ゴルフスイング
Nick Jagger
パッティングのグリップ、3つの鉄則
パターというクラブは、他の13本のクラブとは違い、どんな握り方をしてもいいので、その形にこだわる必要はありません。
自分なりの握り方を見つけるのも、ゴルフの楽しみのひとつとさえ言えます。
ただ、プロゴルファーや上級者のグリップを観察しますと、満たすべきいくつかの条件が見えてきますので、それらを紹介しましょう。
1.パターフェースの向きを合わせやすい“パーム”で握る
まずひとつめの条件は、パターフェースの向きが合わせやすいことと、インパクト時にフェースの向きを感じやすくすることです。
これを満たすべく、ほとんどのプロゴルファーは、パーム(手のひら)で握っています。
パームグリップを一言で説明しますと、両手のひらでグリップを挟む握り方です。右手をグリップの真横から当てがって手のひらをつけたら、右手全体で包み込むように握ります。
この時、右手のひらとパターフェースを揃えるのがポイントになります。両者を同じ方向に向け、右手をターゲット方向に動かす形にするわけです。
左手は右手の方向性が失われないように握ります。つまり、右手のひらと左手のひらでグリップをサンドイッチするように左真横から当てがいます。
こうすることで、右手の向きを変えることなく、両手に一体感を持たせることができるのです。
そのまま両手を並列にセットして、グリップを完成する人もいれば、左手を上下にずらす人もいます。
パッティングのグリップで最もポピュラーな逆オーバーラッピングは、このスタイルの応用型なのです。
右手の小指までをグリップ部分に密着させることで、右手のひらとフェースの向きの同調性を高めています。
右手のひらとフェースの向きが平らなグリップを装着しますと、より合わせやすくなります。
そのようなグリップを使うことで、パームグリップのメリットはより大きなものとなります。
2.手首の動きを抑える
パターのグリップで満たすべき2つ目の条件とは、手首を使いにくくすることです。
パームグリップと対極に位置するのが、グリップ部分を指の関節で留めるように握るフィンガーグリップです。
ドライバーなどのウッドやアイアンは、もっぱらフィンガーグリップで握りますが、これはリストを柔らかく使えるからです。
ショットでボールをつかまえるには、ヘッドスピードを上げなければいけませんが、それには手首の柔らかさが欠かせません。フィンガーグリップは、そうするのに最適なのです。
その点、パッティングではヘッドスピードはいりません。
手首が使いづらいパームグリップで握っても、ストロークには何も支障が出ないだけでなく、方向性が合いやすいというメリットが享受できます。
とりわけ、高速グリーンで戦うプロゴルファーにとって、手首の動きを抑えることは重要なのです。
両手の間隔を空けたスプリットハンドや、右手を上、左手を下にしたクロスハンドグリップは、みな手首の動きを封じる効果の高い握り方です。
パームグリップで握った上で、右手首をロックし、肩の回転だけでストロークするプロゴルファーも多く見られます。
また、同じパームグリップで握っても、人差し指を伸ばすのと曲げるのとでは、手首の使い方に差が出ます。
指を伸ばしますと、手首は使いづらく、曲げると使いやすくなります。
逆オーバーラッピングで握った場合には、左手の人差し指を伸ばしますと、手首をロックしたままストロークしやすくなります。
ただし、その分フィーリングは出にくくなります。
指を伸ばすことで手首とひじの関節にストレスがくるため、繊細な感覚が出ないのです。
どちらを選ぶかはあなた次第ですが、アマチュアゴルファーの多くは、手首をコネてしまうので、指を伸ばすスタイルがお勧めです。
このスタイルやクロスハンドで練習しますと、手首をロックする効果も期待できますので、試してみるといいでしょう。
3.弱めのグリッププレッシャーで握る
3つめの条件は、グリッププレッシャー(グリップを握る強さ)です。
プロや上級者はパームグリップが多いと述べてきましたが、前述したようにこのグリップは両手でパターを挟むように握り、パターを吊るように持ちます。
そもそもの話、ギュッと力を入れることができないので、グリッププレッシャーは弱くなります。
多くのプロが「グリップは緩く握る」と声を揃えるのはこのためでもあります。
グリッププレッシャーが弱いと、構えた時にパターヘッドの重さを感じられ、ある程度ヘッドの動きに任せたストロークができます。
その結果、パターヘッドの動きは安定します。
打つ前に思わず手に力が入り、パンチが入ってしまった、あるいはフェースの向きが狂ってしまったという経験をしたことがある人も多いことでしょう。
これらのミスはグリップを緩めに握り、ヘッドを吊るように構えることで減らすことができるのです。
グリッププレッシャーは手首の動きを抑制するかしないかでも変わります。
例えば、手首を使わないように右手をロックすれば、グリッププレッシャーは強くなります。
逆に手首を使いたければ、グリッププレッシャーを弱めなくてはいけません。
こう考えた場合、ロングパットではリストワークが使えるように若干緩めに握っておくのがベターかもしれません。
実際、プロがグリーンの外やカラーからパターを使うケースでは、アプローチ感覚で自然に手首を使っています。
反対に、下りのショートパットなど、完全に手首をロックしたい時には、グリッププレッシャーを強めにして、ゆっくりストロークするといいでしょう。
“パットに型なし”とはよく言われますが、少なくとも上記の3つが守られたグリップをすることがパター上手になる近道と言えます。ぜひ参考にしてください。