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【鹿又芳典×小林伸太郎プロ】ギアでお悩み解決!Vol.2〜飛距離を伸ばしたい〜

男子プロ随一のギアマニア小林伸太郎プロと、カリスマクラブフィッター鹿又芳典!

ギアについて語らせたら右に出る者はいない、2人のゴルフ談義は続く。

アマチュアゴルファーの悩みを持ち込むのは、ゴルフ歴20年以上、放送作家/漫画原作の「チキン☆ウイング」さん。

第二弾は果たしてどんな話が聞けるのでしょうか?

ゴルフの悩みはすべてギアで解決できる!!

チキン 鹿又さん、小林プロ、まずおさらいしますと……。

鹿又 いきなり、おさらい!?

小林 まだ何も話してないですよ!?

チキン “人生、おさらいの連続”ですよ。

小林 (きょうもさっそく“壊れかけ”だな、この人)

チキン この座談会の大テーマと言いますか、お二人の主張の再確認って意味で“おさらい”です。

小林 僕たちの主張?

チキン そうです! すべてのゴルファーにとって役立つ考え方にして、すぐにでも参考にしたいご意見です。

鹿又 (ハードル上げるなぁ・・・)

チキン ズバリ! ゴルフの悩みはすべてギアで解決できる! そう思ってらっしゃるわけですよね?

鹿又 (ここで「YES」って言わないと、ややこしそう)

チキン どうなんですか!?

鹿又 ギア目線でのアプローチはスコアアップの近道ですよ、ってことです。

小林 そうですね、僕はギアの重要性をプロで生きてきた中で実感してきましたし、かなり勉強もしています。

チキン (※すかさず)はい、いただきました! お二人とも、すべての悩みはギアで解決できる! とハッキリおっしゃいましたね!

鹿又 (ハッキリとは言っていない……)

小林 (ハッキリとは言っていない……)

今回のお悩みはチキン☆ウィングさんより……

getty

チキン と、この企画の趣旨も明確になったところで、きょうもお悩みが届いています。

鹿又 我々の意思と関係なく、届いているんですね。

チキン 東京都在住、チキン☆ウイングさんのお悩みです。

小林 (これはなにかツッこんだほうがいいのだろうか)

鹿又 (本人の悩み……)

小林 (企画にかこつけて、自分の悩みを解決しようとしている……)

チキン 公私混同しやがってって思ってますね!?

鹿・小 (……)

チキン 断じて、違いますから! ボクが抱いている悩みが、多くのゴルファーの共感を呼ぶだろうと思ったからこそ、恥を忍んでここで相談しようと思ったんです。敵に降伏を示すネコがお腹を見せるようなものです! ゴロニャン♪

鹿又 (かわいくない……)

小林 (かわいくない……)

加齢のせい? 落ちた飛距離を取り戻したい!

getty

チキン チキン☆ウイングさんのお悩み。ボクは43歳、ゴルフ歴25年ほどです。若い頃は“飛ばし屋”で鳴らしたのですが、最近はめっきり飛距離が落ちてしまいました。かつての自分を取り戻すためには、ギアはどう替えたらいいですか?

どうですか! 加齢とともに飛距離が落ちてしまう、という誰しもが抱く、いわば永遠のテーマ! さあ! ボクの飛距離を伸ばしてごらん! いや、チキンだけに飛ばしてごらん!

鹿・小 (……)

小林 (チキンは飛ばないと思うけど……)

鹿又 飛距離を伸ばす、っていうのは、個々の状況によるので、すごく難しいんです。

チキン おお! それは逆に好都合! なにしろ、相談者本人がココにいますから!

鹿又 でも、皆さんに参考になるようにお話ししますね。

チキン (相談者がココにいるって言ってるのに……)

鹿又 ヘッドスピードが落ちてきた人の飛距離を伸ばすアプローチは2通りあります。

チキン おお、なんて惹き込まれるトークの入り!

小林 (余計な相づちがちょっぴり鼻につくなぁ)

2つの方法、鍵はヘッドスピード

鹿又 1つめは“ヘッドスピードを上げるように調整するギア選び”。2つめは“ヘッドスピードは落ちたままでボール初速を上げるギア選び”です。

チキン むむむ! 両方知りたい!

鹿又 まず、ヘッドスピードを上げようと思ったときには、やっぱりシャフトを軽くして長くするのが一番効果的なアプローチです!

チキン おお、飛距離を求めるならやはり“長尺化”ですか! そうだろうなぁ、と思いつつも、なかなか思い切れない方法ですよね。

チキン 小林プロにお伺いしたいんですけど、長尺にした場合、打ち方って変えたほうがいいんですか?

小林 そうですね、変える、というよりは“慣れることが必要”です。

チキン 慣れ……。それが上手くいかなかった、なんて話もよく聞きますが、いい方法なんて……まさかないですよねえ?

小林 それがね、奥さん……あるんですよ!

チキン まあ! うれしい! ホントですかあ!?

鹿又 (なんだ、この“通販番組的”なノリ)

長いドライバーを使うときのコツ

小林 例えば、いま45インチのドライバーを使っていて、46インチにしたいと思ったら……。

チキン したいと思ったら!?

小林 まずは、リシャフト段階で47インチにすることです!

チキン !!!

