ブラック・ティー・タイム~トンでもないワルがいたもんだ~

世間から一目置かれている「フルバック(黒ティー)使用のハイレベルなアマチュア競技会」でも、ブラック・ジョークのような珍事件がしばしば発生します。そんな珍事件を井戸端会議的にシリーズでご紹介しています。

今回は、国民体育大会へとつながる都道府県大会の予選ラウンドで、私が実際に遭遇した「トンでもない不正行為をしようとしたトンでもなく性悪なゴルファー」のお話をさせていただきます。

最初から様子がおかしい

最初から様子がおかしい
競技ゴルフでは、スタート前にスタートホールの横の小屋で、同組の全員が集まって、競技委員からローカルルールなどの説明を受けます。

その人は、その時点から何やら怪しく見えました。後から振り返れば、あの時の違和感は大当たりだったのです。

そして、マーカー確認で、その人は自分のマーカーでもないし、自分がマーカーする人でもないことを知り、とても安堵しました。

※競技ゴルフでは、同組の他の一人のスコアを記録します。自分のスコアを記録してくれる人のことをマーカーと呼びます。

一抹の不安を感じながらも、気合を入れてスタートし、1ホール目は私も他の3人も無難にホールアウトしました。

2ホール目のティーグラウンドで、早速、小さな騒動が起きました。私が1ホール目の全員のスコアを確認しようとしたら、その人は「お前は俺のマーカーじゃないのだから、俺のスコアは関係ないだろ!」などと言ってきました。

前のホールのスコアでティーショットの打順が決まるのですから、全員のスコアを知る必要はありますよね?!

自分のスコアを教えないとしても、「私のスコアを数えられてなかったのは君の落ち度でしょ。それを棚に上げて、わざわざ聞いてくるなんて。ずい分とマナーが悪いね!」という返事(理由)ならば、こちらはぐうの音も出ないです。が、その人は、そういう雰囲気には見えませんでした……。

疑わしいが罰せない事件

疑わしいが罰せない事件

getty

そうは言っても、その人の腕前は立派でした。前半は問題ないゴルフとスコアで終えてきました。

しかし、後半の2ホール目、極めて疑わしい事件が発生しました。

そのホールはパー4で、左が山でOBゾーン、左のOB杭とフェアウェイの間は深いラフの斜面、でした。

その人のティーショットは、OBのある左方向へのミスショットでした。ギリギリながらOBゾーンへ飛んだようで、右側のセーフゾーンへ転がり出たようにも見えません。

にもかかわらず、暫定球も打たずに、スタスタ歩き出しました。

その人のボールを4人で捜します。前後左右、4人で懸命に探しますが、案の定、ボールはなかなか見つかりません。

その時突然、「ここにあったぞ~」と背後からその人の声が聞こえました。私と他の2人は、後ろを振り返って、その人がクラブを構えている姿を見ました。その場所はもちろん、みんなで何度も探した場所です。

その人がボールを見つけた瞬間は、他の誰もがその人のことを見ていないタイミングでした。

いわゆる「卵を産んだ」可能性を感じました。もちろん、ラフが深くてホントにそこにあったボールを捜せていなかった可能性もあります。証拠もないです。そのホールはもやもやしたまま、4人全員が無難なスコアで通過しました。

ついに大騒動勃発

ついに大騒動勃発
疲れも溜まってきた後半の6ホール目のパー4、遂に大騒動が勃発しました。

その人は右へ左へチョロチョロとやりだして、+3(トリプルボギー)以上の大叩きをしました。にもかかわらず、ホールアウト後のマーカーとのスコア確認で「6打(ダブルボギー)」と言い出しました。

次のホールはオナーとなる私、これ幸いと完全無視して、1人でサッサと次のティーグラウンドへ向かいました。

後ろのほうでは、その人のマーカーさんが「違うよね!」と言い出して、もう1人も巻き込んで、一緒に1打1打を確認し始めました。「ティーショットはあっちへ行って、2打目はこうなって……」という感じでした。数分間の押し問答の末、その人は8打(+4)だと認めました。

