ゴルフスイング
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プロゴルファーはなぜ飛ぶの?飛距離の秘密とアマチュアとの違いに迫る!
トーナメント観戦やテレビ中継でのプロゴルファーのドライバーショットを見て、その飛距離に驚いた人も多いのではないでしょうか。
周りのアマチュアで“飛ばし屋”と呼ばれる人たちでも、プロ以上に飛ぶという人はめったにいませんよね。
大きな身体を持つ男子プロはもちろん、華奢に見える女子プロでさえ、一般人男性と同じかそれ以上の飛距離を記録しています。
プロゴルファーはなぜこんなにも飛ぶのでしょうか?
その飛距離の秘密と、アマチュアとの違いはどこにあるのか、しっかりチェックして飛距離アップを目指しましょう!
目次
米国男子プロゴルファーのドライバー平均飛距離ランキング
まずは、世界を舞台に戦っている、米国男子プロゴルファーの平均飛距離ランキングを見てみましょう。
PGAツアーの情報で、2019年8月26日のツアー選手権終了時点のランキングから、上位3名をご紹介します。
1位は317.9ヤードのキャメロン・チャンプ選手(写真)。
ツアー屈指の飛ばし屋で、並みいる選手を置き去りにしていきます。
ずば抜けた柔軟性と、しなやかな筋肉が飛ばしの原動力。大きな回転量と捻転差で、人並みはずれたスピードを生み出しています。
柔軟性があり過ぎることが、緩みにつながるデメリットを生み出しますが、腕とクラブを完全に身体の前にキープしたままスイングをすることで、緩まないスイングを作り出しているのが大きな特徴です。
2位は313.5ヤードのローリー・マキロイ選手。
左肘を伸ばし最大限に腕を伸ばした状態のトップからダウンスイングに入ることで、大きな遠心力が加えられます。そのまま身体を伸び上がらせず、手首を低い位置に通し、ヘッドの加速を実現しています。
インパクトでは、彼の最大限の特徴である「ヒップターン」により、フォローで腕の通り道が確保され、スムーズなスイングが確立されています。
身長は178センチと決して大柄とは言えない選手ですが、テークバックで左のお尻に力を入れ、身体の左サイドを捻転させることで、インパクトで強いパワーが生まれます。
3位は313.3ヤードのルーク・リスト選手。
188センチ82キロと恵まれた体格を活かし、水泳で培ったしなやかな身体を駆使し、大きな飛距離を出しています。
ツアー未勝利ながら、2017年には3度のトップ10入り。飛距離を武器に、ツアー初優勝を目指しています。
国内男子プロゴルファーのドライバー平均飛距離ランキング
次に、一般社団法人日本ゴルフツアー機構のデータから、2019年度のティーショットの平均飛距離ランキングを3位までご紹介します。
1位は321.28ヤードの、チャン・キム選手(写真)。
韓国生まれのハワイ育ちで、12歳からゴルフを始め、17歳から本格的に競技参戦。2015年から出場している日本ツアーでは、2年の時を経て初優勝。
スイングを体重移動から“回転”の意識に変えたことでパワフルなスイングがさらに飛距離を増し、トップに輝いています。
2位は316.59ヤードの幡地隆寛選手。
日本人選手で最上位の幡地選手。世界で活躍する松山英樹選手と同じ東北福祉大出身で、松山選手の後輩にあたります。
ドライバーの飛距離はあるけれどもコントロールがいまいち、という方が多い中、完成度の高いスイングで、球筋を上手くコントロールしています。
ボールが吹き上がってしまうことに悩み、シャフトに変更したところ、思ったとおりに吹けずに前へ飛んでくれるボールが出てくれるようになったそうです。
3位は311.31ヤードのリチャード・ジョン選手。
12歳でゴルフを始め、17歳でカナダジュニアを制覇。数々のジュニアの大会でも功績を残し、2012年プロ転向。2018年の「蘇州選手権」で見事優勝を果たしたものの米国ファイナルQTを惜しくも逃し、日本ツアーにデビュー。
持ち味はドライバーというだけあって、その飛距離で今後に期待の選手です。
ランキングを見ていくと、なんと18位までの選手が300ヤードを超えた平均飛距離でランクインしています。
最大飛距離でなく、平均飛距離というところが、プロの能力の高さを伺わせる結果となりました。
国内女子プロゴルファーのドライバー平均飛距離ランキング
それでは国内女子はどうでしょうか?
