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ロマン派ゴルフ作家の篠原

新・貧打爆裂レポート『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』

今回の貧打爆裂レポートは、2020年12月に発売されたミズノ『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』です。

いつものようにコースに持ち込んで、ラウンドしました。世界戦略モデルのアイアンの秘密に迫ります! 動画も含めての試打レポートです。

『JPX921 HOTMETAL PRO』は、敏感なゴルファーを満足させる!

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、ミズノが2020年12月に数量限定で発売したクラブです。

『JPX』ブランドは、元々は国内ブランドでしたが、その後、欧米ミズノのフラッグシップブランドになりました。順調にシェアを伸ばしていましたが、2019年にメジャートーナメントの優勝アイアンになったことで、国内で限定発売され、2020年からは逆輸入される形でグローバルモデルとなりました。

『JPX921 アイアン』シリーズには、4種類の機種があります。『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、『ツアー』『フォージド』『ホットメタル』の中で、難易度的には3番目となるアイアンです。

コピーは「JPXシリーズ史上、最高の反発性能と打感の良さを両立」です。

【試打クラブスペック】
ヘッド クロムモリブデン鋼(4140M)精密鋳造
シャフト N.S.PRO 950GH neo(S)
ロフト #5/22度、#6/25度、#7/29度、#8/34度、#9/39度、PW/44度
価格(税別) #5~#9、PW6本組 10万8000円

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、どんなゴルファーをターゲットにしているのか? 4種類も発売される『JPX921 アイアン』シリーズのラインアップを見て、謎でした。

『JPX921 TOUR』は、ツアーアイアンであり、『JPX921 フォージド』は、やさしさと本格的な機能を併せ持つアイアンで、『JPX921 HOTMETAL アイアン』はやさしく多くのゴルファーを助けるというのは、スペックを確認せずに想像ができます。

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』の存在意義は? と考えながら、いろいろと確認しました。

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、基本的には『JPX921 HOTMETAL アイアン』と同じようなテクノロジーで作られています。

フェース部分は高強度のクロムモリブデン鋼を採用し、フェースを薄肉化することで、高初速エリアを拡大して、飛距離性能を向上させています。

溶接部がないシームレスカップフェース構造も採用しています。

「スタビリティフレーム」は、バックフェースのヒール側をギリギリまで削って、その分をトウ側に配置して重量配分するテクノロジーです。これにより、スイートスポットがセンターになり、打点のばらつきが距離に影響するマイナスを最小限にします。同時に、トップエッジの剛性を高めて、打感の向上を可能にしたそうです。

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』で、注目すべき点でわかりやすいのはロフトです。

7番アイアンが29度です。クラシックなロフトが34度ですから、1番手強アップです。上下の番手に4度刻みで、下の番手はピッチングウェッジまでそれが続きます。

これは、パワーヒッターだと番手の距離差が大きくなり過ぎて、使いづらくなることが予想できるのです。

『JPX921 フォージド』も、同様なチューニングがされています。パワーではなく、テクニカルに使いやすくしてあるのですが、『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、よりパワー不足のゴルファーを助けるように考えられているのです。

『JPX921』は、より細かくゴルファーのタイプに合わせて作られているということだと、スペックを見ていてわかってきます。

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、『JPX921 HOTMETAL アイアン』では、少し物足りないゴルファーをターゲットにしているようです。

飛距離を少し抑えて、その分を番手間の距離が自然に打ち分けられるようにしてあるというわけです。

バックフェースをよく見ると、サウンドリブがたくさんあるのがわかります。軟鉄ではない素材のアイアンは、打音や打感が劣るというこだわりのゴルファーのための工夫です。

打音をきれいに響かせることで、打ち応えを向上させようという意図です。

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、謎のアイアンでしたが、入念にチェックすると、なかなか面白そうなアイアンだとわかってきたのです。

『JPX921 HOTMETAL PRO』は売り切れ続出なので急いで打つべし!

動画を見てください。

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、まず、ヘッドがシャープで構えやすいです。

ほんの少しなのですが、フェース長が短いのです。それだけではなく、ネックなどの形状を工夫して、小さく見えるように作ってあるのです。これだけで、丁寧に作られているミズノのアイアンという雰囲気を感じさせます。

『JPX921 HOTMETAL』のヘッドが大きいところがちょっと嫌だと感じるゴルファーは、『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』であれば問題解決です。

8番がクラシカルなアイアンのロフトで34度、7番相当になります。これを基準に考えると、わかりやすくなります。パワーヒッターは番手間が開いて苦労すると推測しますが、ヘッドスピード40メートル/秒前後以下だとちょうど良い番手間の距離が出ます。

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』の打音は、ややおとなしめの音量で、やさしい音質です。打ち応えは独特の柔らかさがあります。

高弾道で、強いボールが出ます。とらえ過ぎたり、開いたまま当たりやすかったりするクセは一切ありません。

吹き上がらずに直進性能の強さを感じる弾道のボールが打てます。

ミスヒットに強いことも特徴です。やさしさの多くの部分は、この機能に支えられています。

打ったボールに、適度の浮力もあります。スピン性能は、総じてその場に止まろうとしてくれる感じで、十分に発揮されます。

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、マッスルバックのアイアンの要素が3、キャビティアイアンの要素が7、という感じです。

これが、なかなか良いのです。ただやさしいのではなく、欲しい部分は、本格的だからです。

パワーに自信がないけれど、スコアを諦めていないゴルファーに『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』はオススメです。

また、これからスコアアップをしたいという向上心があり、基礎をしっかりと磨きたいというゴルファーにも、『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は最適です。

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、上手くなった気分にさせるアイアンです。

実際に、試打したラウンドのスコアは、自分のアイアンでもなかなか出ない素晴らしいものでした。何の不満もなく、自分の手足のように使いやすかったのです。

こういうアイアンをさり気なく市場投入できるのが、ミズノというメーカーのすごさなのだと感心しました。

『JPX921 HOTMETAL PRO アイアン』は、21世紀のアイアンの一つの分野の完成形です。1番手アップのロフト設定は、近い将来にアイアンのロフトのスタンダードになると思います。その時まで、十分に使えるアイアンだと考えられます。

自分に合っているかもしれない可能性を感じたのであれば、打ってみることを、強くオススメします。

数量限定販売ということで、店舗によっては、予約だけで売り切れてしまったようです。興味を持ったゴルファーは急いでください。