「1ホールでたくさん打っちゃうと、打数がわからなくなり過少申告しかけてしまう」というのなら、同情の余地はあります。人間は弱いものですから。

しかし、その人は明らかに意図的に過少スコアで押し通そうとしていました。生まれながらにして悪意がある「性悪な人」なのだろうと思いました。

こっちに来ないでー

後半の8ホール目、その人と無関係な私に、火の粉が降ってきました。

私に向かって「おめぇ~意外といいスコアで回ってんじゃねぇのか?」などと言い出してきました。

普通なら「同伴者を称えて上がり2ホールを応援する意図」の発言になりますが。その人の口調からは「足を引っ張ってやろうという悪い意図」に満ちているようにしか聞こえませんでした。これまでの経緯を踏まえれば、被害妄想ではないです。

冷静客観的に考えれば、前半の2ホール目で「マーカー以外の人のスコアは気にするな!」と言っていた人が、突然何を言い出しちゃたんだ?! ということです。完全に無視すれば良い訳です。実際に、私は何も答えませんでした。

しかし、残念なことに、当時の私は競技ビギナーのチキンハートでしたから、その一言に相当動揺してしまいました。上がり2ホールをトリプルボギー、トリプルボギーとしてしまい、4打差で予選敗退という苦杯を舐めました。ボギー・ボギーで上がれれば予選通過だっただけに、とても残念でした。

ただし、この敗戦は「私のメンタル力が予選通過基準に足らなかった」と、完全に納得しています。

ワルはいます

ワルはいます
ゴルフのルールの第1条はマナーですが、マナーの詳細に関してはスコアにカウントされません。過度なスロープレーへの2打罰があるだけです。

「マナーはカットラインを越えていれば、ギリギリ通過の悪いマナーであっても、すべてOK」ということになっているのです。残念ながら、現在のゴルフ競技会は実質的に「ただ単に良いスコアが出せればマナー人柄なんて何でも良い」という競技会なのです。

黒ティーを使用する選手権大会であっても同じです。マナーや人柄という側面では、ピンキリだと見受けられます。親睦ゴルフコンペと大差ないです。

スコア(腕前)に関しては所属倶楽部でのハンディキャップなどの参加条件のあるアマチュアゴルフ競技会もたくさんあります。

が、マナーに関して「具体的な数値でのレベルの高低という明確な参加条件」なんてものは見た事も聞いた事もありませんよね。すべてのアマチュア競技会で「ゼネラル・ルールの最低ラインをクリアしていること」だけです。

残念ながら、ハイレベルな大会を含めて、あらゆるアマチュア競技会で、マナー・人柄のワルいゴルファーは混ざってきてしまうのです。

おわりに

古代ローマの古代オリンピックから今に伝わる言葉の中に「健全なる精神は健全なる身体に宿る」という言葉があります。

この言葉を「身体が健全ならば精神も自ずと健全になる」と捉えている人が多いようですが、大いなる誤解だそうです。

本当は「健やかな身体に健やかな魂が願われるべきである」という意味で、「身体が健全でも精神が健全でないという残念なケースがある、そんな残念なケースにはならないでほしい」という意味なのだそうです。

多くの人が誤解してしまうのは、心理学の用語でいう「公正世界仮説」に拠るのでしょう。

人間は自分の心の中に矛盾を抱えたくないものです。「立派な成績を出して立派な地位にいる人は、精神(人柄)が立派だから、その成績を出してその地位にいる」、つまり、「身体(成績・地位)と精神(人柄)は完全に相関(リンク)している」と思いたいのだそうです。

現実には「身体(成績・地位)と精神(人柄)は多少程度しか相関していない」のですが。その現実を認めることは、心理的な負担が大きいようです。

ゴルフにおいても「スコア(腕前)とマナー(人柄)は多少程度しか相関していない」です。「フルバック(黒ティー)使用のハイレベルなアマチュア競技会」においても「マナー(人柄)の悪い人もある程度存在する」と思うべきなのです。

それが心理的に負担の大きなことだとしても。ゴルフはメンタルが重要なのですから。
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