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ゴルフスイング

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正しい手首の使い方を身に付ければ、ショットの方向性が向上する!

スイングにおいて重要なのは、インパクトをスクエアなクラブフェースで迎えることと言えます。

そして、クラブフェースの向きに、最も影響を与えるのが手首です。

正しい手首の使い方ができれば、打球の方向性が安定します。

ここでは手首の使い方を身に付ける方法をご紹介していきます。

正しい手首の使い方とは?

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ゴルフのスイングでは、右手のコック(手首の曲げ方)を間違えると、クラブフェースの向きがズレてしまい、打球の方向性が安定しません。

では、正しいコックとは何なのか? イメージとしては、バックスイングのトップ位置で、右手の手のひらにお盆を乗せる感じです(よく“出前持ち”などと表現されます)。

つまり、スイングのトップの位置で、右手が甲側に折れた状態になります。

このときの左手の手首の甲は、斜め上方から空を向く形になっているはずです(写真上)。

一度、バックスイングのトップの位置で、自分の手首の形を確認してみましょう。

正しい手首の使い方を体感しよう

頭では手首の使い方を理解したつもりでも、やはり体が自然と動くようにならなければ、習得したとは言えません。

そこで、正しい手首の使い方を体感するための練習方法をご紹介します。クラブはどの番手でも構いません(動画をご参照ください)。

まずは、アドレスをした状態になります。次に、クラブヘッドを自分の両肩と同じ高さまで持ち上げます。

その状態をキープしたまま、体を右に90度、3時の方向に向け、テークバックの形になります。

このとき、左手首は縦(手前)方向に曲がり、右手首は甲側に曲がってくるはずです。

左手一本打ちで手首の使い方を体感

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正しい手首の使い方を体感する方法として、左手で素振りをする練習方法もあります。

まず、左手だけでクラブを握ります。

次に右手で左手首を軽く握ります。このとき、右手の親指が左手の甲に触れるようにします。

この状態をキープしたまま、左手だけでスイングしてみましょう。

バックスイングの途中で、右手の親指が左手の甲から離れたり、逆に押し込まれたりしないようにスイングできれば、正しい手首の使い方ができていることになります。

手首は返す? 返さない? スイングはどっちが正しい?

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手首を返す、返さない、というどちらの理論もあるゴルフスイングですが、本当に正しいのはどちらなのでしょうか。

これまで説明した手首の使い方は、手首をまったく使ってないわけではありません。しかしインパクト周辺の手首の動きには振れていませんよね。

ボールを打つ瞬間の手首の動きを細かく解析していきましょう。

手首の使い方は3通り

ここで手首を動かす方法には3通りあるのを見ていきましょう。

それぞれ手首の動きや使い方がまったく異なりますが、どれもゴルフには非常に大切な動きなのでチェックしておきましょう。

次の手首の動きが意識できるようになると、改善点やチェックポイントが見つけやすくなるでしょう。

手首の使い方 上下の動き

まず手首を横から見たときの上下の動きを見ていきましょう。

これはスイング中、特にバックスイングやトップまでの動きでよく指摘されるコックの動きになります。

手首の使い方 前後の動き

続いて手首を横から見たとき、前後の動きを見ていきましょう。

ボールを投げるスナップのような動きですね。この動きをゴルフではヒンジと呼んでいます。

手首の使い方 回旋の動き

腕を捻じるような動きが回旋の動きになります。ゴルフのスイング中には必ず起こっている動きですね。

腕を内側へ捻じる動きを内旋(ないせん)。外側へ捻じる動きを外旋(がいせん)と言います。

手首を返すのか返さないのか、鍵を握るのはヒンジと回旋

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コックも無関係ではありませんが、スイングにおいて大きなファクターを占めるのがヒンジと回旋の動きです。

ボールの打ち出し方向、すなわち方向性はインパクト時のフェースの向きが関わっています。

このフェースの向きが一定であれば、そちらの方向に飛び出していくのです。

またボールが曲がってしまう原因については、スイングの軌道にありますので、ここでは除外して進めていきましょう。

手首を返す、という動作はヒンジと回旋が組み合わさったものです。先ほどの手首の動きでヒンジと回旋を思い出してみてください。

この動きをゴルフクラブを持って動かしてみると、回旋の動きではフェースの開閉が非常に大きく、ヒンジでは少なくなるのが分かります。

どちらの動きもフェースを開閉させる動きが出ているので、理論的にはこの回旋もヒンジも使わないほうがフェースはまっすぐ揃いやすいという結論に至ります。

まったくこれらの動きを使わないのはおそらく無理だと思いますが、この動きを極限まで削ってスイングをしている選手がいます。

それがブライソン・デシャンボー。

「ゴルフの科学者」と呼ばれている選手ですね。デシャンボーはスイング中に起こすフェースの開閉によって、出球のばらつきが出るのを知っているのでしょう。

スイング中も手首でスナップを効かせていたりするような動きは見られません。しかも極端なハンドアップのアドレスで、コック動作も抑えています。

体を回しているだけ、と言ってもいいスイングですね。上半身は体の動きに追随しているだけ、という意識なのでしょう。

スイングプレーンを後方から見れば、腕とクラブがまっすぐになっているように見えますね。

続いてデシャンボーのスイングを正面から見てみましょう。

手首の動きに注目してみると、手首をまったく使っていないわけではありません。特にトップから切り返しでは、ヘッドが前方に入って強いタメができているのが分かると思います。