小林 自分のフィーリングを二段階上げてから一段階戻すと、違和感なく慣れる、ってな寸法です!

チキン 中学、高校と男子校で過ごした人が、女子の少ない大学に入学したら、みんなかわいく見える、あの感覚ですね!?

鹿又 (全然、分からない……)

チキン ヒョウと戦うことになったときに、先にライオンと戦っておけば楽勝なのと同じ……?

小林 (たとえ、ヘタだな、この人。先にライオンと戦ったらたぶん死ぬけど)

小林 気を付けてほしいのは、47インチのものも、46インチのものも同じシャフトにしないとダメってことです。キックポイントが違うとタイミングがまったく変わってしまうので。47インチを最初に作って、慣れてきたなって思ったら1インチ切っちゃうのがいいですね。

チキン 切っちゃって、感覚は変わらないですか?

小林 変わらないと思いますよ。まぁちょっと飛ばなくなっちゃいますけどね(笑)。

スピン量に注目

getty

チキン では、2つめの、“ヘッドスピードが落ちたままでボール初速を上げるギア選び”はどんな感じですか?

鹿又 その場合は、クラブ自体のスペックやヘッド自体を考え直さないといけないので少し大変です。

小林 出球の傾向も様々ですからね。ヘッドスピードが落ちたことによって、高さが足りなくなったのか、スピン量が減ったのか。

鹿又 もしくは、そもそもスピン量が多すぎるのか。そういう状態を、飛距離を増す“適正値にする”方向で見直すってことです。

チキン ほう! “飛びの適性値”! どうやら、カギを握るのはスピン量のようですね! そのために変えるのはシャフトですか? ヘッドですか?

鹿又 この場合はヘッドですね! スピン量を劇的に、例えば、500も600も変えようと思ったら、シャフトではほぼ無理ですからね。

チキン ヘッドスピードを上げようと思うならシャフトだし、スピン量を変えようと思ったらヘッドを見直すということですね。

ヘッドもボールも大事

鹿又 さらにヘッド選びで大切なのは、“スクエアなインパクト”にしやすいものを選ぶことです。

チキン スクエアなインパクトに!? それはヘッド自体の性能(性質)なんですか!? シャフトのしなり戻りのタイミングかと思っていたのですが……。

小林 ヘッドの性能が大きいです! スクエアに戻すには、重心距離が合ったものを選んでください。

チキン へえ~! そんな数値が指標になるんですか!? 自分のスイングと重心距離の相性なんて考えたことがなかったです! 人との付き合いも距離が大切ですもんね。

小林 (この人とは少し遠めの距離を保ちたいな)

チキン とにかくヘッド探しが先決、と。

鹿又 自分の飛距離が落ちている原因を分析してから、適正スピン量になるヘッドを選ぶ。そのあとに、シャフトを細かく選んでいく感じですね。

チキン なんでもかんでもプロと同じ、最新のものがいいってわけではないんですね。

小林 あと、もうひとつ! ボールを変えるっていう選択肢もありますよ!

チキン ボール!? たしかに“飛び系”って言われるものも多いですもんね。

鹿又 実はそこが要注意なんです。誰もかれも“飛び系”が飛ぶわけじゃないんです。これもスピン量との兼ね合いなんですよ! スピン量が多くて困っている人だったら反発係数が高いものが合いますが、スピンが少ない人は、タイトリストのプロV1みたいなプロユースのボールのほうが飛ぶ場合もあるんですよ。

小林 ボールのテクノロジーって結構すごいんですよ! “抜け道”的な方法ですけどね。

チキン いやぁ、話を聞いてるだけで、飛ぶ気になってきますね! ひゃっほー!

鹿・小 (この人、ある意味、すでにトンデるけど……)

――第3回に続く――

案内人紹介


小林 伸太郎(こばやししんたろう)
群馬県の榛名町(現高崎市)で生まれ育ち、両親の影響でゴルフを始めた。高校はゴルフ部のある栃木県の佐野日大に進学。ここで腕を上げ、3年時には『日本ジュニア』を制するまでになった。東北福祉大学3年の2007年には『日本アマ』制覇。現在シニアツアーで活躍する田村尚之との決勝は41ホールに及ぶ熱戦だった。

プロ入り後はツアー出場権をつかめないまま月日が流れた。それでも14年のQT(クォリファイングトーナメント)で自己最高の7位に入ると、翌15年は自身2試合目の『日本プロ』で4位。これを足掛かりに7年目で初シードをつかんだ。16年は初戦の『SMBCシンガポールオープン』で日本人選手最高の4位と好発進。『マイナビABCチャンピオンシップ』では初めて単独首位で最終日を迎え、惜しくも優勝した片山晋呉には1打及ばなかったが自己最高の2位に入る。17年は賞金ランク103位に終わり、シードを手放してしまった。
https://www.jgto.org/pc/PlayerProfile.do?playerCd=15566


今期はAbemaTVツアーと、アジアンツアーを主戦場とする小林プロ。海外への意欲も高い。

(写真左。右はQPの愛称で親しまれる関雅史プロ)


鹿又芳典(かのまたよしのり)
各ゴルフ雑誌やゴルフ専門チャンネルなどでクラブコーディネーターとして活躍中。年間試打本数は2000本以上にも及ぶ。男子、女子プロ、ツアープロとも交流が深い。