私も、シンデレラ!~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#179
シンデレラボーイ誕生!
メジャーで生まれた一番の「シンデレラ」といえば、2003年の全英オープンを制したベン・カーティスでしょう。
勝った時の彼の世界ランキングは、メジャー優勝者歴代最下位の396位でした。
カーティスは、その年、QTから米ツアーに昇格したルーキー。しかし、成績はパッとせず、6月まで12試合に出場し、予選落ちが5試合。最高位が27位という惨憺(さんたん)たるありさま。
ところが、7月最初の試合、全英オープンの予選会も兼ねたウエスタンオープンで13位なると、上位選手の多くが有資格者だったために、彼のもとに出場権が回ってきました。
そこで彼は、フィアンセのキャンディスさんを伴って、ちょっと早めの「新婚旅行」気分でイギリスへ。
すると、ノーマークの気安さか、最終日も中盤まで絶好調。だが、優勝を意識した終盤はプレッシャーに押しつぶされてボロボロに。
それでも、周りも同様にスコアを落とす展開となり、最終的に優勝が転がり込んだのでした。
この優勝に、メディアには「シンデレラボーイ誕生」の見出しが躍っていました。
一瞬の輝きを見せたシンデレラ
2003年は、全英オープンの直後にもうひとりのシンデレラが誕生しました。
世界ランキング169位で全米プロを制したショーン・ミキールです(メジャー歴代、下から2番目の優勝者ランキング)。
また、この時の米ツアーのランキングはシード権(125位)に遠く及ばない164位。メジャー史上最大の「アンダードッグ」(大穴)。よもやの優勝者のひとりと言われています。
そして、ミキールの米ツアー優勝はこのメジャー1勝だけ。まさに、メジャーで一瞬輝いた「シンデレラ」です。
同様のプレーヤーには、1999年全英オープン優勝のポール・ロウリー、2005年全米オープン優勝のマイケル・キャンベル、2000年全英オープン優勝のルイ・ウーストハイゼンなどがいます。
でも、最後のウーストハイゼンはいまもトッププロとして活躍しており、いつ優勝しても不思議ではない実力選手です。
ド派手なシンデレラ
先の二人は地味なシンデレラ。それとは対照的な、ド派手なシンデレラといえばこの人。1991年の全米プロを制したジョン・デイリーです。
この年ルーキーのデイリーは、そこまで24試合に出場し、11試合で予選落ち。全米プロの直前も2試合連続予選落ちという不振。
全米プロの出場権は、補欠の9番目でした。そのため、彼は出場を諦め、アーカンソーの自宅へ。
ところが、開幕の前日、メジャーチャンピオンのニック・プライスが、奥さんの出産が迫ったために急きょ欠場。出場権が彼のところへ舞い降りてきたのです。
デイリーは急ぎインディアナ州の会場まで、徹夜で車を飛ばしました。そして、練習ラウンドを一度もせぬまま、スタートティーへ。
幸い、ニック・プライスが契約するベテランキャディの「スウィーキー」ことジェフ・メドレンがサポートしてくれたためため、持ち前のビッグドライブをいかんなく発揮。
2日目にトップに立つと、そのまま意外にも安定したゴルフを続け、優勝を決めたのでした。
「シンデレラ」と呼ぶにはかなりの乱暴者、暴れん坊ですが、それが人気を集め、その人気はいまも変わりません。