プロゴルファー
無頼尊
【堀奈津佳『みんなはど~してるの?』】#9 ライン出しショット、ど~してるの?
女子プロゴルファー堀奈津佳が自身のギモンをさまざまな人に聞いていくコーナー『みんなはど~してるの?』、第9回目です。
今回のテーマは、「ライン出しショット」。方向性を出したい時に使うテクニックですが、意外と上手く打てないという人も多いのではないでしょうか。そんな疑問に迫ります。
進行役は、放送作家の無頼尊(ぶらいそん)です。
YouTubeへのリンクは記事の最後にあります。
目次
ライン出しは距離感が揃いやすい!
無頼尊 もし、以前も同じようなことを言っていたらすみません。
奈津佳 大丈夫です! ほら、おじさんってそういうものじゃないですか。何度も何度も同じ話をするのが習性というか。ウィキペディアの「おじさん」の項目に書いてありました。
無頼尊 うそつけ! って誰がおじさんや……って立派なおじさんでした。すみません。すみません。
奈津佳 で、きょうの「同じ話」ってなんですか?
無頼尊 いえね、アマチュアゴルファーが憧れる「プロのショット」ナンバーワン! それが「ライン出し」なんです、という話です。
奈津佳 おお! そうなんですか! 初めて聞きました!
※編集部注 以前は「スピンアプローチ」をマネしたいプロのショットナンバーワンと言っていました。
無頼尊 ホントかなぁ。堀奈津佳プロは忘れる天才だってウィキペディアに書いてありました。……ってお互いに「うそペディア」情報の出し合いはやめましょう。
奈津佳 ですよ。ウィキペディアさんに怒られます。
無頼尊 はい、とにかく今日はアマチュアも使いたい「ライン出し」のコツをお聞きしたいな、と。奈津佳プロ、ライン出しはよく使いますか?
奈津佳 結構使いますね。ゴルフを始めた時から習っていて、ずっと練習しているショットでもあります。むしろ、コースではフルショットよりもよく使っているかもしれません。
無頼尊 どういう状況で使うんですか? シチュエーションが限られるのかなぁ、とも思うんですが?
奈津佳 一番は「距離を合わせる時」ですね。フルショットした時の番手の中間の距離、いわゆる「ビトウィーン」の時に使います。ライン出しは距離感がつかみやすいんです。
無頼尊 へえ! 距離感がつかみやすいんですね!?
奈津佳 そうなんです。ライン出しっていうだけあって方向性はイメージが出しやすいんですが、距離感も揃ってくるので、よりシビアな状況でも使えるんです。
あえて1番手大きいクラブを持つことも
無頼尊 そんなに信頼性が高いショットとなると、フルショットでちょうどいい距離の時でも使ったりするんですか?
奈津佳 それも状況次第ですね。例えば、ピンが2段グリーンの上に切ってある時、とか。
フルショットでジャストの距離をしっかり打てて同じ段に乗せられればいいですけど、ちょっとでも当たりが悪いと段を登り切らないなぁって感じた時は、あえて1番手大きいクラブを持ってライン出しを選択することもあります。
無頼尊 なるほど。状況判断が大事になってくるってことですね! あとお聞きしたいのが、ライン出しは弾道が低くなるんですか?
奈津佳 そんなことはないと思います! というのも、球が低いと実戦では使いづらいんです。ピンそばで止めたいという意識があるので、しっかり球の高さが出るような感覚で打っています。
無頼尊 たしかに高さがないと止めづらくはなりますよね!
ライン出しのコツはスリークオーターのフィニッシュ
無頼尊 では打ち方を教えてください。
奈津佳 はい、まず短く持ちます。これはコントロールを良くするためですね。構え方は大きく変わらないです。強いて言えば、若干スタンスを狭くして、身体とクラブのバランスを取りやすくする時もある、ぐらいな感じです。
無頼尊 へえ! もっとセットアップで違いがあるのかと思っていました。
奈津佳 次に振り方ですが、フルショットではフェースをローテーションさせますが、ライン出しの時はフェース面を変えずに打つイメージです。
奈津佳 では、実際に打ってみますね。バシーン!
無頼尊 おお! たしかに高さもしっかり出ていますね! ナイスショットです!