ただ手首を使っているように見えるのはこの部分だけで、インパクト後は体だけがターンして、他の部分は積極的に動かしていません。

スイングでもっとも力が溜まる切り返しからのダウンスイングだけ手首が使われているのは、シャフトのしなりを伝えるための動きなのでしょう。小さなフォローでインパクト周辺では手首を使わないようなイメージなんだと思います。

デシャンボーのスイングは極端にしても、インパクト付近では手首を返さないのがショットを安定させる秘訣です。

ヒンジの動きを積極的に使う掌屈とは

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手首の動きがフェースの開閉に影響が少ないヒンジを積極的に使ったスイングがあります。

それがダスティン・ジョンソンや渋野日向子といった選手に言われる「掌屈」という動きです。

この掌屈はヒンジの動きそのもので、腕の回旋の動きではありません。フェースの開閉が最も大きくなるのが回旋の動き。

その回旋の動きをさせずにヘッドを走らせる動作です。

インパクト前に手首が山型に折れているとフェースが開閉しにくい

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インパクト前の動きを見ていきたいと思います。ダウンスイングからインパクトにかけて、左手首が甲側に折れているのが分かるでしょうか。

手首の形がまっすぐの形のプロもいれば、このように山型になっているプロもいます。

掌屈をすると、インパクト前後でフェースの開閉が抑えられるのです。それだけインパクトではフェースの向きを揃えやすいということにつながります。

ダウンで左手首が山型(掌屈)になっているプロ

全英女子オープン制覇で一世を風靡した渋野日向子プロ。

トップでの掌屈が注目されていますが、実はダウンスイングでも左手首が手のひら側に折れています。

このスーパースローだとその動きがよくわかりますね。

ダウンで左手首が真っ直ぐになっているプロ

同じ女子プロゴルファーでも、原英莉花プロはトップからダウンにかけて腕と手首がまっすぐになっています。

渋野プロよりも腕を回旋させる量が多いことがわかります。

手首を使うスイングってどういうことなんだろう?

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さて、ここでそもそも手首を使うスイングとは一体どんなことを指しているのか、確認していきましょう。

ヒンジもコックもスナップを効かせる動きも、結局すべて「手首の動き」なのです。

トップでは、腕が上がって手首が曲がる

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まずスイングの基本的な形をトップから見てみましょう。

バックスイングで上げられたクラブは一定の位置を過ぎると、右ひじをたたんでクラブが飛球線方向を指します。このとき手首は大きくコックの動きをしています。

そして体重移動をしてダウンスイングに差し掛かるとき、グリップが先行します。ヘッドはその後ろから遅れてついてきて「タメ」ができるわけですね。

ダウンスイングからインパクトに差し掛かったときに、グリップを減速させてヘッドを前に走らせようとします。

ここで軸を中心とした回転運動で支点があって、インパクト前にはグリップにも支点ができています。

いわゆる二重振り子と呼ばれる原理です。

この二重振り子の原理を教え込んでいることが非常にスイングを難しくしている可能性があるんです。二重振り子がいけない理由は、こちらの動画をご覧ください。

二重振り子は、振り子の原理がそれぞれに作用しますので、動きがものすごく複雑になります。この複雑な動きをゴルフスイングに取り入れて、さらにコントロールしようとしているんです。

こちらの動画では360度自由に回る「関節」を採用しているため、ゴルフのスイングはまったくこの通り、というわけではありません。

それでもこの二重振り子の可動域を少しでも小さくしてあげたほうが、スイングは安定するのです。

二重振り子の要素を排除するにはどんなスイングが正解?

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スイングをより複雑化させている二重振り子の原理。この二重振り子の原理を極力排除するためには、ボディターンを使った軸を中心としたスイングが最善です。

もちろん手首は返さずスイングするのが、よりスイングをシンプルにする秘密です。

だからこれまでレッスンなどで当たり前に言われてきた、グリップを減速させてヘッドを加速させる、という打ち方の理論は今後変わっていく可能性も十分考えられます。

振り子をひとつに! シングルペンデュラム打法

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振り子が増えればスイングが複雑になるのはわかりました。スイングで手首を返してしまうと振り子が2つになってしまうので、安定しにくくなってしまいます。

それを安定させるためには、手首を使わずにスイングします。振り子を軸の回転運動の1つだけにすればいいんです。

「1つの振り子」ということでシングルペンデュラム打法とでも名付けましょうか。

とはいえまったく手首を使わないスイングは不可能なので、イメージするのはハーフウェイダウンからインパクト後までの間を「手首を返さない」イメージで打ちます。

そのためこれまで常識とされてきた理論にいくつか矛盾が生じます。

「インパクトでは右手が上」

「インパクト前にグリップを減速させてヘッドを走らせる」

この2つの理論が合わなくなってしまいます。

どちらの動きも手首をスナッピーに使う動作で、ヘッドを加速させています。先ほど紹介した二重振り子の原理です。

スイングパワーは出しやすいのですが、安定させるのが大変です。一発の飛距離よりも、常に安定したショットを繰り返したほうがスコアがまとまるのがゴルフというスポーツです。

そのためシングルペンデュラム打法では、この2つの意識を捨てましょう。

体の回転軸だけを支点として、手首は返さず腕全体をある程度固定させて打つのです。

実は多くのゴルファーが実践している?

