プロゴルファー
おっ3
PGAとJGTO、レベルがそんなに違うのか?
世界最高レベルのゴルファーが競い合うPGAツアー。1月15日現在、賞金ランク3位のロリー・マキロイをトップの写真にしてみました。
昨シーズンJGTOで賞金ランク3位に入った我らが石川遼プロも歯が立たなかったPGAツアー。
その違いを数字で分析してみようと思います。そこからゴルフの質の違いや、我々アマチュアが参考になるものを探してみます!
賞金ランク上位の顔ぶれ!
PGAツアー、2018-2019シーズンの賞金ランクトップ10の顔ぶれは以下の通りです。
1 B.ケプカ
2 R.マキロイ
3 M.クーチャー
4 P.カントレー
5 G.ウッドランド
6 X.シャウフェレ
7 D.ジョンソン
8 J.トーマス
9 J.ラーム
10 W.シンプソン
一方のJGTOの2019シーズンは、
1 今平周吾
2 S.ノリス
3 石川遼
4 C.キム
5 黄重坤
6 堀川未来夢
7 J.ジェーンワタナノンド
8 朴相賢(パクサンヒョン)
9 浅地洋佑
10 崔虎星(チェホソン)
この顔ぶれを見て、まずすぐに気になったのは『飛ばし屋』の割合です。
JGTOには平均飛距離で300ヤード越えるのは、C.キム(315.83ヤード)と、石川遼(300.92)ヤードの2人しかいません。
しかし、PGAツアーにはズラリと300ヤードヒッターが並んでいます。
M・クーチャーとW・シンプソン以外は平均で300ヤードの飛距離を誇る『飛ばし屋』が顔を並べています。
PGAツアーでは、まずは飛ばせないと上位に食い込むのは難しいということの証になります。
ストロークス ゲインド ティー トゥ グリーン!
『ストロークス ゲインド ティ トゥ グリーン』(Strokes Gained Tee-to-Green) ってご存知ですか?
単純に言うと、ショットのスコアに対する貢献度を表す値のことだそうです。
ここで言うショットとは、ドライバー、フェアウェイウッド、アイアンからアプローチまで、ティーショットからグリーンに乗るまでのことを指します。
このスタッツは、2014年からPGAツアーで採用されています。
さらに掘り下げてみましょう。
ストロークスゲインドは、その特定のラウンドをプレイした全ゴルファーの平均スコアから、本人のスコアを引き算することで算出します。
つまり、あるラウンドでストロークゲインドがプラスのプレイヤーは、そのラウンドをプレイした全プレイヤーの平均よりスコアが良いことを意味します。
このスタッツによると、2018-2019シーズンは、以下の結果になっています。
1 R.マキロイ
2 J.トーマス
3 松山英樹
4 A.スコット
5 P.カントレー
6 P.ケーシー
7 安秉勲
8 D.ジョンソン
9 C.コナーズ
10 J.ラーム
なんと賞金ランクトップ10と4名が重複しています。
PGAツアーで勝つためには、300ヤード飛ばせるショットメーカーであることが一つの条件のようです。
JGTOでは……
JGTOで2年連続賞金王に輝いた今平周吾。
昨シーズンの平均飛距離は、292.93ヤードで28位でした。
では、PGAツアーでは採用されている『ストロークスゲインド』は?
残念ながら、JGTOでは公表されていません。
JGTOが公表しているスタッツは、『平均ストローク』、『平均パット』、『パーキープ率』、『パーオン率』、『バーディ率』、『イーグル率』、『ドライビングディスタンス』、『フェアウェイキープ率』、『サンドセーブ率』、『トータルドライビング』までです。
当然これらはPGAツアーでも公表しています。
しかし、残念ながらこれでは相対的な競技力がわかりません。
コースセッティングが厳しく、優勝ラインがイーブン前後となるメジャートーナメントと、20アンダー近いスコアが出るトーナメントの数字を同列に並べることにどれだけの意味があるのでしょうか?
これらの数字を見ていても、なぜ今平プロが賞金王に輝いたのかを垣間見ることはできません。
PGAツアーは、300ヤードヒッターがゴロゴロいる上に、肌理(きめ)細やかな分析をして、競技力の向上を図っているのだと思います。
持ち味を磨く!
PGAツアーとJGTOの間には、飛距離以外にもかなりのレベルの違いがありそうです。では、絶対に敵わないのでしょうか?
『おっ3』は、そうは思いません。
持ち味を磨くことで、JGTOで育ったプロも十分に戦えると思います。
日本から海を渡ったプロは、ほとんどが飛距離を求めるあまりに自分を見失ったり、ケガに悩まされて失意のままに帰国するケースが多かったと思います。
JGTOからPGAに挑む場合、『相手の土俵で戦わない』ことが肝要だと思います。
昨シーズン賞金ランク3位に食い込んだM.クーチャーは、289.5ヤードと今平プロよりも飛距離は出ませんが、トップ10に8回入っています。平均ストロークも70を切り、14位となっています。
それ以外は、目立ったスタッツはありません。
クーチャーは、『勝負強さ!』という持ち味を前面に戦い、好成績を収めたと思います。
W.シンプソンも、288.6ヤードと飛距離では145位(タイ)に過ぎません。
しかし、リカバリー率(スクランブリング)2位、サンドセーブ率5位という小技の冴えで昨シーズン10位の成績を収めています。
クーチャーとシンプソンは、持ち味を前面に押し出すことでトップ10に入ったと思います。
PGAツアーは、300ヤードヒッターが優位なのは確かです。しかし、肌理細やかな分析で競技力を磨き、持ち味を最大限に伸ばすことで上位に食い込むしたたかなトッププロもいます。
我々アマチュアは、競技力を磨くことというよりも、スコアアップのために、同じようなアプローチが有効と思います。
持ち味を磨くことで、松山プロに続いて日本男児が快進撃を続け、我々アマチュアもスコアアップ!
ヒントはどこにでもあるものですね。