プロゴルファー
こせきよういち
フィルはリカバリーの挑戦者~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#114
先週の米ツアー競技「アーノルド・パーマー招待」で、ネット上でもっとも話題を集めたのが、大会初日のフィル・ミケルソンのこの一打でした。
ミケルソンには“リカバリーショットの名手”というイメージがあります。
もちろんそれは、彼が単にショット巧者だからではなく、かつてのセベ・バレステロス同様、しばしばティーショットを大きく曲げてトラブルエリアにまで打ち込む――でも、そこからのリカバリーに果敢に挑戦するプレーヤーだからです。
アンプレヤブルを選択せず、わずかなチャンスにかけた一打
「アーノルド・パーマー招待」初日の10番ホール。
ミケルソンのティーショットは左サイドのOBの境界線であるネットの向う側に。
幸いボールはぎりぎりインバウンドに残っていました。
普通の選手なら、ここは無理せず、アンプレヤブルの救済を選択するところでしょう。
でも、わずかでもチャンスがあれば挑戦するのがミケルソン。悪くてもボールはネットのこちら側に出せると踏んだのかもしれません。
そして、右打ちでフルショット!
しかし、ボールはネットに絡み、そして少し間を置いて、彼の足元のOBエリアにポトリ。
チャレンジは失敗に終わりました。
さて、このケース、昨年までならボールが元あった位置にドロップしなければなりませんでした。
でも、現ルールでは、元あった位置を基点にそこから1クラブレングス以内にドロップすることができます。
結果、ミケルソンはネットのこちら側に救済のドロップ。そこから第4打をプレーすることになりました。
それにしても、右打ちスウィングの見事なこと――実際彼は右打ちでも70台でラウンドできるという話です。
そして、ネットをまたぐ際の足の上げ方。
随所で“魅せて”くれるのです。
OBフェンスの向こう側からコツンとリカバリー
ミケルソンがOBエリアからリカバリーを試みたのはこれが初めてではありません。
2016年の「ファーマーズ・インシュランス・オープン」2日目に、上掲動画のシーンがありました。
ミケルソンのボールは、OBの境界線であるフェンスの下辺の隙間、ぎりぎりセーフの位置に止まっていました。
そこで彼はフェンスの向こう側に出て、コツンとインバウンズに打ち出したのです。
しかし、ミケルソンのボールってなぜかドラマチックなところ、ミケルソンにおかしなプレーを誘うところによく止まるようです(笑)。
ギャラリースタンド越しのリカバリー
最後は、OBエリアではありませんが、今年の「ジェネシス・オープン」2日目に見られた、ギャラリースタンド奥からのミラクルなリカバリーショットです。
18番グリーンを狙ったミケルソンのショットは大きく右に曲がり、ボールは隣の10番ティに。
そこからのプレーの線には、巨大なギャラリースタンドがかかるのですが、おそらく救済に適当なエリアがなかったのでしょう。
そのままリカバリーのアプローチ。高々と上った一打はギャラリースタンドを越えて、見事にグリーンをとらえたのでした(ただし、パーセーブは失敗)。
ミケルソンにはこれからも、他の選手にはできない(しようとしない?)、こうした素晴らしいリカバリーショットを期待しましょう。