こちらは、一般社団法人日本女子プロゴルフ協会のデータより、2019年11月17日現在のランキングから、3位までの選手をご紹介します。
1位は、260.86ヤードの穴井詩選手(写真)。
中学の時に父親の仕事の都合で渡米。現地の高校のゴルフ部に入り、腕を磨いてきた穴井選手。帰国後の2008年のプロテストに一発合格。ツアー優勝もしています。
左手を極端にフックにグリップし、身体が開くほどのフルスイングが特徴。右手も少しフック気味に握ることで、思い切り振ってもフェースが開きません。
かなりのハンドファーストでインパクトすることで、左肩、手元、ヘッドが一直線になり、加速したままフォローでフェースが返ることで、飛距離に加え方向性も定まるスイングになっています。
2位は253.60ヤードの葭葉ルミ選手。
誰もが認める“飛ばし屋”葭葉ルミ選手。その飛距離は日本だけでなく、海外でも十分通用するもので、2017年に出場した全米女子オープンでは平均飛距離1位になりました。
葭葉選手のスイングの特徴は、手元の高いバックスイング。水平に身体を回すのではなく、縦方向にねじり上げるように作り上げます。
そこからターゲット方向にキレよく腰を切り、回転力を高め、切り返しで作った“タメ”から、斜め方向の回転を加え、適切な入射角でインパクトを迎えるスイングで、大きな飛距離を作り出しています。
3位は253.49ヤードの松田鈴英選手。
葭葉選手とわずか0.11ヤードの違いです。“黄金世代”と呼ばれる1998年生まれの選手の一人です。
松田選手のスイングの特徴は、高いテイクバックに対し、ダウンスイングの軌道がシャロー(浅い)こと。
もともとは低めのティーアップで滑るようなボールが出ていましたが、これを高めに変えたことに加え、ドライバーのヘッドを低スピンヘッドに変えたことで、打ち出したボールも低スピンの弾道を描くようになりました。
低スピンのメリットは、バックスピンがかかりにくく、ランが出ること。以前よりも倍以上のランが出るようになった松田選手、見事に3位に入っています。
ドラコンプロの飛距離は?
上記はツアープロゴルファーの平均飛距離をご紹介しました。
実は、このようにトーナメントで戦うツアープロと同様に、ドライバーを使ってどれだけボールを遠くに飛ばすことができるかを競うドライビングコンテスト、略してドラコンにもプロ制度があるのです。
ドラコンプロの存在を知らなくても、何かのコンペに出たときに、ドラコンを競った経験がある方も多いと思います。
コンペの中で楽しむドラコンは、プレーの中で決まったホールのティーショットで、フェアウェイをとらえたボールの距離を競うものかと思いますが、プロの大会はそれとは違ったものになります。
持ち球6球を持ち時間2分45秒以内にドライバーでショットし、飛距離が一番出ている人を優勝とする競技です。
従来は、ただ飛ばせば良いという競技でしたが、一般社団法人プロドラコン協会により、6球中3球をフェアウェイキープしなければ記録として有効にならないというルールが追加されました。
驚くべきはその飛距離、2018年のドラコン日本選手権の大会では、男性で414ヤード、女性で325ヤードという記録で優勝が飾られています。
海外では、551ヤードという記録の保持者も(マイク・ドビン選手=写真が2007年に記録)!
ロングホール(パー5)も1オンしてしまいそうな飛距離は、本当に桁違いと言わざるを得ませんね。
プロゴルファーとアマチュアゴルファーの違いは何?
さて、ドラコンプロも含め、プロゴルファーの平均飛距離を見てきましたが、なぜプロゴルファーはこんなに飛ぶのでしょうか? 一体、アマチュアゴルファーとの違いはどこにあるのでしょう?
それは一言でいえば、プロは“飛ばすスイング”をし、アマチュアは“当てるスイング”をしているからです。その違いにより、プロとアマチュアには圧倒的な飛距離の差が生まれます。
今でこそヘッドが大きいドライバーですが、200ccを切るくらいの小さな体積のものが主流だった時代がありました。そのとき最重要視されていたことは、ボールに「当てる」技術でした。
進化した現代のクラブは、フェースが広くなり、多少芯を外したところで、飛距離を大幅にロスすることもなく、致命的なミスにつながることはありません。
この進化により、従来の、飛ばすために思い切り腕を振る必要があったスイングでは、ボールは大きく曲がって飛んでいってしまいます。これではスコアを作ることは難しいですよね。
現代のクラブでドライバーの飛距離を伸ばすためには、腕を使わず、自らの肉体を鍛え、その身体で打って飛ばすスイングが必要になりました。
これは、ドライバーだけではなく、アイアンも同じです。その、身体で飛ばすスイングにより高まった“初速”こそが、プロとアマチュアの大きな違いであり、飛ぶ秘訣なのです。
プロゴルファーが飛ぶ秘密は初速にあった!
