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プロゴルファー

こせきよういち

ケプカがディスれば~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#191

マスターズは、現在世界ランキングNo.1のダスティン・ジョンソンが20アンダーの大会記録、ならびにメジャートーナメントのタイ記録(ジェイソン・デイが2015年全米プロで、ヘンリック・ステンソンが16年全英オープンで、ともに20アンダーで優勝)で2度目のメジャー優勝を果たしました。

その優勝については他の人にお任せするとして、ここではひとひねり。

「メジャー優勝の裏にブルックス・ケプカあり!」という話を披露します。

ケプカの発言にダスティン発奮?

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まずは、今年のメジャー第1戦「全米プロゴルフ選手権」。

3日目を終えたところで、トップはダスティン。大会3連覇を狙うケプカは、優勝したコリン・モリカワらとともに2打差の4位タイでダスティンを追撃する展開になりました。

ダスティン(36歳)とケプカ(30歳)はもともと同じジムでトレーニングをする気心の知れた仲で、2年前のライダーカップはふたりがチームを組んで戦いました。

当時は、まだケプカは弟分の立場だったと思います。

ところが、メジャーの実績では、ダスティンが16年の全米オープンで初戴冠後は長らく足踏み。

一方のケプカは直後の17年、18年と全米オープンを連覇。さらに、全米プロも18年、19年と立て続けに制覇し、19年5月から20年2月まで世界ランキングNo.1に君臨します。

そんなことから、先の全米プロ最終日を前に意気込みを聞かれたケプカは、「まだチャンスはあると思っている。以前に同じような展開になった時は、僕がモノにした。(ダスティンは)メジャーで1度しか勝っていないからね。僕はやるよ」と応答。

しかし、最終日、ケプカは74と崩れ、29位タイに失速。ダスティンも優勝はなりませんでしたが、2打差の2位タイ。

その後、シーズン最終戦のツアー選手権に勝って年間王者。そして、今回のマスターズ制覇。もちろん世界ランキングNo.1の座も奪還。

ケプカとの立場をすっかり逆転したのです。

デシャンボーにも立場を逆転?

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続くメジャー第2戦「全米オープン」を制したのは、昨年秋から肉体改造に取り組み、驚異的な飛距離とパワーを獲得したブライソン・デシャンボーでした。

その彼に、今年1月、皮肉たっぷりのコメントを発したのがケプカです。

事のてん末はこの連載でも紹介したので、詳しくはそちらを見ていただくとして(下記リンク先)、ケプカはデシャンボーから腹筋が割れていないことを指摘されると、
「デシャンボーの指摘は正しい。確かに僕は6パック(=割れた腹筋)には、まだふたつ足りない」と、自宅に陳列してある4個のメジャートロフィー(レプリカ)の画像をSNSにシェア。一枚上手、余裕の反応を示したのです。

ところが、デシャンボーが今年の「全米オープン」を圧勝(ケプカは膝の故障で欠場)。

その勢いでマスターズも本命視されました。残念ながら、ここではショットの安定性を欠き、34位タイと低迷。

それでも、彼の戦略に迷いはなく、来年4月のマスターズはさらに大きくなって帰ってくると宣言しています。

そして、大会直後にブックメーカーから発表された2021年「マスターズ」のオッズ(払い戻し倍率)は、ダスティンが1番で、2番がデシャンボー。ケプカは6番手の評価でした。

ここでも、デシャンボーに立場を逆転された感が……。

来年のマスターズを制するのは果たして

もっとも、ケプカもマスターズは4日間ともアンダーパー。通算10アンダーで、7位タイの好成績でした。

試合後、「あまり面白い大会ではなかった。7位という順位については、何て言えばいいのかわからない。ただ、ハッピーではないよ。いいプレーができなかった。でも、それはちょっとパットが入らなかっただけだし、変なところに打ち込んだショットが何発かあったし、バーディチャンスを決められなかったから。彼(ダスティン)はそれが上手くいった。それが彼の勝因だ」とだけコメント。

ダスティンのスキル(アイアンショットでボールにスピンをかけ過ぎない打ち方)の高さは認めても、彼に対する祝福の言葉は見当たりません。

また、デシャンボーに対しては、フォロワー数37万人余を誇る人気ゴルフタレントのペイジ・スピラナックが、「今週、ブライソン(長さ48インチのドライバーに挑戦中)から学んだ教訓。それはシャフトの長さではなく、それをどのように使うかということです」と皮肉全開のツイートをすると、すぐに大笑いの絵文字を3個並べるリプライ。

依然、意気軒高。立場の逆転は認めていないようです。

5ヶ月後のマスターズではケプカの反撃はあるのか? ますます楽しみになりました。