「イメージは具現化する」アプローチのミスを事前に防ぐメンタルマネジメント

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グリーン周りからアプローチショットをするとき、どんな気持ちでアドレスに入りますか?

ほとんどのゴルファーが、「よしっ、カップに寄せてやるぞ」という気持ちで臨んでいますよね。

普通に考えれば、この心構えは積極的なプラス思考の考えに思えますが、実はこれが消極的なマイナス思考というのです。

「寄せよう」ではなく「入れよう」という気持ちで打つ

「寄せよう」ではなく「入れよう」という気持ちで打つ

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「寄せワンを取るぞ」という意味では、これは確かにプラスのメンタルといえるでしょう。

しかし、それは同時に「ここから2打で上がれば満足」と、自分に宣言していることでもあります。

アメリカのスポーツ心理学専門家で、何人ものツアープロのメンタルコーチでもあるボブ・ロテラ博士は、著書の中で「寄せようと思った時点で、すでに1打損をしている」と述べています。

すべてのアプローチショットは「カップインさせよう」と思って打たなければ、カップインする確率は限りなくゼロに近いのです。

2005年のマスターズは、タイガー・ウッズの16番パー3での奇跡的なチップインバーディーに集約されます。

グリーン奥から強烈な下り、ボール地点からは落下してからほぼ90度に曲がるような傾斜でした。

少しでも強ければ、グリーン手前の池に転がり落ちるという状態で、パトロンもテレビ視聴者も誰もが「寄せるのさえ難しい」と思う状況下で、ただ一人だけカップインを信じてた人物がいました。

それが、当のタイガー本人でした。

結果、カップの手前で一度止まりかけながら、ゆっくりとカップに転がり込んだシーンは、ゴルフ史に永遠に残る名場面になりました。

もちろん、技術が伴わずにただ「入れたい」と思っても、逆に大きなミスにつながる可能性があります。

しかし入れたいと思ってカップに強く集中することで、スイングの細かな部分が気にならなくなり、結果的にスムーズなショットが打てる可能性のほうが高いのではないでしょうか。

ピンチを楽しむ余裕を持つ

ピンチを楽しむ余裕を持つ

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ときには、どう打ったって寄りそうもない絶望的な場所からアプローチをしなければならない場面があります。

例えば、グリーンオーバーをして、急な左足下がりの斜面の深いラフにボールが止まり、しかもグリーンは下っていて、ピンはすぐ目の前というような状況を思い浮かべてみてください。

そんなとき、どう考えますか?

最悪なのは、そこに打ってしまったことを後悔しながらアプローチすることです。

過去の失敗について、気持ちの整理がついていない状況では、ナイスショットが打てるはずもありません。

まずは「ここにボールが止まったのはしょうがない」と、すっぱりあきらめることです。

そうした中で、「ここからどうやってパーを取ってやろうか」と、ピンチを楽しむような気持ちで、アプローチに臨むのです。

そうすると、「ピッタリ寄らなくてもいいから、せめて1ピンくらいに止めるためには、どうしたらいいか」「最悪、超ロングパットが残ってもいいから、少しでも素直なラインの方向に打っていこう」というように、ポジティブで建設的な思考が後に続くのです。

仮にパーが取れなかったとしても、ナイスボギーで収まる可能性は高いはずです。

同じ状況で、「どうせ寄せられないから」と投げやりな気持ちになりますと、その時点で、そのホールのプレーに対する気持ちが途切れてしまいます。

このような心理状態は、さらなるミスの連鎖を引き起こし、ダブルボギー以上のスコアになる可能性が高くなるでしょう。

ゴルフは自然と闘うスポーツであり、ミスのゲームでもあります。

ときには想定外の場所から打つことになるから面白いとは、考えられないでしょうか。

不安の原因を具体化すれば、ミスを避ける手段が見えてくる

不安の原因を具体化すれば、ミスを避ける手段が見えてくる

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ごく最近のラウンドを思い出してみてください。

アプローチショットが上手く寄った場面とミスをしてしまった場面を。

両方を思い浮かべてみますと、ミスをしてしまったときというのは、打つ前に何らかの「不安」を心に抱きながらショットを打っていませんか?

「なんだかダフりそうだなぁ」とか「グリーンをオーバーしちゃうかも」なんていう不安に襲われつつ、その不安を払拭できなままショットにに挑み、その結果、半ば予想通りのミスを犯してしまう。

反対に、上手くいったときというのは、そのような悪いイメージというのが一切なく、ただ「あそこに打とう」、「こういうイメージのボールを打とう」というように、これからやるべきことに集中しているものです。

心に不安があると、なぜその通りに失敗してしまうのでしょう。

「人間はイメージを具現化するのが上手い動物だから」といいます。

スポーツ心理学者の研究によりますと、ゴルファーが直前にある結果をイメージすると、ほぼ7割以上の確率で、そのイメージ通りのボールが出るそうです。

「ダフりそうだな」と考えているゴルファーは、実はダフっている自分をイメージしているのです。

だから、そのイメージ通りにダフってしまう確率が高いというわけです。上手くいくときというのは、成功する自分をイメージしているのです。

では、ショット前に不安が生じたら、どう対処すればいいでしょう。

それにはまず、自分が何に対して不安に思っているのか、なぜ、それが不安なのかを具体化する必要があります。

例えば、「ダフりそうだ」と感じている場合、なぜそう思うのか、さらに具体的な理由が必ずあるはずです。

持っているクラブに自信がない。ライが悪い。苦手な距離だ。同じようなシチュエーションでミスした記憶が残っている、などなど。

そうして、具体的な不安の源がはっきりすれば、ミスを避ける手段も見えてきます。

多くのケースで有効なのは、よりミスの少ないクラブに持ち替えることです。

もちろん、状況にもよりますが、サンドウェッジで打つのが不安であれば、それ以外の不安のないクラブで打てばいいのです。

転がせる状況であれば、いつでもパターが一番成功率が高いはずです。

このように、不安を取り除いてやることで、確実にミスは減らせるのです。
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Nick Jagger

元某ゴルフ雑誌編集長。ゴルフ取材歴30年以上。現在フリーランスのライターとして、単行本、ゴルフコミックの原作など多数執筆中。

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