プロゴルファー
こせきよういち
ケビン・ナ、祝ツアー2勝目!~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#80
先週の米ツアー競技「ア・ミリタリー・トリビュート at ザ・グリーンブライアー」は、2位フィニッシュ通算7回の“善戦男”、ケビン・ナが7年ぶりのツアー2勝目を圧勝で飾りました。
ケビン・ナについては、ここでも何度か取り上げましたが、まだまだ紹介していない話題があります。
今回はそれをまとめて紹介しましょう。
1ホール16打の大たたき
ケビン・ナは豊富なエピソードの持ち主ですが、なかでも有名なのは1ホール16打の大たたきでしょう。
2011年の「バレロ・テキサスオープン」初日のこと。
前半最後の9番パー4で、ナのティーショットは大きく右にそれ、低木が密集する林の中へ入ってしまいます。
ストロークはとても無理だったので、アンプレヤブルとしてティーショットを打ち直し。
ところが、打ち直しの第3打も同じく大きく右へ。
でも、今度はアンプレヤブルにはせず、そこから脱出を試みたのですが……。
その後の悪戦苦闘ぶりは、上の動画でお楽しみください。
結局このホールを14オン・1パット・1ペナルティ(木を直撃したボールが跳ね返り、自分に当たったため)の計16打としたのです。
ちなみに米ツアーの1ホールの最多ストロークは23。
トミー・アマ―が1927年の「ショーニーオープン」という大会の17番パー5で記録したものです。
ところで、不名誉な大たたきをしたナですが、翌年の同大会の月曜日、舞台となった9番ホールにチェインソーを手に現れると、さんざん苦しめられた林の中の枝を数本、切り落とすというパフォーマンスを演じています(テレビ番組の企画。下記の記事参照)。
このユーモアのセンスが彼の人気の理由なのでしょう。
ツアーきってのスロープレー
ケビン・ナといえば、何と言ってもスロープレーで有名です。
なかでも、悪評を呼んだのが上掲の動画。
2012年のプレーヤーズ選手権最終日、最終組でプレーするケビンですが、準メジャーと呼ばれる大きなトーナメントの優勝争いの緊張感でしょうか、スムーズなテークバックが出来ずに、ワッグルの繰り返しです。
さすがにこれには多方面からブーイングが起きました。
最近はこれほど酷い時間のかけ方はしませんが、それでも「スロープレー」は彼の代名詞。
今季開幕戦、10月の「セーフウェイオープン」のプロアマでは、スタートティーで生バンドによる選手紹介が行われたのですが、彼についてはスローなテンポで……(下掲の動画をご覧ください)。
そんなケビンですが、2年前のツアー最終戦「ツアー選手権」では、最終日に同伴競技者がおらず、ひとりでラウンドすることになりました。
「スロープレー」の汚名を返上しようとしたのか、自らの話題作りのためか、反対に「スピードゴルフ」に挑戦。
なんと、1時間59分! しかもパープレーの70でラウンドする、見事なファストプレーを見せたのでした(この話は、下記リンク先にある#39でもう少し詳しく触れています)。
キャディのケニー・ハームズとの名コンビ
ケビン・ナのプレーが遅い理由のひとつに、キャディのケニー・ハームズの存在があります。
最近でこそ余り目に付きませんが、以前はグリーン上でラインを読む際は、必ずハームズにも読んでもらい意見を擦り合わせていました。
どんなに短いパットも、ハームズにも読んでもらうのです。
ときにはハームズが腰を落とし、自分はその後ろからハームズの頭越しに読む姿さえ見られました。
ところで、今年5月の「フォートワース招待」初日。彼らの最終9番パー4で、二人が熱く口論する姿がありました。
ラフからグリーンを狙う第2打の攻め方で意見が食い違ったためです。
最終的にはナが自分の考えを通したのですが、結果は失敗。
それでも、幸いボールは池にもバンカーにもつかまらず、ラフからのちょっと難しいアプローチが残りました。
ところが、そこから彼らしいスーパーショット!
ケニーとの口論で渋い顔をしていたナの表情が一気にゆるみます。
「意外性」「ドラマチック」=ケビン・ナのもうひとつの代名詞であり、人気の理由だと思います。