プロゴルファー
こせきよういち
スタートティでロック全開!~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#70
先週は、国内ではいわゆる2部ツアーのabema TVツアー競技「ジャパンクリエイト チャレンジ in 福岡雷山」でプレーヤーの中井学(プロコーチ)が自らピンマイクを付け、自身の状況やプレーの選択、結果などを解説しながらラウンドを進めるという新しい試みに着手。
とても情報が豊富、かつ面白い内容で、今後の進展が楽しみになりました。
一方、米ツアーでは昨年からペアのチーム競技に変更された「チューリッヒクラシック」で、ティーオフするチームの紹介後、それぞれが選んだ「入場曲(ウォーク・アップ・ミュージック)」をスピーカーに流すという新趣向を始めました。
国内ツアーの「RIZAP KBCオーガスタ」でも昨年から実施されている演出ですが、米ツアーの面々は個性・自己主張に溢れた選曲で、ファンを楽しませていたようです。
そこで今回は、入場曲が話題になったチームを動画とともに紹介することにしましょう。
ハードロックにシャウト! クレイン&チェイカ
今回、もっともスタンドを沸かし、ファンの間で話題になったのは、ベン・クレイン&アレックス・チェイカのペアだったようです。
彼らが選んだウォーク・アップ・ミュージックは、イングランド出身のベテランハードロックバンド、ホワイトスネイクの「ヒア・アイ・ゴー ・アゲイン」。
タイトルを日本語に訳せば、「さぁ、俺はまた行くぜ」といったところでしょうか。
ツアー通算5勝、42歳のクレインと同1勝、47歳のチェイカは今季はともに下位シードで、出場試合は限られています。
でも、彼らはまだまだあきらめない。
そんな“魂の叫び”が聴こえてきそうな、ロックなパフォーマンスにスタンドのファンは大喜びでした。
「聖者が街にやって来る」? クーチャ―&ワトソン
チューリッヒ・クラシックの開催地はジャズの故郷=ニューオリンズです。
そのニューオリンズ・ジャズ(ディキシーランド・ジャズ)を代表する名曲、「聖者が街にやって来る」とも称される「聖者の行進」(ルイ・アームストロング)。
選んだのは、マット・クーチャー&ババ・ワトソンのペアでした。当然、これにはギャラリーは大盛り上がり。
でも、二人の話題はこれにとどまりません。
大会初日のこと、ワトソンがバーディパットを沈めると、セレブレーションで歩み寄ったクーチャーがワトソンの頬をピチャリと叩いたのです。
「これはババの顔をひっぱたく絶好の機会だと思ってやったんだ。誰もがやりたいと思っていることだからさ(笑)」とクーチャ―。
もっとも、そのクーチャ―もバーディパットを沈めるとさっそくワトソンにビンタの返礼を受けていました(笑)。
オリンピアンのメダリスト・チームが選んだのは?
最後は2年前のリオ五輪のオリンピアンでメダリストの二人=ジャスティン・ローズ&ヘンリック・ステンソン。
彼らが選んだのは、「トゥルー」というバラードで有名なスパンダー・バレエのアップテンポナンバー「ゴールド」。
もちろん、リオで金メダルを獲得したローズの選曲です。
でも彼は、曲が終わるとステンソンに近づいて、「ごめんね。僕のための曲で」と謝っていたそうです。
この他、個性に溢れた入場曲を羅列していきましょう。
豪州出身のジェイソン・デイ&ライアン・ラッフルズが選んだのは、豪州出身のバンド、メン・アット・ワークの「ダウン・アンダー」(豪州やニュージーランドの別称ですね)で、1982年に全米ナンバーワンヒットにも輝いた曲です。
南アフリカ出身のラティーフ・グーセン組の「アフリカ」(TOTO)は、1982年に大ヒットし、グラミー賞で主要6部門を独占したアルバム「TOTO IV~聖なる剣」からのシングルカットで、こちらの曲も全米ナンバーワンを記録しています。
タイガーに憧れるパトリック・リード組の「アイ・オブ・ザ・タイガー」(サバイバー)も1982年の曲。シルベスター・スタローン主演でヒットした映画「ロッキーIII」の主題歌としても有名ですよね。これも全米1位を記録した曲です。
そして、冒頭のクレイン&チェイカの「ヒア・アイ・ゴー・アゲイン」に似たテイストですが、イアン・ポールター&グレアム・マクドウェルが選んだのはオーストラリア出身のハードロックバンド、AC/DCの「バック・イン・ブラック」。
1980年にリリースされた同名のアルバムに収録されたタイトルチューンですが、このアルバム、全世界で4900万枚セールスし、史上3番目に売れたというモンスターアルバムです(ちなみに1位はマイケル・ジャクソンの「スリラー」、2位はピンク・フロイドの「狂気」)。
この曲では「アイムバック!」のシャウトが繰り返されます。
昨年、一時はシード権を失いかけ、イギリスに戻る計画を立てたポールターが選んだことは間違いありません。
そのあたりの事情を知っているギャラリーにとっては、大いに沸くところです。
さて、今回の「ウォーク・アップ・ミュージック」には多くの改善点が指摘されているようですが、来年も実施されそうな気配です。
どんなブラッシュアップがなされるのか、楽しみに待ちたいと思います。