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イップス経験者が見た、ブレンダン・ジョーンズのプレー内容の変化

ブレンダン・ジョーンズの優勝で幕を開けた男子プロゴルフ開幕戦の東建ホームメイトカップ。

イップス持ちの筆者がテレビ観戦で感じたことを書いておきます。

ブレンダン・ジョーンズ選手とは

2019年国内の男子プロゴルフツアーが開幕しました。最終日7アンダー、4日間トータル15アンダーで、ブレンダン・ジョーンズ選手が優勝しました。

ジョーンズ選手は、コンパクトなトップから体力を活かしたスイングで、44歳の現在でも飛ばし屋です。

過去には、年間を通じてドライビングディスタンスで1位になったこともあります(2013年)。

この大会でも、18度のアイアン型ユーティリティーでティーショットを放っていました。

UTアイアンのティーショットが部門別データの計算に入っているのか分かりませんが、今大会4日間のドライビングディスタンスが22位とまだまだ上位にいます。

ヤフーのウェブニュースなどでは、ジョーンズ選手の優勝はあまり取り上げられていない様子。

際立ったニュース性がないので致し方ないのかもしれませんが、筆者は考えさせられたことがいくつかありました。

今大会のデータはどうだったの?

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過去に、ジョーンズ選手は年間のバーディ率がトップだったことがあります(2007、2008年)。

多分、バーディはあるけどもボギーも多いようなゴルフだったと思います。

日本ゴルフツアー機構の今大会のデータを見ると、4日間で、バーディ数が17(13位タイ)、ボギー数が6でした(イーグル数は2)。

ダブルボギー以上はありませんでした。

ドライビングディスタンスは22位ということで、それほど飛ばしにこだわらなくなった、あるいはケガや年齢なんかもあって、昔ほど飛ばなくさなくなっているのかもしれません。

ただ、パー5での2オン率が50%、バンカーには1回も入れていない(サンドセーブ率0)のはさすがです。

また、パーキープ率が2位タイ、最終日にはノーボギーということで、ここらが優勝の原因だと思われます。

データとテレビ中継からの考察

ジョーンズ選手は、3年ぶりのツアー優勝とのことですが、ケガを経てプレイスタイルに変化があったとも考えられます。

つまり、前章のデータとテレビで映された画像をみると、長打を活かしながらもダブルボギー以下を含むボギーを打たないゴルフが加わったと言えます。

ティーショットを積極的にプレースメントするような、コースマネジメントを重視したラウンドが上手くかみ合った大会になったのでしょう。

しかしながら、各ニュースでは、「遠くや近いものが見えにくい。コンタクトや眼鏡もしたがしっくりこない」と老眼にも苦しむとも記載されていました。

リッキオの法則

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全米プロゴルフ協会のハンディキャップ委員会のメンバー、ルウ・リッキオ氏が提唱した法則があり、「リッキオの法則」と呼ばれています。

リッキオ氏は、ハンデ30のゴルファーからUSPGAツアープロまでの実績を精査し、スコアに最も影響するのはパーオン率(GIR)だと結論づけています。

今大会のジョーンズ選手のデータを確認するだけでも、この法則が正しいだろうと言えます。

一般ゴルファーでもいえることですから、パーオンするためにどうするのか、データ取りをしたり、コースマネジメントを考え直したりすることが、スコアアップのカギと言えるでしょう。

一方で

最終日の最終ホール。ジョーンズ選手のティーショットはUTアイアン。左側バンカーからの第2打目は観覧席下に転がっていくショットでした。

ドロップした第3打目。グリーンエッジまで1メートル近くあったと思いますが、ジョーンズ選手はなんとパターを手にしました。

「恥ずかしかったけど、パターで打った」。寄らずに5メートルショートしていまいました。

あせりと傾斜のラフから不得手なアプローチをする自信のなさで、そのようなクラブ選択になったとのことです。

ですが、筆者は、「ああ、やっぱりジョーンズ選手もイップスなのではないだろうか」と再認識しました。

諦めない最終パッティング

少し前に筆者が投稿した記事、「イップスゴルファーはまだまだ諦めない!」に記載したのですが、ジョーンズ選手のプレーぶりが筆者と重ねて見えました。

もちろん、ジョーンズ選手ほどのゴルフの飛距離やテクニックは筆者にはありませんが、どちらかというと体が硬くて馬力でするゴルフは似ています。

つまり、短い距離や力がいらないショットが上手く打てないのです。ジョーンズ選手も、長年長尺パターを使用していたことからもうかがい知れます。

今回の最終日18番ホールの第3打のパター使用も、明らかにトップやボール下くぐりを避けた選択だと筆者は感じました。

推測ですが、思いとしては、距離感万全でなくともグリーンには乗るだろう、だったと思います。

案の定ショートしていまいましたが、グリーンには乗った。そこで気持ちの切り替えはできたのだと思います。

テレビ中継の15、6番ホールあたりで、解説の丸山茂樹プロは、「ジョーンズ選手は下りの打てないパットのほうが合っている」と言っていました。

筆者も同じで、ほんとに触るか触らない程度の下りだと、打つというよりも触ってでいいんだという割り切りができるのです。

で、ジョーンズ選手はいいストロークをして、ねじ込むというよりも流し込みました。

16、17番ホール辺りはバックスイングが揺れていましたが、ここでは撚れることなくテイクバックできたパッティングでした。

完全克服はできないかもしれないけれど

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この大会のジョーンズ選手から学んだことは2つあります。

1つ目は、パーオン率を上げること。そのためにティーショットをどのクラブでどこに打つかの戦略を毎ホール続けること。

2つ目は、ケガやイップスを持っていたとしても、自分を信じてできることを着実に実行していく我慢強いプレーをすること。

結果はすぐに伴わなくても、諦めずにやり続けることがいつか実を結ぶと信じて続けることの大切さを改めて学んだ一戦でした。