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プロゴルファー

こせきよういち

火花散るふたりの確執「第2幕」~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#173

今週の米ツアー競技「ザ・メモリアル・トーナメント」では、ファンやメディアが密かに期待するペアリングがありました。

2週前の「ロケット・モーゲージ・クラシック」で他を圧倒する飛距離と安定したパッティングで見事な逆転優勝を収めたブライソン・デシャンボーと、彼との間で確執が明らかになったブルックス・ケプカの顔合わせです。

確執の始まりは今年1月

ふたりの間に最初に火花が散ったのは、今年1月の欧州ツアー競技「アブダビHSBC選手権」でのこと。

まずは、当時世界ランキング1位だったケプカがデシャンボーのスロープレーに苦言。

するとデシャンボーは、ケプカがスポーツ誌の「ボディイシュー(肉体特集)」号に発表したヌードについて「腹筋が付いていない」とチクリ。

そして、「僕は腹筋が付いた」と、昨年の秋から本格的に始めた筋トレの成果を誇らしげに語ったのでした。

でも、ケプカの方が一枚上手です。

インスタグラムに上掲の画像を挙げ、「デシャンボーが言ったことは正しい。僕は6パック(=割れた腹筋)にはまだふたつ足りない」と、自宅に並んだ4個のメジャーのトロフィー(レプリカ)を誇示したのです。

この見事な切り返しにファンもメディアも喝さい。軍配はケプカへ。

ところが、そこからふたりの立場は大きく変わったのでした。

デシャンボーに筋肉増強剤使用疑惑!?

翌2月以降、ケプカの戦績は出場6試合で最高7位(トップ10入りはこの1試合だけ)、予選落ち2試合という極度の不振。

一方のデシャンボーは、出場8試合でトップ10入りが7試合、優勝1試合。

世界ランキング(7月12日付け)も、ケプカが6位に後退したのに対し、デシャンボーは7位にまで急上昇。今週にも順位が入れ替わる勢いです。

こうした流れの中、先週ケプカがツイッターにシェアした上掲動画にファンやメディアは騒然。「確執再燃か!?」と話題を呼んだのでした。

動画は人気テレビドラマに登場する、ステロイドで筋肉増強を図ったメジャーリーガー=ケニー・パワーズのハイテンション。

これは、ケプカがデシャンボーに筋肉増強剤の使用を疑ってのものでしょう。

デシャンボーは黙々と筋肉盛り盛り

もちろんデシャンボーにドーピングの証拠や証言はまったくありません。

いかにも「マッド・サイエンティスト(いかれた科学者)」らしい、科学的なトレーニングの徹底で身に着けたパワーでしょう。

ケプカの投稿にファンやメディアが騒然とする中、1試合欠場したデシャンボーはその間も休養ではなく、さらに飛距離を伸ばそうとトレーニングに充てていました。

インスタグラムにシェアされた上掲の動画では、体が壊れないかと心配になるほどパワフルな連打。

そして、最後に示されたヘッドスピードは144.43マイル/時間。

日本流に換算すれば、約64メートル/秒! まさに、異次元のスピードです。

さらにパワーを蓄えたデシャンボーの勢いはどこまで続くのか? そして、ケプカとの確執の行方は?

シーズンは短くても米ツアーは見どころ満載です。