Gride

gettyimages/1127105
getty

ゴルフスイング

飛太郎

「名言に学ぶ」バックスイング編~ジャック・二クラスの言葉から

こんにちは! 飛太郎です。

歴代のゴルファーが残した名言は、今も色褪せることなく語り継がれています。

その珠玉の言葉は、彼らが何千・何万と練習を繰り返し、激戦を潜り抜ける中で生まれた、いわば理論の結晶体だと僕は思うんです。

そこから学ばない手はない!!

僭越(せんえつ)ではありますが、ヘッポコゴルファー飛太郎の新シリーズ、「名言から学ぶシリーズ」を勝手に綴っていこうかなと思います。

第一弾は、『帝王』ジャック・ニクラス氏の言葉から、バックスイングのヒントをもらいましょう!

(ニクラウスだろ! って言われそうですが、それはドイツ語表記に近いそうですので、ここでは英語表記寄りにお呼びしています)

「帝王」ジャック・ニクラスが語った、バックスイング

getty

ゴールデン・ベアこと、ジャック・ウィリアム・ニクラス氏は、バックスイングについてこんな言葉を残してくれています。

『ほとんどのゴルファーは、力は大きなバックスイングによって生まれるという勘違いをしている』

史上最高のゴルファーの一人と称される彼がそんな言葉を残すほどに、バックスイングを大きく取ってしまうゴルファーは古今東西、多いのでしょう。

また、ハリー・バードン氏もこんな言葉を残しています。

「バックスイングを急ぐ傾向にあるが、急いでもなんの利益もない。なぜなら、ボールは頭上にあるものではないからだ」

他にもさまざまなゴルファーが金言を残してくれていますが、バックスイングに関する言葉は、この二つでもう十分ではないでしょうか。

大きく取るべきものでもなければ、急ぐべきものでもない。

どういうことでしょう?

では、ここからは飛太郎のヘッポコ経験談も踏まえて、バックスイングを大きく取ったり、急ぐことによって起きる弊害をお話しして締めます♪

「大きなバックスイング」を間違って解釈してしまうと……

ジャック・ニクラス氏は「力は、大きなバックスイングで生むものではない」と言います。

では力はどこで生み出すのでしょう?

いわずもがな、下半身、そして体幹部や背中などのヒッティング・マッスルですよね。

ではバックスイングでは一切、力が発生しないかと言えば、そうではないと僕は考えます。

クラブも腕も、遠心力を帯びることでより強い力をボールに伝えることが可能となります。

もちろんのことですが、『帝王』ジャック・ニクラス氏が誤っているなどと天地がひっくり返っても言いません。

大事なのは、「大きなバックスイング」とはなんぞや? という点を勘違いしないことだと申し上げているんです。

多くの方が勘違いしてしまいがちなのは、バックスイングによって生まれるものが何か? という点。

そして、そのバックスイングに要する力を身体のどこで発するか、という点。

以上2点です。

以前に記事でお伝えしましたが、互い違いに抗い合う「捻転力」が働くからこそ、そこには大きなトルクが発生します。

ところが、そこを度外視して「バックスイングを大きく!」とやってしまうと、いくつか望まざる弊害が起きます。

その最たるものが、捻転が「外れる」こと。

膝が割れ、上体は起き上がり、軸はズレたりすることで、下半身と上半身が抗い合うことなく、ともに回ってしまうことを僕はそう呼んでいます。

それでは最早、スイングではなくなってしまいます。

もしどうしても大きなバックスイングを使いたいのであれば、この「捻転力」が損なわれてしまった時点でそれは成立しないとお考えいただいて良いかと思います。

捻転力を生むことを前提としたものがバックスイングであり、それが損なわれるほどの過剰に大きなバックスイングは、力を発生させるどころか力を半減させます。

もう1点の「バックスイングに要する力をどこで発生させるか」は、序盤に申し上げた通り、また別の記事でもお話しした通り。

下半身、特に股関節の外旋・内旋の力で発生させます。

これを間違って解釈し、腕で大きなバックスイングを行ってしまえば、切り返しからも腕でトルクを生まねばならなくなります。

結果、典型的な手打ちスイングとなってしまうことは、皆さんならおわかりかと思います。

手元が身体から離れることも含めて、強い力をボールに伝えるのは至難の業となるでしょう。

逆説的に考えてみれば、それら2点が維持できていれば「バックスイングは大きくても良い」とも言えますが、どうぞ一度試してみてください。

それらの条件を備えていれば、過度に大きなバックスイングは「取れなくなる」ということが体感できるかと思いますよ!

