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プロゴルファー

こせきよういち

球捜しの様子が変わった~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#187

先週の米ツアー競技「ザ・CJカップ」の3日目。1オン可能な11番パー4(293ヤード)で、ブルックス・ケプカのティショットはグリーン手前、グリーンとガードバンカーの間の深いラフに消え、選手やオフィシャルが総出で球捜しをするシーンが見られました(下掲のツイッター動画)。

その様子がユニーク、かつユーモラスだったことから、ネット上でちょっとした話題になりました。

そこで今回は、ツアートーナメントにおける「球捜し」について若干の考察。

プレーヤー本人がボールを動かしても無罰

深いラフのなかに消えたケプカのボールを選手とそのキャディ、オフィシャルなど10人ほどがゴソゴソと捜すこのシーン。

みんなわき目も降らず懸命に捜すのは、昨年のルール改訂により、捜索に許される時間がわずか3分になったため。

急いで見つけないと、あっという間に「ロストボール(紛失球)」になり、プレーヤーは打ち直しでティーに戻らなければなりません(1罰打の付加)。

実際、大会初日には同じ場所でリッキー・ファウラーがボールをロスト。打ち直しで、結果ダブルボギーになっています。

短い時間に、一心不乱の球捜し。

さらに、ここでは旧ルールの時代にはなかったシーンが見られます。

それは、ケプカ本人も他の“助っ人”たちと同様、深いラフの中をためらうことなくゴソゴソと捜していることです。

旧ルールではプレーヤー本人は恐る恐る捜索

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現ルールでは、球捜しの最中に、プレーヤー本人が誤ってボールに触れるなどして動かしたとしても、規則7.4に「見つけようとしている、または確認しようとしている間に、プレーヤーがプレーヤーの球を偶然に動かした場合、罰はありません」とあり、無罰でボールをリプレースすれば良いことになっています。

なので、先のケプカもためらうことなくラフの中を探っているのです。

しかし、旧ルールでは、捜索中であってもプレーヤー本人がボールを動かした時は1罰打でリプレースとなっていました。

そこで、上掲の画像です。

11年2月の米ツアー競技「ノーザン・トラスト・オープン」でのこと。

石川遼がラフの中で見失ったボールを同組の今田竜二、池田勇太をはじめメディア関係者などが総出で球捜しをしているのですが、石川本人は他の人よりちょっと慎重に捜しているように見えません?

人気選手の球捜しもどこか寂しい2020年

もうひとつ、今回のケプカのボール捜しには、いかにも“2020年ならでは”のことがあります。

それは、捜索に当たる人の数です。

この時のケプカのパーティは、ロリー・マキロイとケビン・ナという人気・注目組でした。

メディアの取材規制がなければ……。さらに、ギャラリーの観戦が可能であれば……。

もっと大勢が捜索に加わったことでしょう。

上掲のツイッター動画は18年「全米オープン」初日での、大勢がボール捜しをするシーンです。

テレビカメラのクルーを含む多くのメディア関係者が加わっていますが、それもそのはず、この組は当時世界ランキング1位のダスティン・ジョンソンとジャスティン・トーマス、そしてタイガー・ウッズという超注目のパーティだったのです。

確かこの一団には、日本のテレビ局のレポーターを務める青木功会長(日本ゴルフツアー機構)も加わっていたはず。そして、見失ったボールを見つけたのも、イギリスのスカイスポーツのレポーター=リッチ・ビーム(2002年全米プロ優勝)でした。

こんなような“にぎにぎしい”球捜しシーンが、早くツアーに戻ってくることを願ってやみません。