ヘッドスピードはいくつかと気にしたことはあると思いますが、果たして自分のボールの“初速”がいくつか知っていますか?
初速とは、ゴルフクラブがボールに衝突して、ボールが打ち出された速度を指します。ボールスピードという名前でも呼ばれます。
身体を鍛え上げ、腕を使わずに思い切り身体で振るスイングを身につけると、ボール初速が高まります。
ヘッドスピードが同じでも、初速が「1」違うだけで、飛距離は約7ヤード違うと言われています。
ボールの初速はヘッドスピード×ミート率で求められますが、初速を上げる大切なポイントとして、インパクト時のフェースの向きが挙げられます。
インパクト時に、しっかりとフェース面が固定できていますか?
多くのアマチュアゴルファーは、これが緩んで開いてしまうため、エネルギーがボールに伝わらず、結果、初速が失われてしまっているのです。
ちなみに、ボール初速は、飛距離の重大な要素である「スピン量」と「打ち出し角」にも影響してきます。
スピン量はバックスピンの量を指しますが、そのスピンがよくかかるほど、揚力が生まれ、ボールが高く上がります。
フェースが開いて当たって(インパクト効率が落ちて)スピンが増えてしまい、ボール初速が遅くなっている人が多いです。
打ち出し角は、ボールが打ち出される弾道の角度です。
打ち出し角が低過ぎるとキャリーが不足して、すぐに地面に落ちてしまうドロップボールになりやすくなります。
飛距離とボール初速は密接な関係にあるのです。
アマチュアで飛距離を伸ばしたい人は、まずはインパクトの時、しっかりとフェースが固定できているか確認し、理想的なフェースの向きでインパクトできるよう、意識して練習してみましょう。
軌道はインサイドアウトを目指そう
フェースをきれいにボールに当てるには、軌道も重要になってきます。
アウトサイドインという、斜めに切るようないわゆる「カット軌道」は飛距離のロスにつながります。
ドライバーショットは、ゆるやかなインサイドインが理想ですが、もし自分のスイングがアウトサイドインのスイング軌道になっている場合は、インサイドアウトを目指して矯正することで、変わるかもしれません。
矯正の方法の1つとして、インパクトからフォロースルーに至るまでの行程において、ヘッドを最大限に加速させることを意識してみましょう。
スイング時にクラブが空を切る音を左耳で聞けたなら、ヘッドに十分にスピードがついている証拠です。
インパクト後のスイングアーク(スイング軌道)が大きくなることによって、カット軌道は改善されます。
また、クラブヘッドを右前方に放り出すように意識してスイングすることも効果的です。
しかし、身体の重心が安定していなければ、クラブを振った際に目標の方向へと身体が流れてしまいますので、上半身と下半身をバランス良く強化することが大切です。
ちなみに、下半身の踏ん張る力を効率よく高める方法として、“四股踏み”を取り入れているプロはたくさんいます。
飛距離アップに重要な股関節の柔軟性も得られるので、一石二鳥です。
自分に合ったドライバー選びもかなり重要
プロたちが、いかに飛距離を生み出しているかお分かりいただけたでしょうか?
初速を高める身体能力があれば、アマチュアゴルファーにもプロレベルの飛距離を手に入れることは不可能ではありません。
しかし、仕事や家庭などがあり、ゴルフはあくまでも趣味のひとつというアマチュアゴルファーが、アスリート並みの肉体を手に入れるには、それ相応の努力が必要です。
そこで、注目してほしいのはドライバー。
飛距離は個々人の体力や柔軟性などのスペックによる部分も大きいですが、ドライバーの種類やロフト角、シャフト長さや種類などに左右されるケースも少なくありません。
特にロフトは、少ないほどインパクト効率が高まり初速は上がりますが、あまり少なくし過ぎると、ボールが上がり切らずにかえって飛距離が伸びなくなってしまうこともあります。
プロは最高のフィッティングと、市販されていない特注クラブを使ったりしますが、アマチュアこそ体力・技術で足りないところを補うように、クラブ選びをすることもおすすめします。
ぜひ、プロとアマチュアで異なる点、日頃の練習でできるポイントのチェックや、自身のドライバーの見直しなど、できることから始めてみてくださいね!