このシングルペンデュラム打法はハーフウェイダウンからインパクト後だけの意識です。とすると実は多くのゴルファーがこの動きになっているのが分かります。

宮里藍選手の動画ですが、インパクトの瞬間の腕やシャフトなどの位置関係を見てみましょう。

スイングの最下点はボールより前にありますね。そしてインパクトの瞬間、右手は左手の上ではなく後ろに来ています。

ハーフウェイダウン以降は手首を固める

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シングルペンデュラム打法では、ハーフウェイダウン以降は手首を固めるように打ちます。するとヘッドが加速してこないので、その代わりの動力となるのが軸の回転です。

ハーフウェイダウンに差し掛かったら、フィニッシュまでしっかりと体を回して打つようにしましょう。

このとき手首をリラックスさせてしまうと、ヘッドが後ろから遅れて入ってきます。これでは振り遅れの原因となってしまうので、手首はある程度固めておきます。

胸の正面にヘッドを置いておくくらいの意識でスイングしましょう。

インパクトでは左腕は伸ばして、右肘は軽く曲げる

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インパクトの瞬間、左腕は伸ばしてインパクトを迎えます。このとき右ひじにも注目してほしいのですが、軽く曲げた状態でインパクトをするようにしましょう。

ハーフウェイダウンでは右ひじは多少曲がっているはずなので、その肘の角度をそのままボディターンでインパクトまで持ってくるようにスイングします。

手首を使ったスイングをしてしまうと、インパクトで右肘が伸びてしまいがちなので注意しましょう。

インパクトではヘッドが手元を追い越さない

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手首を返さないスイングで振り子を1つにしたスイングでは、インパクトでハンドファーストの形が崩れません。手元が減速してヘッドが追い越していかないので当然ですね。

でもこれって皆さんご存知の、ハンドファーストの打ち方です。

ヘッドが手元を追い越してしまう場合は、手元を減速させています。こうすると二重振り子となって、スイングに安定感が出なくなります。

インパクトでは左手が前、右手が後ろ、の位置関係になっていますので、これを崩さないようにしましょう。

絶対やっちゃいけない手首の使い方とは?

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腕の回旋やヒンジ、コックなどこれまで推奨されてきた理論があり、それらを否定するものではありません。

ただ1つだけ、どの理論においても「これだけは絶対にやっちゃダメ」という手首の使い方がありますのでご紹介します。

それはトップで左手首が甲側へ折れる手首の使い方です。

これはシャフトクロスの原因になる手首の動きです。

シャフトクロスになると、ダウンスイングまでにシャフトがオンプレーンに戻りにくくなってしまいます。

そのため振り遅れの原因となり、出るボールもスライスの弱々しいボールが出るようになってしまいます。

スイングで右手が強い人によく出る動きで、自己流でゴルフを続けている人などでは気付かない内にこのクセが出てしまっている場合もあります。

いかなるスイングにおいてもこの手首も使い方をしてしまっては、良いスコアは望めないでしょう。

甲側へ折れる手首の直し方は?

左手首が甲側へ折れてしまうとき、右手で左手首を持って左手首の動きを抑制するのが有効です。

このときクラブなどは持たなくても構いません。

何も持たずアドレスの形を取ってください。次に右手で左手首を持ちます。あとはバックスイングでいつものトップの位置まで上げていきましょう。

このとき手首が甲側へ折れないように右手で保持してあげるのがポイントです。

この動作を気が付いたときに繰り返すようにしてください。実際に気を付けて、自分なりのチェックポイントとして認識しているゴルファーもいると思います。

しかし実際にボールを打つときになると、この形が崩れてしまう場合も多いのです。普段から地道な練習で少しずつクセを修正していくようにがんばっていきましょう。

手首のトレーニング用品をご紹介

手首のコックを毎回確認しながら、スイングするのはさすがに難しいですよね。

ゆっくりスイングすれば、手首の形は確認できますが、通常のスイングスピードに戻すと正しくできているのかもわからなくなります。

そこで、正しい手首の使い方を身につけるのに、オススメのトレーニング用品があります。

グローブの上から装着できる、サポーターです。

左手首を固定することで、左手首が甲側に折れるのを防ぐことができます。

一度、試してみてはいかがでしょうか。正しい手首の使い方を覚えることで、打球の方向性は安定し、飛距離アップにもつながっていきます。

すぐに身に付くものではないので、トレーニング用品などを上手く使いながら、練習を継続するようにしましょう!