「バックスイングを急ぐ」と何が得られ、何を失うのか?

getty

では次に、ハリー・バードン氏が「何の利益もない」と述べた、バックスイングを急ぐことについてお話しします。

よく見かけますが、「ビュンッ!」と風切り音がなるくらいに速くバックスイングを行う方がいらっしゃいますね。

往々にして、切り返しからインパクトに至るまでは、バックスイングとは対照的にスピードもパワーもダウンしてしまっているのが見受けられます。

その原因は、いくつか挙げられます。

1.トップに至るまでにパワーを使い切ってしまっている。
2.素早く上げ過ぎて、トップポジションで身体が遠心力に持っていかれてしまって耐え切れていない。
3.腕で思い切りよく振り上げ、手元が身体から離れることで、体幹や下半身の力が正しく使えなくなる。
4.身体の軸や前傾が崩れてしまうことで、切り返しからクラブを「ボールに当てに行こうとする意識」に支配され、パワーロスしている。

などなど、僕が見る中での代表例はこの4つです。

ただ、素早くバックスイングを上げること自体を、一概に「悪だ」とは申しません。

なぜなら現に、そういったスイングを取り入れて超人のような飛距離を叩き出す方がいらっしゃるからです。

ただし、まさに「超人」と僕が今申した通り、超人めいた筋力・瞬発力・ボディコントロール術を兼ね備えた人ならば、という条件が加わるのです。

そして何より大前提に、スイングプレーンを崩さない確かな技術と、あらゆる圧力に耐えた上にそれらを加速力に変える肉体の強度が必須です。

そうでなければ、あるいは300ヤード程度を飛ばすくらいであれば、そこまで素早くバックスイングを上げる必要性はないとも断言します。

『絶対的な飛距離を求められる世界では』、時にそういった概念を覆すスイングも必要かも知れません、というお話です。

いかがでしょう。

そう考えると、素早いバックスイングによって得られるものは、それに相当する「対価」を差し出して初めて成立するものとも言えそうですね。

コースを回るにあたっては、その対価はあまりにも高過ぎるかも知れません。

一度、ゆっくりバックスイングしてみてください

getty

いかがでしょう。

バックスイングを大きく取りがちだったり、あるいは急ぎがちな方は、一度ゆっくりトップで止めるくらいの気持ちで、バックスイングしてみてください。

その際のポイントとして、僕が意識して練習して「コレは使える」と感じたものを最後にご紹介します。

実際にボールを打つ必要はありません、慣れるまで素振りで結構です。

ゆっくりバックスイングするとしても、理に適っていないフォームでゆっくり行っていてはあまり意味がありません。

なぜならそれは、間違った予習復習を身体にしみ込ませるだけだからです。

ゆっくり行う際のポイントは3点。

1.両脇が身体から離れないように、アドレス時に軽く「閉じる」。
2.胸と両腕が織りなす三角形を動かさず、下半身でバックスイングを始動し、三角形が惰性で動き始めるのを体感する。
3.胸が終始、「地面を向いている」ことを意識する。

以上の3点だけを守って、ハーフスイングから始めてみてください。

トップポジションまで高く腕を上げようとするのは、その練習以降のほうがオススメですヨ♪

これらを行うだけでも、「力」がどのように生まれるのか、そしてその力がどれだけ重要か、感じていただけるかと思います。

最後に、ベン・ホーガン氏の言葉を。

「バックスイングにおいて、究極的なトップ・オブ・スイングというものはない。クラブが通常トップ・オブ・スイングと言われるところへ達するまでには、すでにダウンスイングは始まっているのだ」

これがすべてな気がしますね。

それではまた! 飛太郎でした。