないぜ」

「……ああ、もちろんだとも。どんな命令でも甘んじて受け入れるさ」

ホールアウト後、おれたちはスタート前と同じ会話をした。

「それじゃ遠慮なく命令させてもらうぜ。何をやってもらおうか……、そうだな」

そういうとエリックはおれを練習場へと連れて行き、地面を指差した。

「そこに寝そべってティーアップしたボールをくわえな。あんたが本気なら、できるだろう?」

エリックは、自慢の最新ドライバーを手にすると、「ビュンッ、ビュンッ」とけたたましい音をさせながら素振りを始めた。

おれは、観念してゆっくりと目をつぶった。

そしていま、おれは背中にひんやりとした冷たい芝生の感触を感じているってわけさ。


※“手の5番”の解説をしている「ゴルフ用語だらけの桃太郎(解説つき)」はこちら

(おまけ)約束。

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おれはレニー。

おれもフィアンセのポージーもゴルフ好きだったから、「結婚式はゴルフ場で」って決めていた。

ところが式当日。

おれの浮気が発覚し、ポージーはカンカン。

そしていま、おれは背中にひんやりとした冷たい芝生の感触を感じているってわけさ。

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ポージー「二度と浮気はしないって誓う?」
おれ「ひはいはふ(誓います)!」

ポージーは持っていたパターを渾身の力でスイングした。

5月のまぶしい太陽光を受けたパターが純白なドレスに包まれたポージーを中心にくるっと回転し、シャフトに反射した光が一閃した。

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パカッ。

おれ「ウィウウーワウィーウィー(ウィルユーマリーミー)?」

いかがでしたか。

最後のヤツはどういう経緯でこの状況になったのか皆目見当がつかなかったので、やっつけ感満載でお届けしましたが、そこは大目に見ていただけると助かります。

みなさんも、これからの人生において、口でティーアップさせられるようなことがないよう、十分お気をつけてお過ごしください。

それでは。