ゴルフスイング
Luke
飛距離アップに「体重移動」は本当に必要か?その2
こんにちは、ライターのLukeです。
その1に引き続いて、体重移動についてじっくりと考えてみましょう。
今回のその2では、世界のトップクラスで戦う松山英樹選手のスイングから、体重移動の本質を探ってみます。
松山英樹選手は体重移動を抑えている!
この松山英樹選手のダウンスイングの写真をよ~く見てください。
一見すると、他の選手との違いはわからないかもしれませんが、実は大きな違いが2つあります。
まずは1つ目の違いについて。
松山英樹選手は、アドレスの状態からスタートして、トップスイング(記事のトップの写真)、そしてこのダウンスイングの途中までの動きの中で、腰の位置が左右にほとんど動いていません。
それに対して、積極的に体重移動を行っている選手の腰の動きの場合、トップで右に10センチほど移動し、そこからダウンスイングの途中で左に30センチくらい移動しています。
そこから言えることは、松山英樹選手は左右の動きが出ないように体重移動を抑えている、ということです。
そしてもう1つの大きな違いは、ボールの位置です。
松山英樹選手のボールの位置は、かなり右側、つまり身体の中心に近い位置にセットされています。
体重移動を積極的に行う選手なら、ドライバーショットのボールの位置は、左足の前あたりに置かなければならないので、その差は歴然ですね。
この点が非常に重要で、スイング中に身体が左右に動かないならば、実はボールの位置は左に置く必要がないのです。
体重移動ではなく、クラブの回転運動のパワーで飛ばす!
松山英樹選手のインパクト直後の写真です。
その前の写真と比べると、腰の位置が左に10センチくらい移動していますが、その数値は非常に少ないと言えます。
右から左へスイングするエネルギーによって、身体には左方向に移動するように「荷重変動」の力が働くので、しっかりと体重移動を抑える意識がないと、腰の位置はもっと大きく左に移動することになります。
体重移動を積極的に行っている選手なら、トップからインパクトまでに30センチ前後も大きく左に動いています。
皆さんも自分のスイングをスマホのスロー動画で撮影してみるとわかりますが、体重移動を意識する、意識しないにかかわらず、腰の移動量は驚くほどに大きくなっているはずです。
この腰の移動量の差が何を表すかと言うと、たとえスイング中に頭の位置を動かないようにしていても、腰の位置が30センチも左に移動していれば、肝心のスイング軸も左に流れている、もしくはスイング軸が「くの字」に曲がっていることになります。
そのような状態では、体重移動でパワーを生み出しているつもりでも、実際にはクラブへの伝達効率は上がっていません。
それならば松山英樹選手のように、アドレスの位置にスイング軸を保って、クラブの遠心力を最大限にボールに伝えるようにしたほうが、インパクトのタイミングも合わせやすく、伝達効率も上がるので、飛距離も精度も高くなります。
その事実は、日本人選手の中で最も飛んで曲がらない、という松山英樹選手が証明してくれているのです。
クラブの回転運動を妨げないようにフィニッシュを考える
松山英樹選手のフィニッシュの写真。
左足1本で立つようなフィニッシュは美しく、やはり他の選手との大きな違いはなさそうですが、実はその中見には違いがあるのです。
松山英樹選手の場合は、スイング軸を保ってインパクトした後は、クラブの回転運動を妨げないように、自分のスイングパワーに身を任せた結果が、左足1本のフィニッシュになっています。
一方の体重移動を積極的に行う選手の場合は、フィニッシュで左足の上に乗ることありきでスイングしているので、逆に左に流れ過ぎないように、「左の壁」を作るように意識する必要があります。
ゴルフレッスンでよく登場してくる「左の壁を作る」というフレーズは、そのためのものです。
ところが松山英樹選手のように、体重移動を抑えて、その場で回転するスイングでは、「左の壁」を意識する必要はありません。
腰の移動量は、その日の調子のバロメーター!?
松山英樹選手のスイングを見ればわかるように、ゴルフスイングには、必ず体重移動が必要なわけではなく、逆に体重移動を抑えたほうが、ゴルフはもっと簡単になり、飛距離も伸びる可能性があります。
実は松山英樹選手も、調子が悪い時は腰の移動量が少し大きくなっていて、まさに腰の移動量が調子のバロメーターになっている、と言えるのかもしれません。
テレビ観戦の時には、その点も観察して見ると面白いと思います。
さて体重移動についてはまだまだ説明不足なので、次回もその3として続けます。