プロゴルファー
O嬢
【O嬢のPGAレポート】今年のマスターズ勝者は 嫌われ者?!
今年のマスターズは、地元オーガスタの大学に在籍していたこともあるパトリック・リードが5回目の出場にして初優勝。メジャー1勝目を子供の頃からの憧れだったオーガスタの地で飾った。
最終日、キャリアグランドスラム達成のかかったローリー・マキロイと3打差の14アンダーでスタートしたリード。
ジョン・ラーム(69)、リッキー・ファウラー(67)、ジョーダン・スピース(64)らが軒並み60台を叩き出してリードを猛追したが、結果一度も首位を明け渡すことなく、最終18番ホールを迎え、ファウラーとは1打差で辛勝した。
メジャー最終日としてみどころ満載の内容だったが、実は現地では異様なムードが漂っていたのだ。
2018年のマスターズは異様なムードだった
私もあまりメジャー優勝者の原稿で、ネガティブなことは通常書くことはない。
しかし、表彰式や記者会見での米国人ファンや記者たちの反応が普段とはあまりにも違う雰囲気だったので、ここではあえてありのままを書こうと思う。
パッティンググリーンから1番ティーに向かう通路でのこと。リードは地元の選手にも関わらず、彼に対する歓声や拍手はまばら。
一方、同組のマキロイに対してはより大きな拍手と歓声が上がっていた。
途中、私は最終組やスピース、ファウラーの組のパトロンたちの反応なども比較したい、と歩いてみたが、明らかにスピースたちの方が首位のリードに比べて、パトロンからの反応がいいのである。
スピースたちはバーディを獲れば喜ばれ、リードがバーディを獲るとちょっとガッカリしたような声が漏れていた。
これはちょっと異様なムードである。それはいったいなぜなのか?
地元から評判も・・・理由は学生時代の素行
リードは学生の頃、スコアの改ざんなどのズルをしたことで有名で、ゴルフのチームメイトのスコッティ・キャメロンのパターを盗んだという疑惑(本人は否定)や、酒を飲んで逮捕されたなど、さまざまなトラブルを引き起こしていたからだ。
それに加え、態度が横柄、フレンドリーではないなど、性格的にもあまり好まれておらず、ゴルフ記者仲間も「パトリックを応援したいなんて記者いないんじゃないかな?」と言っていた。
実際、メディアセンター内もリードを応援する者はほとんどおらず、マキロイやその他の若手のバーディに湧きながら、原稿を書き進めていたのが印象的だった。
異様な優勝決定シーン
リードが勝利を決め、さすがに最終ホールはパトロンたちからの祝福の拍手や歓声に沸いたが、それを迎えたのは妻のジャスティンと、ババ・ワトソン親子、ファウラーだけ。
通常ならここで両親も出迎えるのが常だが、なんと絶縁状態だそうだ・・・。
マット・クーチャー親子もその場にいるにはいたが、ただマスターズ優勝者が勝つ瞬間を観にきたという感じで、リードに祝福の言葉をかけることはなかった。
嫌われものなのはわかっている?
表彰式が始まると通常よりも若干短か目の優勝スピーチでうち切られていた感があり、その後の公式会見でも座席の半分ほどしか記者たちが座っておらず、質問数も普段よりも少なかったように思う。
表彰式から会見まであっさりと、司会者たちがさっさと終わらせてしまった感じが見受けられたような気がして、感動の薄い優勝シーンだな、と思ったものだ。
会見中に単刀直入にこんな質問をした記者がいる。
「あなたはツイッターなどでもあまりファンからよく思われていないようだが、これに対してはどう思う?」
これに対してリードは
「よくわからない。でも、僕はそんな人のいうことは気にしないし、応援してくれるとかしてくれないということも関係ない。ただ自分は正しくゴルフをするだけだ」
彼はきっと昔から、自分が嫌われ者であることをわかっていながら、自分のゴルフをすることに精進してきたのだと思う。
他人がどう言おうが、声援や拍手が他人よりも小さかろうが、自分のゴルフに集中するメンタリティの強さを持ち合わせていた結果、マスターズという大舞台で優勝することができたのだ。
最後まで異様な2018年のマスターズ
今までの優勝者たちの優勝シーンとは少し違う、家族や友人、ファンたちからの祝福があまり感じられない、感動の薄いマスターズだったな、というのが個人的な感想だ。
今年は過去、リードがポイントゲッターとして活躍してきたライダーカップも9月に開催される。
嫌われながら、皮肉にも“キャプテン・アメリカ”のニックネームを持つ彼が、大舞台で活躍するシーンの多い2018年になりそうだ。