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オニオンスライス
これはかわいそう!リッキー・ファウラーの悲劇?!
ゴルフには「~の悲劇」と呼ばれる出来事が多々あります。
あまりにも有名なのは、なんといっても1999年の全英オープン最終日、最終ホールで3打差を守り切れなかった「バンデベルデの悲劇」ですよね。
今回はリッキー・ファウラーの身に降りかかった悲劇(?)をご紹介いたします。
2019 ウェイスト・マネジメント・フェニックス・オープン
アリゾナ州、TPCスコッツデールで開催されるPGAツアー公式戦。
16番ホールに設置される巨大な「スタジアム」で有名。
2018年の本大会を制したディフェンディング・チャンピオンはゲーリー・ウッドランド。
最終日に「64」の好スコアをマークし、チェズ・リービーとのプレーオフに勝利し5年ぶりのツアー優勝を手にしました。
また、2016年大会で松山英樹が本コラムの主人公リッキー・ファウラーとのプレーオフを制して米ツアー2勝目を飾った、記憶に深く残っている大会です。
2019年、大会最終日
初日から安定したプレーで首位を独走していたリッキー・ファウラーでしたが、あっさりと優勝を手中にできるほどPGAツアーは甘くはありませんでした。
雨の降りしきる中迎えた最終日の11番ホール。
この時点で2位に5打差、残すホールは8ホール。ファウラーは安全圏に入りつつありました。
前の組ではファウラーと5打差の2位につけている南アフリカのブランデン・グレースが手堅いプレーを続けていました。
11番ホールの483ヤード、パー4の3打目。グリーン手前からのアプローチ。
少し強めのタッチで放ったアプローチショットは、ピンの横をかすめてグリーン奥へと転がっていきました。
そこで、まさかの出来事が!
グリーン横をすり抜けたボールは、バンカーをもかわして、無情にも奥の池に吸い込まれていきました。
何度かドロップをするもボールが傾斜に止まらないため、ルールに従いリプレースされました。
グリーン奥から、しかもバンカー越えのアプローチ。
繊細なタッチが求められる、難しいショットです!
これは、いくらなんでもかわいそう!
オフィシャルを横につけて、慎重にリプレースしたボールは、ファウラーがグリーン周りを確認している時に「コロコロ」と転がり出し、再び池に落ちてしまいました。
3打目を池に入れて、1打罰の5打目のはずが、リプレースしたボールが勝手に動いて池ポチャとなり、さらに1打罰が追加され、この難しいアプローチが6打目となってしまいます。
動画を見てお分かりの通り、ファウラーは持ち前の精神力で長い返しのパットを沈め、このピンチを寄せワンの7打(トリプルボギー)で切り抜けました。
まとめ
ファウラーは次の12番ホールでもボギーとして、この時点で13番ホールでスコアを一つ伸ばしたグレースに1打差のリードを許し、首位から陥落してしまいます。
この時、誰もが「ファウラーは崩れた」と思いました。
しかし11番ホール同様、ここでもファウラーの集中力が切れることはありませんでした。
ファウラーは15番ホールでバーディーをマークしてグレースに追いつくと、グレースがボギーとした17番ホールでバーディーを奪い、再逆転の2打差で優勝を手にしました!
ニュースだけを見ていると、ファウラーが独走で楽々優勝したように思えた大会でしたが、実はこんな凄まじい戦いが繰り広げられていました。
2年前に松山英樹とのプレーオフに敗れて優勝を逃している大会で、ファウラーもこのような形で負ける訳にはいかなかったのでしょう。
トッププロはこういう優勝を経験して、強くなっていくのかもしれませんね。
おまけ
おまけで、TPCスコッツデールの名物ホール、「悪名高き」と称させる16番ホールの雰囲気をご堪能ください。
大会3日目のすべての選手のティーショットをご覧いただけます。
ときどき画面右上に出てくるメーターは騒音計で、ギャラリーの歓声の大きさを表すものです。
ゴルフにおいてとても違和感があるのは、「打つ時の声援(?)」です。さらに、ミスショットをしようものなら大ブーイングです。
特にディフェンディングチャンピオンのウッドランドへのブーイングはアメリカらしくて印象に残りました。
ちなみにアメリカにおいて敵チームへブーイングには、多大なリスペクトも含まれているのです。
ブーイングの大きさは、その選手の技量のバロメーターにもなるのです。
しかし、このホールの雰囲気は伝統的な紳士のスポーツと言われているゴルフの本来のあり方からかけ離れているため、評価は賛否両論(現時点で否の方が強め)となります。
が、プロスポーツである以上「お客様に楽しんでいただく」ことを最優先とするPGAツアーの姿勢は素晴らしいと思います。
このスタジアム・ホールからゴルフ観戦のスタイルが大きく変わるかもしれませんね。