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プロゴルファー

こせきよういち

大きくても大丈夫!~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#184

先週は欧州ツアー競技の「アイリッシュ・オープン」から、ユニークなシーンが届けられ、世界中で話題になりました。

ひとつは、下記リンク先でも紹介されているギャラリーたち。

大会は無観客運営でしたが、小さな川を挟んで隣接する牧場のオーナー=ビリー・オケインさんが20頭ほどの牛たちを従え、イスに座り、お茶をすすりながらのんびりトーナメント観戦。

何とものどかで、ほのぼのとした風景です。

もうひとつ、ホットな話題になったのが上掲のシーン。

パドレイグ・ハリントンが荒地を開墾? ではなくて、キャディと一緒に大きな枯れ枝のルースインペディメントを取り除く様子です。

そこで今回は、大きなルースインペディメントの除去について。

キャディと一緒にせっせと

アイリッシュ・オープンの初日、10番パー5。ハリントンはティーショットを大きく曲げ、ボールは木立の奥のブッシュの中へ。

幸いボールはショットが可能なライにありましたが、近くにスイングの邪魔になる枝がありました。

でも、良く見るとそのうちのひとつは幹から完全に切り離れた枯れ枝でした。

このように「分離した自然物」はルール上「ルースインペディメント」にあたります。

そして、このルースインペディメントについては、R&Aが『オフィシャル・ガイダンス』の規則15.1の項で次のように解説しています。


ルースインペディメントには様々な形や大きさのもの(ドングリや大きな岩など)があり、取り除くことでプレーを不当に遅らせてはならないことを除き、ルースインペディメントを取り除く手段や方法には制限はない。例えば、取り除くためにプレーヤーはタオル、手や帽子を使ってもよいし、ルースインペディメントを拾い上げたり、押しのけてもよい。プレーヤーはルースインペディメントを取り除くための援助を求めることも認められる(観客に大きな木の枝を取り除く手伝いを求めることなど)」

つまり、「大きさは関係なく、取り除きが短時間で可能なら他人の助けを借りてもかまわない」ということ。

そこでハリントンもキャディのローナン・フラッドの手を借りて、せっせと“開墾作業”。

大きな枯れ枝を取り除き、ストロークするスペースを確保したのでした。

ジャスティン・トーマスはひとりせっせと

同様のシーンは、2018年2月の米ツアー競技「ホンダクラシック」の初日にも見られました。

5番パー4でのこと。ジャスティン・トーマスはティーショットを右に曲げてしまいます。

ボールは立木の少し後方に落ちていました。

そして、その木には大きな枯れ枝が寄り掛かっており、それがリカバリーショットの邪魔に。

そこで、トーマスもせっせと“除去作業”。完全に幹から切り離れた枯れ枝を取り除いたのでした。

オームズビーはファンがせっせと

「ギャラリーの助けを借りてルースインペディメントを取り除く」といえば、1999年の米ツアー競技「フェニックス・オープン」でのタイガー・ウッズがつとに有名です(下掲のYouTube動画)。

さらには、昨年(2019年)1~2月の欧州ツアー競技「サウジ・インターナショナル」でも、ブルックス・ケプカがギャラリーに助けられ、話題になりました(最下掲のツイッター動画)。

※ともに、この連載で紹介済み。

同様の“騒動”が昨年8月の欧州ツアー競技「スカンジナビアン招待」でも展開されました。

ウェイド・オームズビーのボールのすぐ前に横たわる大きな石を、地元スウェーデンの屈強な男たちが4~5人でゴロリと転がしのけたのです。

ファンとは、プロゴルファーにとって、いろんな意味でありがたいものです。