奈津佳 ここにもポイントがあります。フィニッシュが最後まで行かずに、スリークオーターで止まっていますよね? ローテーションが少ないがゆえの結果です。
無頼尊 逆に、その意識を持つとフィニッシュが低く収まるってことですね!?
奈津佳 そうですね
無頼尊 ちなみに奈津佳プロの持ち球はフェードですけど、ライン出しの時もフェードで狙うんですか?
奈津佳 そうです! ただ、ライン出しのほうが「大きな番手のクラブで距離を落として打つ」ので曲がり幅が大きいことのほうが多いと感じています。
無頼尊 へえ! 意外! ライン出しのほうが曲がるんですね!? 「ラインを出す」というくらいなので、勝手に直線的なラインをイメージしていました。
奈津佳 あくまでわたしのイメージですけど。
ラインを出しを使うのはショートアイアンまで!
無頼尊 そして今日も奈津佳プロ以外に、もうひと方のご意見が聞けるんですよね?
奈津佳 もう紹介はいらないですね、トップアマの風間さんです。
風間 はい、よろしくお願いします。
無頼尊 風間さんは「ライン出し」はよく使うんですか?
風間 実はあんまり使わないんです。使うとしたら、ショートアイアンですね。
無頼尊 トップアマの方でも使わないんですね!?
風間 そうですね、例えば6番や7番アイアンの距離が残ったとすると、それらのクラブでは元々そんなに精度も高くないのにコントロールしようとすると、振るリズムが悪くなったりして、より曲がり幅も大きくなっちゃうんです。
無頼尊 なるほど、やり慣れない動きだからミスを誘発しやすいってことですね。
風間 はい、ちょっと大きくてもフルショットのクラブで打ったほうが「グリーンの枠内に収まる」かなと感じています。でも、ショートアイアンとかウェッジの距離で「ピンを狙うショット」は別です。
無頼尊 お! ライン出しの出番ですね?!
風間 はい、上級者を見ていてもそれぐらいの距離はフルショットで打っている感じがないんですよね。スイングに余力があってピンに向かってアプローチしている感じ。それを真似するようなショットを練習しています。
無頼尊 それが風間さんの中の「ライン出し」ってことですね!? では打ち方を教えてください。
風間 はい、ですので、50度のウェッジで打ってみたいと思います。普段はキャリーで110ヤード、トータルで115~120ヤードくらいを打つクラブなんですが、ライン出しの時はキャリーで5ヤードくらい落ちる距離感です。
無頼尊 キャリーとランの配分を把握している感じがトップアマって感じです!
風間 そして、指1本分ほど短く握るイメージです。そうすることによって、シャフトのしなりや球の高さを抑えられるのかな、と。
やっぱり球が上がっちゃうと風の影響を受けたりしますので。振り幅は、自分の中では「肩から肩」ぐらいのコンパクトなイメージです。では打ってみます! バシーン!
無頼尊 奈津佳プロ、ご覧になっていかがですか?
奈津佳 いつも思いますけど、具体的でホントわかりやすいですね。しかもご自身で言ったことを忠実に再現したショットですよね。
無頼尊 たしかに、アマチュア的には参考になることの多いご意見ですよね。ちなみにボクはひねくれ者なので、1つ疑問があるんですが。
奈津佳 1つまでですよ。
無頼尊 プロはコントロールしたい時にライン出しをするっておっしゃっていますが、方向性も出て距離感も合わせやすいなら、全部のショットでライン出しをすればいいのにって思っちゃいますが、いかがですか?
奈津佳 女子プロの感覚ではそれはないです。ライン出しをすると止まりにくくなるので、しっかりとピンまで打って止めたい、という状況では「止まりやすさ」を考えてフルショットを選ぶことが多いです。
6番アイアン、5番アイアンを使うような距離だとなおのこと、高さを出していきたいですね。さっきも同じようなこと言いましたけどね。
無頼尊 そうかぁ! おじさんなんで、同じことをよく言うのに加え、何度言われても忘れちゃうっていう習性があるんです。
奈津佳 ウィキペディアには書いてありませんでした。
無頼尊 思わず、本当にウィキペディアに「おじさん」の項目があるか調べちゃいましたよ!
奈津佳 ありましたか?
無頼尊 なかったんですが、「オジサン」っていう名前の魚がいることはわかり、「うおー!」って得した気分です。
奈津佳 締めが……おやじギャグ……。
無頼尊 ぎょぎょぎょ!